第21号 フィンランドの子育て



                                   

フィンランドでは、
「ありがとう、ありがとう。」
と言いながら、子育てしていたけれど、日本に帰ってきたら
「ごめんなさい、ごめんなさい。」
と謝りながら、子育てしなければならない。
それが、日本とフィンランドの一番の違いだ。

と、おっしゃるのは、フィンランドでの子育て経験をもつK子さんです。



フィンランドでは、ベビーカー使用で電車に乗るとき、電車賃が無料になります。
理由は、ベビーカーを押している人が財布の出し入れをするのは大変だからです。
電車に乗るときは、周りの人が気軽に手を貸してくれます。
だから、子どもがいても電車を乗り継いで遠くに行くのが苦になりません。
タクシーに乗るときは、ドライバーがなんでもやってくれるので、
お母さんは赤ちゃんを抱っこしていればいいのです。

日本では、ベビーカーを押している人が
みんなに迷惑をかけているという顔をされることがあります。
エレベーターのない駅で、K子さんは遠慮なく、
駅員さんにベビーカーを運ぶのを手伝ってもらっています。
大抵、快く引き受けてくれますが、
時には、イヤな顔をされることもあると言います。
「それなら、あなた、ベビーカーたたんで、赤ん坊抱いて、階段を登ってみせてください。
今、やってみてください。」
K子さんは、駅員に、そう叫んだこともあります。
「ベビーカーの大変さをみんな知らなさ過ぎる。」

フィンランドの育児制度を紹介します。

(1) 育児休暇は、3歳までとれます。
   育休が終わったとき、同じ職種に戻れ、ベースアップされた給料が保障されています。
   生後10ヶ月まで66%の給料、1歳半まで月7万円、3歳まで3万円が支給されます。
   時間を短縮させて働くことも可能です。それは、6歳まで認められています。

(2) 男性も父親休暇や育児休暇がとれます。退院日から1〜2週間、ほとんどの人がとります。

(3) 市や国には、保育園で子どもをみる義務があります。
    預ける場所がなくて、やむなくおばあちゃんに預けることになった場合、
    月額7万円がおばあちゃんに支払われます。



父親と母親でとりたい方が育休をとって子育てができます。
何ヶ月育休をとるかはその人の自由です。
3人生んで9年休む人もいます。
働き始めても、時間を短縮したり、
父親と母親が時差をつけて働くことが可能なので、
子どもを保育所に預ける時間をできるだけ短くすることができます。
夕食は5時か、遅くとも6時ごろまでには、家族そろって食べられます。
休日の街や公園には、親子連れの姿が日本よりはるかに多く見られるそうです。



フィンランドには、ゴットファーザー・ゴットマザー制度というのがあります。
夫婦の時間を大切にするフィンランドの人たちは、
子どもが生まれたという理由で、
夫婦ふたりきりの時間がもてないのは当たり前とする日本的な考え方を持っていないそうです。
子どもたちをベビーシッターに預けても、二人で過ごす時間をつくる努力をします。
夫婦だけが二人だけで、海外旅行に出かけることもよくあるそうです。
そんなとき、飛行機事故などで、両親共に死亡なんて心配があります。
そういう時のためのゴットファーザー・ゴットマザー制度です。
両親に万が一のことがあった場合、
子どもの親になってくれる人を両親が選んでお願いしておくという方法です。
これで、安心して海外旅行にも出かけられるというわけです。



フィンランドのお話、あなたはどう思いましたか。
私の感想は第22号・第23号にまわします。




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