ロバの足音 ➡ 私の山歩き ➡ 北海道

 北海道には深田久弥が指定した百名山が9座あり、私はそのうち8座に登った。日高山系の幌尻岳(標高:2052m)のみ未登である。幌尻岳はアプローチが長いうえに、何度かの渡渉もあり山中に山小屋もなくテント泊となる等で二の足を踏んでいるうちに後期高齢者となってしまい登頂は絶望的となった。
  雌阿寒岳(標高:1499m)は自転車旅行で阿寒湖を訪れた際、時間に余裕があったのでサイクリングシューズのまま登った。北海道の山々は最高峰が大雪山旭岳(標高:2290m)で標高はさほどでもないが、緯度が高いので気象条件は本州の3000m峰に匹敵する厳しさがある。一般の登山者にとって登山時期は夏から初秋にかけての極めて短い期間に限定される。しかし登り始めるとすぐに高山植物に遭遇する、しかも、積雪期が長く夏季が短いので、本州の高山で6月~9月にかけて咲く花々が一斉に開き、日本有数のお花畑が登山者を迎えてくれる。
  山中には山小屋はなく、あっても無人の避難小屋のみなので歩行時間は極端に長くなりがちで、利尻岳、トムラウシ12~13時間を要した。雌阿寒岳以外の山行はクラブツーリズムの登山ツアーに参加した。


       利尻岳    標高:1719m  登頂:2002年6月

  利尻岳を初めて目にしたのは1973年6月のサロベツ原野からで、日本海に浮かぶ島というよりも、まるで大草原のかなたの独立峰のように見えたことを記憶している。2002年6月、利尻島と礼文島を訪ねる3泊4日のツアーに参加した。羽田から稚内まで航空機で飛び、稚内から利尻島鴛泊へフェリーで2時間弱、利尻岳は最北の百名山である。早朝、鴛泊の民宿を出発し海抜ゼロメートルから登るためまず日本海で手を洗い歩き始めた。ひたすら尾根道を登ったが強風をもろに受け這うようにして山頂に辿り着いた。麓から山頂までの往復歩行時間は12時間を越えた。登頂の翌日はフェリーで礼文島へ渡り咲き誇る花々の中のハイキングを楽しんだ                      写真をクリックすると拡大します。



        羅臼岳   標高:1661m  登頂:2001年10月
      斜里岳   標高:1545m  登頂:2001年10月

 知床半島の中央に位置する羅臼岳と半島の付け根にある斜里岳の登頂を目指して、3泊4日のツアーに参加した。羽田から網走女満別空港へ飛び、秋の知床五胡を散策し岩尾別温泉のその名も『地の崖て』旅館に宿泊した。時あたかも鮭の遡上のシーズンで幅2mほどの狭い渓流で押し合いへし合いする鮭の姿を見かけた。彼らは産卵のために生まれ故郷の川を遡上し産卵すると一生を終える。旅館のすぐ近くには温泉が流れる川があり、裸電球の下に石でせき止めた湯舟がしつらえてあった。時折、ヒグマも出没するそうなので恐る恐る湯に浸かった。
 紅葉の中、いくつもの沢を横切り羅臼岳の山頂に達したが、あいにくの曇り空で展望は今一であった。それでもオホーツク海に突き出た知床連山とはるかに国後島をぼんやりと望むことができた。
 羅臼岳に登った翌日、清里町から新道コースを辿り斜里岳に登ったが前日にも増して霧が濃く登山中も山頂に達した時も展望は全くなかった。私にとっては印象の薄い肌寒いだけの山歩きであった。北海道の山々は9月までには登頂すべきだと痛感した。             写真をクリックすると拡大します。



      大雪山(旭岳)    標高:2290m  登頂:2000年7月  
                                  再登頂:2000年9月

 初めて北海道の山を訪れたのは2000年7月であった。旭川から銀泉台に入り大雪山系赤岳の中腹のコマクサ平までのトレッキングでその名の通り高山植物の女王と云われるコマクサを初め多くの花々と出会った。 二度目は同年9月層雲峡温泉から入山しまず黒岳に登頂し、時計と逆回りにお鉢平を巡り、北鎮岳、間宮岳の中腹を巻き北海道の最高峰旭岳山頂に達した。地獄谷コースを下山しロープウエイを使い山麓へ、旭川に着いた時には夜になった。  写真をクリックすると拡大します。



      十勝岳     標高:2077m  登頂:2007年7月
      トムラウシ   標高:2141m  登頂:2007年7月

 トムラウシ温泉の東大雪山荘に2泊し十勝岳とトムラウシに登頂するかなりハードなな山歩きであった。十勝岳は活火山で火山岩の瓦礫の中をダブル・ストックで何とか辿り着いた。
 翌日、東大雪山荘を早朝に出発しトムラウシ山頂めざしあ。カムイ天上までひたすら登り、雲海の上に達ししばらく稜線を歩くと沢への急な下りが待っていた。沢で一休みすると再び登り返す、往復13時間を要したきつい山行であった。しかし山頂の雄大な眺めと広々としたお花畑に魅了され疲れはさほど感じなかった。   写真をクリックすると拡大します。



       ニセコアンヌプリ   標高:1308m  登頂:2010年9月
     羊蹄山         標高:1898m  登頂:2010年9月

 ニセコアンヌプリと羊蹄山の道南二座を登るツアーに参加した。ニセコアンヌプリは百名山ではないが、双耳峰のなだらかな裾野をスキー場として有名なニセコ高原に広げている。我々は山麓の五色温泉から秋の気配漂う登山道を落ち葉を踏みしめつつ登り山頂に達した。山頂からは正面に羊蹄山の美しい姿を望むことができた。
 羊蹄山は、旧名を後方羊蹄山(シリベシ山)と云いその円錐形の優美な山容から蝦夷富士とも云う。活火山であり山頂には大きな噴火口があって一周できる。山頂からは眼下に洞爺湖が、はるかに日本海、内浦湾が見通せる。我々は麓の真狩温泉に宿泊し登山の疲れを温泉で癒した。      写真をクリックすると拡大します。