ロバの足音 ➡ 私の山歩き ➡ 東北

  東北地方に百名山は14座あるが、そのうち朝日連峰、飯豊山、会津駒ケ岳は未登である。東北の山々は東北新幹線
 下車後の登山口までの交通手段が不便なため、登山ツアーに参加することが多い。これらの企画ツアーは東京発着、東京
 中心の企画で、松本に転居後の私には企画に参加することが難しくなった。上記の3座は今後ともまず登頂の機会はないと
 思われる。
  一方、東京在住中に八甲田山、八幡平、早池峰山、蔵王山、月山、鳥海山、吾妻山、安達太良山、磐梯山はクラブツーリ
 ズムの企画ツアーに参加し登頂したが、マイクロバス、ケーブルカー等をフルに活用し歩行時間は短く、登山というには少々
 気恥ずかしい。
  岩木山、岩手山は5泊6日の超のんびりの単独行だが、登山というよりも旅に近かった。
  尚、百名山ではないが、出羽三山の湯殿山、羽黒山も記載した。   



  八幡平     標高:1613m  登頂:2003年10月  
  八甲田山   標高:1584m  登頂:2003年10月  


  秋の鳴子峡、八幡平、八甲田山、奥入瀬渓流、十和田湖を巡る3泊4日の企画ツアーに参加した。新幹線と専用バス
 を活用した効率の良い欲張りなツアーで、おまけに晴天にも恵まれ東北各地の紅葉を堪能することができた。鳴子峡は
 展望台の周辺を散策しただけで、わずか1時間ほどの滞在であった。
  八幡平はバス駐車場から完備された遊歩道が四方に伸びており山頂まで30分もかからなかった。新雪で薄化粧した
 八甲田山もロープウエイでほぼ山頂に達し、広大な湿原毛無岱を横断し酸が湯温泉に下った。奥入瀬渓流を麓から子ノ口
 までしぶきを浴びながら遊歩道を散策した。十和田湖では湖岸や島の紅葉を遊覧船の上から楽しんだ。
                                     写真をクリックすると拡大します。



   岩手山   標高:2038m  登頂:2017年6月  
   岩木山   標高:1624m  登頂:2017年6月  

  5泊6日のゆったり日程で東北の百名山2座岩手山と岩木山に登頂した。
  初日、東北新幹線で盛岡へ、岩手山麓の網張温泉に宿泊。2日目、ロッジの主人の運転で岩手山登山口の御神坂口
 まで送迎してもらい小雨の中、登山を開始したが、しだいに雨が激しくなり寒さも加わり1500m地点で登頂を断念し
 下山した。3日目は移動日とし小岩井農場、盛岡市内を観光した。盛岡城跡からは盛岡市民のシンボル岩手山はもち
 ろん秋田駒ケ岳、早池峰山が遠望できた。4日目、盛岡から弘前へ高速バスで移動し、岩木山麓の嶽温泉に宿泊。
 5日目、岩木山に挑戦。6月初旬で山のシーズンにはまだ早く登山者は私一人。八合目までバスで運ばれ、八合目から
 約1時間で鳥の海噴火口を経て山頂に達した。眼下に日本海、はるかに白神岳、津軽半島を望むことができた。嶽温泉に
 宿泊し、6日目帰路についた。                    写真をクリックすると拡大します。



    早池峰山   標高:1917m  登頂:2007年7月  

  早池峰山は北上山地の最高峰で岩手県中央部にそびえる。この山特有のハヤチネウスユキソウはエーデルワイスの
 仲間と云われ、この花に会うために早池峰山を目指す人も多く、私もその一人だ。岳集落に前泊し河原坊、小田越を経て
 山頂へ達し、往路を下山する標準コースを歩いた。
  今回も登山ツアーに参加したが中高年の女性が多く、お花の周りや、山頂の蛇紋岩の巨石帯では渋滞するほど
 あった。あいにく山頂ではガスに覆われ展望できなかった。        写真をクリックすると拡大し



