森林随想「書店と図書館の融合」


まずこのURLをクリックしてみてください。
http://media.excite.co.jp/book/shop/shop08.html
ここに展開されている光景はある書店の店内の様子です。
その書店とは、ジュンク堂池袋店のことです。
書店の中でゆっくり本を手にとって読みながらお目当ての本を選ぶことができます。
東京では、自宅から近い、新宿店に行くことが多い。池袋店とは様子は少し異なるものの基本的には、椅子が用意されており、静かな雰囲気の中で座り読みが可能です。
ところで筆者は、20年ほど前から「森の図書室(あるいは森の図書館)」の充実を心がけてきました。
それらについては、森林塾のホームページでご覧いただいと思います。
http://www2.u-netsurf.ne.jp/~s-juku/toshositu.html
各地の「森の図書室」は、未来を担う少年・少女達や、あるいはまた、親子で樹木や森のことを学び、さらには木工作に親しむための参考書などを楽しく閲覧できるようにしようとの趣旨でつくられたものです。
この目論見は決して間違っていたとは思いませんが、新刊書をどんどん補給することの経費的な問題や都市や地方に住んで人達が誰でも利用できるようにするには、数が少ないという問題もあり、これまで解決の方法が見つからずに時間が過ぎてきました。
この間、上野公園に大変素晴らしい「国際子ども図書館」
http://www.kodomo.go.jp/index.jsp
ができるというような、嬉しいニュースもありましたが、ジュンク堂書店のように品揃えが良く、しかも図書館の雰囲気を併せ持つ書店の出現は、驚きでもあり、同時に感動ものでもありました。
実際に店内を歩いてみますと、大人も子供も一生懸命に本を読んでいます。
さながら新刊書図書館あるいはオール新本図書館という雰囲気は素晴らしいものがあります。
また、豊富な品揃えから、専門書も間に合うと言われているようですが、確かに私などの著作も置いてあることや、また同じ書籍でも、たとえば、森林の分野と環境の分野の両方に置いてあることなどもフロアー面積の広さからくる利点かと思いますが、通常の書店では見られない特徴ではないでしょうか。
最近、活字離れが戻りつつあるという話も聞きますが、小さい時から読書に親しむことが物事を考える能力を養うとともに良い感性を育むことに効果があることは、大方の認めるところではないでしようか。
どうしてこのようなユニークな書店ができたのか、誰も不思議に思います。
由来は、神戸で創業された先代の後を昭和51年に継いだ現社長の工藤恭孝氏が新型書店として再出発するに際して、店名に苦労し、いろいろ検討するうち、先代の工藤淳氏の姓と名前をひっくり返して、「淳工藤」すなわち「ジュンク堂」として新規書店を発足させたところ現在の隆盛を招いたというのが真相のようであります。
どうかこのような発想の豊かな書店が増え、今、日本列島を直撃している不況の嵐に耐えて新風を吹かせることを祈る次第です。
因みに、ジュンク堂に置いてある、筆者関係の書籍は、「森林持続政策論」(東大出版会)、「目指せ環境大国への道」(博友社)、「木と木材がわかる本」(日本実業出版社)、「現代棟梁田中文男」(INAX出版)などです。
「木のすべて」(大日本図書・全5巻)も置いてもらいたい本ではあります。
(2009年1月6日記、小澤普照)


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