「環の国くらし会議」に臨むにあたってのコメント
私は、1992年のブラジルでの地球サミット出席後、森林行政の場(林野庁)から引退しましたが、その後も森林の持続を念頭に置き、93年以来、「森林塾」を開き、都市と森林・自然との交流や共生のためのコーディネーターを目指す人達と連携を進めて参りました。塾活動のなかから、今、都市の住人が望んでいることは、森林の中で、家族ぐるみで汗を流したいというような、いわばエコライフへの欲求が強いことがわかりました。一方過疎に悩む多くの地域には豊富な自然空間が存在します。両者を結びつけるため各地に受け皿となる「エコヴィレッジ」を立ち上げ、これに都市住民やシルバー層・学童等の参加を可能とする「エコ住民システム」の実現が必要と考えています。ここから心の豊かさや癒しが得られるとともに自然のエネルギーなどを活用して地球環境に貢献する世界が開けるものと期待をしています。
ご連絡は、FAX: 03-3370-9872 へどうぞ。
(小澤普照)
平成14年7月18日、5回にわたって開催された、地域分科会が終了しました。
この間、小生(小澤普照)が座長を務めさせていただきましたが、終始活発な議論が展開され、実りの多い分科会になりましたことを感謝する次第です。
討議結果は、「ハンドブック」にまとめられ、8月3日に開催される、親会議である「第二回、環の国くらし会議」で全体について発表されます。環のくらしを一枚の絵にまとめる試みがなされました。
ここでは、「地域分科会」でまとめられた、地域で取り組む温暖化対策のアイデア・方向などについてお知らせします。
全体については、環境省のホームページをご覧下さい。
(4)地域の取り組み編
[テーマ]地域の取組の拡大に向けて
[キーワード]
│ 自分にあった活動から自発的に始めよう │
○ 地球温暖化防止のための活動は全ての人がやらなければならないというのが出発点。住民・事業者・行政等の幅広い参画を実現させよう。
○ 家庭での省エネ・省資源、リサイクルの徹底、環境にやさしい買い物、環境家計簿や家庭緑化など、自分にあった活動から始めよう。
○ 各主体が「理論より実行の精神」で自力実行で取り組むことにより、信頼・協働を育もう。
│ 地域づくりに取り組む人を育てよう │
○ あらゆるセクターで、地域づくりとパートナーシップの担い手となる、コーディネーター、ファシリテーターを養成しよう。
○ 行政は環境に対する専門的な職員、パートナーシップに対応できる職員を意識的に育てよう。また、全ての職員へ環境研修を継続的に実施しよう。
○ 行政職員と市民や団体その他の事業者との合同研修会を企画してみよう。
│ 地域内の連携の基礎をつくろう │
(1)出会いから協働へ
○ 行政、住民、商店街、事業者、NPO等の直接の利害を越えた環境だけではない様々なグループが出会う場をつくり、出会いから始めて協働へ発展させよう。(その際地域協議会も活用しよう。)
○ 住民・事業者・行政が互いに関心を持ち、相手に学び、自分のことを知らせることにより、信頼関係を醸成しよう。
* 環境省は、地方環境対策調査官事務所等を活用して、関係者の意見交換の場を設け、そこから生まれる活動を支援します。
(2)住民・事業者・行政の相互交流・参画の機会を広げよう
○ 行政は、意識のある住民、住民活動団体、企業、学校等が能力を発揮できるよう、子どもを含めた住民や活動を始めたばかりの実績がない団体や個人でも、楽しく、無理なく、興味に応じて自主的に参画できる環境活動の場を設けよう。
○ 行政は政策にかかる意志決定プロセスを透明・明確化し、住民が納得するだけの情報公開を行うとともに、環境基本条例等の条例や計画づくりには、必ず、住民も参画できる仕組みを作ろう。
○ 住民は、私たちの環境は私たちでつくるという意識を持とう。
○ 住民が直接政策の成果を評価し、政策に反映できる仕組みを持とう。
(3)住民が活動しやすい条件を整備しよう
○ 環境に良い活動をしたい人や団体を社会的に評価するとともに、助成、税制面での優遇措置などの支援を行おう。
○ 住民セクターと行政の協働により、環境活動を担う「人」づくりを進めよう。また、環境活動を支援し、住民と行政(部局間含む)、専門家をつなぐ、中間的な機関をつくろう。
