第14号 世の中、男と女だけじゃない



「世の中、男と女だけだぜ」
未だに本気でそんなこと言ってる人がいる。
だけど、世の中、男と女だけじゃない。

                     

ある日、突然
「あなたの娘さんは息子さんでした。」
と、言われたら?
そんなことあるわけないと思いますか。
世の中、何が起こるかわからない。予想不能なことは日常茶飯事起きている。

                    

ある婦人科の先生のお話です。
不妊治療の検査の結果、ある女性が妊娠しない理由がわかりました。
どんな理由だったと思いますか。
性染色体がXYだったというのです。
どこから見ても彼女は女性でした。
勿論、男性と結婚していました。セックスも普通にできました。
おっぱいだってちゃんとふくらんでいました。
生まれたときから、女でした。
ピンクのベビードレスを着て、ピンクの帽子をかぶり、ピンクの靴を履いて、だれもが女の子だと思いました。
パパもママもおじいちゃんもおばあちゃんも助産婦さんもお医者さんも学校の先生も本人もだれも男だなんて思いませんでした。
男の人と恋をしました。そして結婚しました。
誰もがみんな祝福してくれました。
こどもがほしいと思いました。
なかなかできないので、悩んで不妊治療を受けました。
結果は「あなた、男でした。」
そりゃないぜ、Baby!

彼女は果たして男なのでしょうか。
性染色体がXYである、というだけで、「男」と決めてしまっていいのでしょうか。
彼女はこれからどうすればいいのでしょうか。
今まで、なんの疑いも持たずに女でいられたのに、XYというだけの理由でこれまでの人生をすべて否定するかのように男にならなければいけないのでしょうか。

ペニスが体の外部に飛び出しているとき、世間では一般的に「男」と決めます。ところが、睾丸が体の奥に隠れていることはよくあるそうです。
性染色体がXYの別の人の例です。その人の場合、睾丸のようなものが体の中にあったため、子どものころ抽出手術を受けました。彼女は女の子として育てられました。でも、当然、子宮はありません。XYでペニスがなくて子宮のない女の子というわけです。

                     

蔦森 樹さんは車の免許は女になってるそうです。確かパスポートは男だって言ってたような気がします。もともと男の中の男みたいな人で男らしく女性と結婚していたこともあります。が、「そしてボクはおとこになった」を書いて女になることにしたという人です。彼女は今、法政大学の講師をしています。彼女も最近はすっかり女性が板についてきて、とってもきれいです。赤いミニスカートのスーツは180cmの長身によく似合っています。
ある講演会で、会場の人から、
「女性の服にこだわるのは、それもやっぱりジェンダーにとらわれてるいるんじゃないか。」
と言われて、
「着たい服を着てるだけよ。あんた、了見せまいのよ!」
と、言っていました。
彼女も場合、ずっと男やってて、ある日突然女になろうって、女性の服着たり、化粧したりしはじめたんですから、みんなに驚かれました。仕事を失い、友達も失い、親からも見放され、とうとう妻もついていけないと去って行きました。そんなふうに女になる人だっているのです。

世の中、男と女だけ。本当にそうなのでしょうか。
証明書一つとっても男の欄と女の欄しかないと、トランスジェンダーの人たちの講演会に行ったとき、みなさん、嘆いていました。
「男便所と女便所しかないから、あたしたち、堂々と入れるトイレがないのよ」
と、言っていました。唯一、母子手帳だけは、性別の欄が(男・女・不明)なのだそうです。
「そんなの、おまえらおかしいんだよ。」
と、済ませていいのでしょうか。自分に理解できないというだけの理由で、人が人を排除したりしたくないと思います。



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