  出羽三山と鳥海山を巡る山旅    2004年8月

        鳥海山  標高:2236m  
        月山    標高:1984m  

  出羽三山と鳥海山を巡る2泊3日の登山ツアーに参加した。
 出羽三山は山形県庄内地方にある月山、湯殿山、羽黒山の三山で、古くから信仰の山、修験道の修行の場として
 知られている。鳥海山は山形・秋田の日本海に近い県境に聳える活火山で、その優美な姿から出羽富士とも云わ
 れる。我々は、まず湯殿山神社にお参りして登頂の安全を祈願し、次に杉の巨木が林立する羽黒山を散策、その日
 のうちに鳥海山ブルーライン四合目にある国民宿舎太平山荘に入った。
  翌日、鳥海山吹浦登山口より見晴台、鳥海湖を経て残雪の急登を登り、赤とんぼの大群に囲まれつつ鳥海山の
 山頂に達した。鉾立口へ下山する途中の木道でオコジョに出会ったが、カメラを向ける間もなく姿を消した。下山後
 、直ちに羽黒山の宿坊宮田坊に移動した。
  月山へは月山高原ラインの終点までバスで移動し歩行開始、御田ヶ原、仏生池の緩やかな斜面を登りほどなく
 山頂に到着した。山頂は月山神社の境内となっておりいわば私有地で、山頂を踏むこと自体が有料であったのには
 驚いた。日本の山の頂上には神社が祀られていることは多いが、有料の経験は初めてだ。下りはリフトを使い姥沢へ
 下山。水沢薬師温泉で汗を流し帰京した。2泊3日の日程でこのコースはきつく、歩行時間よりもバスでの移動時間が
 長く感じられ、景観やお花を楽しむゆとりは全くなかった。  写真をクリックすると拡大します。



   蔵王山   標高:1841m  登頂:2012年2月  

  宮城県と山形県の県境にそびえる蔵王山はなだらかな高原状の山塊で麓から眺めるとどれが最高峰なのかよく
 分からない。登山の対象としてよりもスキーや樹氷と温泉で有名なようだ。深田久弥が百名山に選んだのは恐らく
 山頂のお釜の神秘さに魅せられたからだろう。
  私は東京発のバスツアーで蔵王の樹氷見物にでかけた。したがって蔵王山の最高峰には達していない。宮城蔵王
 は苅田岳の中腹1600m地点まで雪上車のお世話になり山形蔵王はロープウエイで地蔵岳まで運ばれ、樹氷と霧氷の
 中を散策した。               写真をクリックすると拡大します。



   安達太良山   標高:1700m  登頂:2010年10月  
   西吾妻山     標高:2035m  登頂:2010年10月  
   磐梯山      標高:1818m  登頂:2010年10月  

  これらの3座はいずれも百名山であり、福島県の北部に位置する。3座を巡る登山ツアーへの参加であるが、あいにく
 ほぼ毎日冷たい秋雨にたたられ展望はさほど得られなかった。活火山の安達太良山は奥岳リフトで1350mの薬師岳
 展望台へ、そこから歩行1時間半で山頂の乳首岩に到達したが霧に包まれ展望なし。下りは牛の背、勢至平を経て
 ぬかるんだ道を5時間ほどかかった。途中、ツアー客の女性が岩場で滑落し救急車を呼ぶことになり大騒ぎ、宿に
 着いたころは暗闇であった。
  西吾妻山は山形県との県境に広がる吾妻連峰の最高峰である。天元台からリフトを乗り継ぎ、標高1820mの
 北望台へ、人形岩、大凹、天狗岩を経て2時間半ほどで池塘の点在する山頂に達し、下山は往路を引き返した。
 大凹の池塘や草紅葉は、時折雲の切れ間から顔をだす陽の光に輝いていた。
  10数年前、猪苗代湖の北に聳える会津磐梯山を初めて見たとき、スプーンでえぐり取ったような山頂の異様な姿に
 驚き爆発のすさまじさを想像した。磐梯山の西側八方台登山口から3時間弱で弘法清水を経て山頂に到着したが
 雨のため展望はなく、早々に裏磐梯桧原湖を目指して下山した。
  この三座を巡る登山ツアーも2泊3日できわめて強行軍であり山歩きを楽しむゆとりはなかった。
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