No02.土地は生もの


土地に関する知識のない珍。
相場も、土地を見る目もなく、
さらに、目当ての土地を申し込んでから、
契約までの期間の短さに翻弄されます。
良い土地は、迷っているうちに無くなってしまいます。


珍は、家康不動産を訪問する前に、インターネットと雑誌などで、
目的とする地域の土地情報をかなり調べていた。
雑誌などでは、土地の形と隣接道路程度しか描かれない。
場所があらかじめわかれば、カーナビの地図は、非常に解像度が高い。
少し安いな、と思う土地の周囲をカーナビの地図で調べると、
すぐ横に線路があったり、(これは、駅近を探しているので、出てきてしまう。)
必ず何か、訳ありである。
[土地に掘り出し物はない。]と言うことをよく聞く。
珍が調べる限り、その通りだった。
さて、いのさんが、出してきた情報。
よく見ると、珍がすでに調べてNGとなった情報が半分。
もう半分は、場所が想定範囲外のNGである。
当然と言えば、当然。
こちらの要望は、人づてで、正確には伝わっていなかったのである。
やはり、直接会って話す。と言うことの重要性を感じた。
無駄足ではなかったのだ。
ここで、初めて、土地に関する珍の要望希望の全てをいのさんに伝えた。
来週末までに、物件情報を準備して連絡してくれるとのこと。

日曜日の夜、いのさんから連絡があった。
今から、珍の家に迎えに行くとのこと。
すでに日は落ちており、さらに、外は雨が降り出している。
そんな中、早速、いのさんの車で現場に行った。
物件は、珍の要望通り、駅から歩いて10分以内。
駐車場を確保できるし、広さも申し分ない。
電気ガス水道も引き込み済み。
最近造成されたらしく、真新しい場所だった。
雨の中、境界杭を探して、泥まみれになりながら、線を引いてみる。
夜なので、日当たりや車の通り、雰囲気がわからない。
価格は珍の感覚から言っても、安い。
安い理由は、中間省略登記だからだそうだ。
中間省略登記とは、登記の際にかかる登録免許税等を1回分節約するために、
中間者の登記を省き、所有者から直接所有権移転登記を行うことだそうだ。
ある意味、これは、掘り出し物!
その日は、近くにもう一カ所物件があるとのことだったが、
これも、同じような広さと価格だが・・・・。
土地の横に、思いっきり水路があった。
これは、訳ありと言うことで、この価格だと納得。
とりあえず、最初の土地が候補と言うことで、申込みをお願いして、その場は引き上げた。
申込みとは、契約前の予約みたいな物で、通常は3日程度、契約優先権を得られる。
この申込みの期間に、家康不動産では、物件調査を徹底的に行うそうだ。
家康不動産では、この物件調査期間を十分に取るために、
申込み期間を伸ばすよう売り主と交渉し、7日程度の期間を取るようだ。
7日に伸びれば、買う側にとっても、考える期間が延びる。
珍もその間、考えをまとめることにした。

平日、会社に、いのさんから連絡があった。
例の土地の申込みが危ないという。
正確には、申込みは珍が早かったのだが、売り主の知り合いが割り込みをかけてきたようだ。
契約するのなら、早くしないと取られてしまうらしい。
珍は悩んだ。
いのさんは信頼できるのだが、ありがちなストーリー・・・。
売り主が契約を急がせようとしているのではないか・・・。
いや、事実ならば早急に決断しなければならない。
しかし、これではいのさんに物件調査をしてもらう時間がない。
土地が気に入っていれば、急いでも問題はなかった。
しかし、珍はあの土地の雰囲気に何か引っかかる物があった。
その日、珍は、その雰囲気をもう一度確かめるため、
早めに仕事を切り上げて、車でこの土地に向かった。
今晩は、前回のように、雨は降っていないが、不思議な感じの土地だ。
不思議な感じとは、何か不気味なのである。
前の道路がコーナーの連続で見通しが悪いからだろうか。
真夜中で、歩道に街灯が少ないからだろうか。
道路を挟んだ反対側の家並みが古いからだろうか。
いのさんからは、[一度不安になると、不安がどんどん増大して、買えなくなる。]
と、言われていた。
当時、ほとんど土地に対しての知識の無かった珍が、不安になるのは当然と言えば当然。
いつも夜ばかりこの土地来ていたので、昼間にこの土地を見たら、またイメージが変わるかも知れない。
だが、現在の状況は、その余裕すらも与えられていないのだ。
すぐに契約となったら、納得しないままこの土地を買うことになる。
珍は、いのさんに、[当初の予定通り、申し込み期間がとれなければあきらめる。]
と、連絡した。
一生物の買い物に妥協は出来ないという判断だった。
その後、いのさんの売り主側との交渉の甲斐あって、週末まで結論を延ばすことが出来た。
週末の昼間にもう一度、この土地を見てから決断できることになった。

文字だけだと、読むのつらいですね。(^^;;


今日のひとこと ★


家造りと言いますが、間取りを決める重要な要素は土地です。
道のないところに、玄関や駐車場をレイアウトは出来ません。
周囲の環境によっては窓の位置も変わるでしょう。
また、土地をはみ出すような形状の建物は建ちません。
建築条件もあります。
利便性も考えなくてはなりません。
買い物、通勤、通学・・・。
極端な話、家は土地で決まってしまうと言えるでしょう。
理想的な間取りを思い描いていても、その間取りを実現できる土地が無いと、
現実にはなりません。

土地は、家造りにとって、とっても重要ですよ。