森林随想「定年後に炭焼き活動を楽しむための工夫」


スギの間伐材や急速に増える竹林の資源を使っての炭焼きは、美しい森づくりや温暖化防止活動の一環としても有意義な活動である。
これからは、定年退職後の田舎滞在などの際、炭焼き活動をやってみたいという人が増えるに違いない。
私が上越市で炭焼き実践活動をはじめて今年で(2007年)で3年目に入った。
60歳以上くらいの体力が低下しつつある年齢層の人たちが炭焼き作業を楽しく行うためには、身体にあまり負担を掛けない作業方法で実行する必要がある。
炭焼きも炭窯や焼き方に関心が向かうのは自然の成り行きではあるが、実行してみて比重が高い作業は、炭焼きの材料作りの仕事である。
切り倒した木や竹を、小さな窯の場合は4、50センチの長さに切断し、さらに小割する必要が生じる。
身体を鍛え込んだ人なら斧で割るのも爽快であろうが、一般の高齢者ではたちまち腰が痛くなって30分ともたないだろう。
また足もとがふらついたりして危険でもある。
そこで有用なものとして薪割機が登場すると作業はかなり楽しくなる。
購入価格5万円程度の薪割機でも直径20センチ程度の木は簡単にかつ安全に割ることが出来る。
但し、節が多かったったりすると割れない場合も出て来る。
竹は簡単に割れる。特に危険は感じないが横方向に弾け飛ぶことが分かった。
ノコギリも手ノコはもちろん有用で、竹引きノコギリは切れ味がよい。
但し、長時間作業は疲れて長続きしない。
そうなると、やはりチェンソーを使うことになる。
手近なところに電源があれば、電動チェンソーや電動ノコ(竹切り用)が小型軽量で使い勝手が良いことが分かる。

このほか、力仕事ではないが、焼き上がりなどを判断するのに、煙の色の変化でーを見る方法が一般的である。
通常、白色煙から青色煙、さらに透明煙に変わって焼き上がりとなるわけであるが、タイミングが夜中になったりすると懐中電灯の光を頼りに判断をするのは、ベテランは問題ないとして初心者にとっては難しく感じられるだろう。
ここでは、やはり温度計を用いるのが、科学的である。
価格が1万円程度(温度計及びホルダー)するが、煙突口での温度測定が分かり易い。
焚きつけから1時間ほど(材料50キロ程度の小型窯の場合)が経過し、白煙の勢いが強くなってくると煙の温度は80度くらいになる。さらに100度を超えてくると炭化が盛んに行われていることが分かって一安心ということになる。
温度は徐々に上がり180度から200度に近づくころには、煙も青色になっている。
200度を超えて薄青煙(煙突口付近ではほぼ透明)になったら焚き口の窓を開いて、さらに一挙に温度を上げる。
温度は、220度から250度位に上がったところで(点火から7、8時間経過)、空気を遮断して冷却するのを待つことになる。
煙の温度が最高になった時の炭窯の内部温度は、7、8百度に達しているとのことである。
注、記載の温度や経過時間の数値は、窯の形態や材料その他の条件により変動があることに留意してください。
(2007年5月15日、小澤普照記)


電動チェンソーでスギ間伐材の玉切り


電動油圧式薪割機で小割


竹挽きノコで孟宗竹の伐採


電動ノコで玉切り


温度計で煙の温度を測る、薄青色煙(透明煙)で200度以上になっている、焼き上がり


炭焼きの間にタケノコを掘り採るのも楽しみ、上越では酒粕汁が好まれる


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