森林塾例会レポート1 テーマ中国蒙古地域に関連する歴史(報告者長南一夫氏)
4月は中国は内蒙古・ハイラルにて砂漠緑化のための植林に取り組んでおられる長南氏の報告をご紹介します。(カレンダー裏紙の解説書付きでした!)中国遊牧民族の歴史をひも解きながら、現在の砂漠化の危機、森林の必要性を大きな視点で説いています。(甲賀)
中国の中央は漢民族(農耕民族)と少数民族(非農耕・放牧・狩猟民族)の闘争の場である。中原(黄河地帯)の歴史舞台に登場し、漢文化に同化されていった。
北方・遊牧狩猟民族(騎馬人、牧馬人)として有名なる匈奴・ウィグル・突厥・契丹・蒙古・満族である。
代表的王朝
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A:北魏 (386−534)約150年
西方にいた匈奴・東北部にいた鮮溥(?)が中心の騎馬・牧馬人。北東より中原に進出、特に豆類を食していた。
B:遼(りょう) (907−1125)約200年
契丹人(Cathey)半遊牧・半農耕民(屯田・林屯田を営む)
松花江(ハルピン)を居とした騎馬軍団・契丹人はモンゴル系・ツングース系との混血。契丹文字は現在でも解読されていない。日本渡来民族の一部、蒙古語、満州語と同類型。
C:宋 (960−1279)約300年
契丹人が中心。
D:金 (1115−1234)約120年
遼を破って登場。女真族(ツングース系・満州族)狩猟民族・渤海国(東満州)滅亡後、ハルピンへ進出。草原国家の雄として黄河へ進出。
渤海国は日本平安時代と通文通商あり。北海道・アイヌ民族と関係が深い。
E:元 (1279−1368)約100年
ジンギス汗。東西1万キロに渡る世界史上類を見ない大陸国家。キリスト教、回教、仏教の多くの民族を制覇、西はドナウ河を越え、南は地中海、赤道をまたいだ。15000kmの古長城あり。
F:清 (1616−1911)約300年
満州族、愛新覚羅溥儀、ラストエンペラー。
これら漢民族王朝は、ここ2000年の中国史上約半分の1000年、中国を支配したことになります。彼らは草原文化森林文化によってはぐくまれ育った民族であり、そして緑を求めて中央に進出する結果となりました。かつての古代文明、エジプト文明・ユーフラテス文明・インダス文明・黄河文明は、森林を失うことにより消えてしまいました。
いま、中央アジアの黄砂が遠くアメリカまで飛んでいくと報ぜられています。
(その黄砂は都市から吐き出された大量の汚染物質も巻き込んでいると聞きます。これは、何を意味するのでしょうか?)
5月に中国内蒙古へ、砂漠緑化のお手伝いで滞在します。<7月まで第1次><9月〜11月第2次>
平成14年4月25日
中国内蒙古砂漠緑化 日本NPO現地駐在員 長南一夫