第17号 百年前の男

                          
                       

「うちの主人、なにもかも私にさせるのよ。自分では何にもしないの。」
主婦のU子さんが嘆くと、やさしい主婦のE子さんが言った。
「そういう男性は会社では人を使うのがお上手でやり手な方なのよ。
いいお仕事なさってるわ、きっと。」
よくそういうフォローが思いつくなと感心していると、U子さんは再び嘆いた。
「会社でいい仕事するんなら、
家でもいい仕事してほしいんですけどね。」
E子さんのフォローはさらに続く。
「お疲れなのよ。そういう方って、とってもいいご主人だと思うわ。」
いいご主人
U子さんは、にやりと笑ってこう言った。
「百年前ならね。」

百年前ならいい男。
気に入りました、この言葉。
私はそれから目を光らせて”百年前の男”を捜したのであります。


”百年前の男の条件”(2000年版)

・家事をしない。妻が熱を出していても「オイ、メシはまだか。」と、言ったりする。

・自分の衣類の管理が出来ない。自分の家のどこになにがあるか把握してない。湯上がりに妻にパンツを持って来させる。

・妻を身の周りのことをなんでもしてくれる便利屋だと思っている。TVのリモコン、新聞、水、パジャマなど、自分が今必要なものを妻に持って来させる。

・家族の者を叱るが、自分は誰からも叱られない。時には、支離滅裂な命令を下すこともある。

・妻が働きたいと言うと「ダメ」と拒否し、妻を家に閉じこめておこうとする。そのくせ、時々「誰のおかげで食わせてもらってると思ってるんだ。」と怒鳴ってみたりする。

・自分の考えが唯一だと思っている。考えが及ばなくなると、突然「そのことはお前にまかせた。」などと言って逃げる。

・自分の子どもは可愛い。が、遊び方を知らないで、やたらにかまって泣かせたりする。泣くとすぐ妻にパスする。

・育児は全面的に女の仕事と思っている。が、お上のおっしゃることには従うくせがあるので、「育児をしない男を父とは呼ばない」なんて広告を見ると、子どもに離乳食を「あーん」なんて食べさせて「オレは育児に協力的だ」などと自慢する。その上、平気で「イヤー、しかし、さすがにオムツはかえたことがない」などと堂々と言ってしまう。

・浮気は男の甲斐性とか言って、堂々と浮気をする。時に夜の保育園に通い保母さん(バーのママ)に甘えたりする。売春しても悪びれず、売る者のせいにしたりする。妻とのSEXは強姦に近い。

・愛は天から降ってくると思っていて、自らは何の努力もしない。そして「男は常に愛を求めているものだ。女と違って・・・」などとぬかし、妻に母の愛を求めたりする。



何故、百年前の男が消滅しないのでしょうか。
それは、百年前の男を支持する女が大勢いるからです。
「夫にゴミ出しは頼めない」
「なんにもしなくてずるいと思いつつも、やっぱり、夫には台所に立ってほしくない」
「普通の女と浮気するのはイヤだけど風俗嬢とするならかまわない」
百年前の男をヨイショする彼の母親、
百年前の男に逆らえない妻たちが彼らを支えているのです。
誰も困っていないなら、なにも問題ありません。
けれど、彼らを支えている女たちは彼らに振り回されて困っているのです。
だったら、支えるのを止めればいいのです。
だけど、現実はなかなかうまくいきません。
ついつい、支えてしまうのです。

問題の根元は彼らが女をバカにしている点にあります。
彼らの理論はこうです。
「男は女より偉いのだ」。
女にたててもらわないと機嫌が悪くなる男たち。
自分の行動で人が苦しんでいる事を想像することができません。
「家族はみんな幸せだ。家族は愛に包まれている。」
なんて簡単に思いこんでいたりします。
命令と服従とでしか思考できないので、
お互いが納得できる解決策をみいだすことができません。
話し合いを勝ち負けでしか理解できません。
負けたくないから、話し合いにならないのです。
そういう男をかえることは、まず、できません。
死んでもらうよりほかに方法はないのです。



「夫を育てる」とか「夫の教育」とか言う言葉がありますが、私はそういうのって苦手です。人が人を育てるなんて、そんな技、私にはないからです。


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