平成18年10月例会での、木藤阿由子氏(建築知識)発表のスウェーデンの木質ペレット状況を文章化していただいたものです。
★ペレットについて
ここ2年ほど、スウェーデンでは石油に変わる家庭用燃料(主に暖房エネルギー)として、木質ペレットを推進しているそうです。私が訪れたノーランズ・トレー社(床材パネル製作所)では、今年2月から最新設備を投入して、木質ペレットの製造を開始していました。同社では、工場近辺の地域のみに販売しています(年間生産量は1万トン・単価2500クローネ/t)。このように木質ペレットの製造をはじめる企業は増えているようで、別に訪れた製材工場2社でも同様に力を入れていました。原料が端材でただのようなものなので、非常に収益性の高い製品として期待されていました。
これは、行政の働きかけが大きく影響しているといえます。スウェーデンでは、石油タンク(暖房用)をペレット貯蔵タンクに交換すると助成金が出ます。ちなみに交換費用は約2万5千クローネ(1クローネ18円くらい?)だそうです。
いくら環境に対して意識の高いスウェーデン人とはいえ、先立つものはコスト。日本と同様、単なるエコロジーだからという理由では普及しません。昨今の石油価格の高騰によって人々がより低価格の燃料(かつ価格が安定しているもの)を考え始めたこともきっかけになっているようです。
一冬の暖房エネルギーに必要なペレットは、約6トン。コストにすると、1万5千クローネ/年です。石油の場合は4万クローネ/年ということですので、ペレットにすると年間費用は半分以下となります。これならメリットを感じることができるでしょう。
実際に昨年竣工したエコロジーマンションでは、地下にペレットタンクを設置(2台)し、全館暖房としていました。ちなみに熱交換器付で85%の熱を給湯用にリサイクルしています。この結果、年間暖房費が従来の1/3になったとのことです(マンション管理会社より)。
なお、昨年ドイツを訪れたときにもペレットが注目されているようでした(それ以上に太陽光発電のほうが普及率は高く、人々の関心も高かったですが)。ペレット用の貯蔵部屋を設けている住宅を見学しました。
日本は、資源輸入国であると同時に森林大国でもあります。今後、再生可能な資源として木材利用の一環にペレットが注目されることを期待しています。
以上