○ 労働時間の短縮、地域へのボランティア活動休暇、ワークシェアリングの導入などで企業・行政で働く人もまちづくりに参加できるようにしよう。
(4)地球温暖化防止活動推進センター、地球温暖化防止活動推進員を活用しよう
○ 住民・事業者・行政は地球温暖化防止活動推進センターや地球温暖化防止活動推進員と積極的に協働することでこの制度を活かそう。
○ 地球温暖化防止活動推進センターは、推進員や活動団体と連携して地域の活動事例等の収集整理と情報提供を行なうとともに、地球温暖化防止に積極的に取り組むことによる「新たな豊かさのある地域づくり」を提案しよう。
○ 地球温暖化防止活動推進員の活動に対する市町村レベルの支援を充実させよう。
* 環境省は、全国地球温暖化防止活動推進センターと連携して都道府県地球温暖化防止活動推進センターや地球温暖化防止活動推進員の活動を支援していきます。
(5)行政の施策は全て環境への配慮を行おう
○ 行政は環境政策を財政と同格に位置づけ、すべての施策に環境面から査定と監査を実施しよう。
○ 行政は、環境マネジメントシステムの構築を通じて、行政各部局に環境に対して十分な配慮を払う態度を浸透させよう。また、各職場での取り組み、環境貢献度の検証を推進しよう。
○ 学校の空き教室等を地域活動の拠点として活用するとともに、総合的な学習の時間を活用して学校教育と住民活動・地域活動の連携を進めよう。
│ 地域間の連携を推進しよう │
(1)類似活動の連携強化と取組の拡張を図ろう
○ 地域間の情報交換、技術の情報交換などを通じ、取組を点から面に広げて行こう。
○ 都道府県は、地域間の交流・連携を深めるため、情報交換の機会を設けよう。
(2)地域間で足りないものを補い合うことにより取組を進めよう
○ 地域活動も地球市民という発想で展開しよう。
○ 都市住民と地域住民が協働する「コミュニティ・フォレスト活動」を推進しよう。
○ 地方は、森林など温暖化防止活動空間を都市部に提供し、都市部は風力発電・バイオマスエネルギー等自然エネルギーやエコ農産物、エコ林産物、地場特産物の購入などで応えよう。
○ 域外の団体も積極的に活動に受け入れて交流を創り出そう。
│ 意識改革を進めよう │
(1)地球温暖化防止対策の効果を目に見える形にしよう
○ 基本的な情報・啓発資材は国が提供しよう。
○ 環境の評価の基準を作り、環境に配慮した生活を行っている人、事業者に対する優遇税制を検討しよう。
○ 温暖化対策の究極を具現化する住みやすい環境都市づくりを進めよう。
○ 取組の効果を示す統一手法を検討し、施策の評価や、個人の行動の中にも取り入れていこう。
(2)環境保全活動に積極的に参加しよう
○ 行政や活動団体は、住民が参加できる環境保全セミナーや温暖化防止教室を開催するなどの情報提供機会を作り、住民は積極的にこれに参加しよう。
○ 大人も子どもも、自然環境を楽しみ、そのすばらしさを実感する体験の機会をつくろう。
│ 様々な活動を進めよう │
(1)市民参加の森づくりを進めよう
○ 森林などを温暖化防止の活動空間として活用するため、放置型森林については、所有権とは別に立ち入り活動を可能とする措置を講じよう。
○ 高齢所有者が増加する中で、実質活動が低下している場合には、相続の前倒しや贈与・譲渡の円滑化を図るための税制の改善を検討しよう。
○ ”誰でも、気軽に、楽しく、参加できる”「アマチュア(素人)の森づくり運動」を全国に広めよう。
○ 学校週5日制や総合的学習の時間に対応して、子どもたちがどんぐり稚樹から自分の苗木を育てる環境教育の場を設けよう。
(2)自転車や徒歩で利用しやすいまちづくりを推進しよう
○ 商店街や大規模小売店舗等と連携して、自動車にかえて自転車を利用する客に対する割引などの優遇措置を与えよう。
○ 自動車優先の状況を改善するとともに、駐輪場や自転車レーンの整備を行う等、自転車利用促進のための基盤整備を進めよう。
○ 互いに自転車利用の取組を自慢しあえるような空間を生み出そう。
(3)グリーンコンシューマー(環境を大切にして買い物を行う)活動を広げよう
○ 3R(リデュース・リユース・リサイクル)の主旨を広め、リデュース・リユースをリサイクルに優先させよう。また、リサイクル活動とリサイクル商品の購入の循環構造への理解を深めよう。
○ 誰もが環境への負荷が少ない商品に関する情報を買い物をする場で得られ、それらの商品を選択しやすくするための適正表示を実現し、メーカーや販売店もこれを積極的にPRしよう。
○ 住民・行政・企業が連携した各種イベントを開催し、意見交換や情報提供を行おう。
○ グリーン購入のインセンティブとなる税の仕組みなどを検討しよう。
○ グリーンコンシューマーのガイドづくりを進めよう。
○ グリーンコンシューマーの活動リーダーを養成しよう。
(4)まちの緑化・家庭の緑化を進めよう
○ 共有地、遊休地、家庭などでの緑化を進め、緑豊かなまちづくりを進めるための仕組みを検討しよう。
○ 相続や後継者不足のため緑地や農地を残したくても残せない状況を改善するため、税その他の仕組みを検討しよう。
○ 温暖化対策の一環として、自治体に一定の吸収源機能を有する空間保有の目標値を設定しよう。各自治体は、その目標値を達成するために屋上緑化等を含む緑空間の創出、他の自治体等と連携による空間の確保及び人為活動等に積極的に取り組む枠組みづくりを行おう。
○ 一人ひとりの子どもが、まちの中で自然の恵みを受けながら、日々遊べる環境をつくるため、公有地・民有地が、遊びや、環境学習のために最大限利用できるような仕組みをつくろう。
(5)自然エネルギーの利用を推進しよう
○ 木質バイオマスのエネルギー利用等により、地域にある資源を地域内で消費するシステムを構築するとともに、地域間の交流により、都会においても需要を創出しよう。
○ 地域にある太陽光、太陽熱、風力、バイオマス(畜産廃棄物、林業廃棄物、家庭廃棄物、下水汚泥)などの自然エネルギーの地域での積極的な利用を進めよう。
○ 積雪寒冷地では雪冷熱エネルギー利用の可能性を検討し、公共施設等から導入しよう。雪氷エネルギーの利用により積雪寒冷地であることの利益を創り出そう。
(6)地球環境モデル地域をセットアップしよう
@ 地球温暖化防止に配慮したモデル地域を整備しよう
○ エコ滞在施設、エコスクール、エコカーセンター、エコ交通システム、エコ活動フィールドなどを組み込んだエコビレッジをつくろう。
○ 環境に関心が低い多くの住民に興味を持ってもらえるように「環境にやさしい駅」「環境によい商店街」として環境に配慮したエリア整備を行おう。
* 環境省は、地球環境に与える負荷が小さく、なおかつ質の高い「環のくらし」を体験できるエリアの整備とそこで滞在型啓発活動を推進します。
A モデル事業等を核に地球温暖化防止に配慮したまちづくりを進めよう
○ 環境学習・環境活動を住民・事業者・行政・学校が日常的に取り組めるようなまちの仕組みとなるような(エコカードや学校版環境ISOのような)システムづくりを行おう。
○ 電力会社・ガス会社等と協働し、地球温暖化防止活動の地域の取組の効果が、地域全体で定量的に評価できるシステムづくりを行おう。
│ 持続可能な社会づくりを地域のルールにしていこう │
○ 家庭や町内会でのCO2 排出量削減に向けての取組を数値化し、その努力を地域の公園への植栽、地域通貨の交付等により住民に還元する仕組みをつくろう。
○ 地球温暖化防止に向けた活動など環境の恵みを守る上で有効な活動、日常の行動などを単に奨励、努力するだけでなく、皆が尊重する社会のルールにまで高めよう。その際、地域の実情を十分配慮することが必要であることから、市民、事業者等の参画を確かなものとしたうえで、条例の制定を検討しよう。
(平成14年5月20日)
本日、環の国くらし会議、地域分科会(第2回)が開催されました。
「エコヴィレッジへようこそ」(小澤普照著)が刷り上がりましたので、参加者にお配りしました。
(平成14年2月16日)
本日の「環の国くらし会議」で出席者の辻 信一様から低エネ、共生などのエコロジカルなライフスタイルのシンボルだとのことで、ナマケモノの写真をいただきましたので掲載します。
同じく出席者の山本良一様より、地球を救うエコアクションの本をいただきました。
この本には、森林のこと木材のことも言及されていますが、27ページには、木を上手に利用して、持続可能な森林を育てようというテーマで、間伐材の利用、バイオマスエネルギーのことが書かれています。
そのほか、地球を救うためのヒントが満載です。
写真は環境省地球環境局環のくらし事務局提供です。