第23号 フィンランド人の価値観
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フィンランドの住み心地がよかった理由のひとつにK子さん(第21号参照)は、
次のようなことをあげていました。
「人の生き方について、世間のいろいろな批判がないこと。」
「世間のいろいろな批判がない」とは、
つまり、フィンランドでは、人々がそれぞれの価値観を認め合って暮らしているということです。
日本も、昔にくらべれば、さまざまな価値観が認められるようになってきましたが、
まだまだ、一つの価値観しかもっていない人はたくさんいます。
しかも、その価値観を人に押しつけようとする人がいるから始末に悪いです。
例えば、結婚していない女性に、
「早く結婚しなさい」だの「あなたが結婚しないなんてもったいない」だのと心配してくれる人ってえのがいます。
結婚したらしたで、「子供はまだか」といいます。
子供を生んで、やれやれと思っていると、「次の子はまだか」「一人っ子じゃかわいそう」攻撃がやってきます。
日本に住む女性で、これらの攻撃にあったことのない人はラッキーです。
私自身「結婚しろ」攻撃はもちろん受けましたが、もっとイヤだったのは、「子供をつくれ」攻撃です。
しまいには、「子供を作らないのか、できないのか。」と尋問されました。
これは、私にとって、はっきり言って拷問でした。
年輩の方のみならず、同世代の人でもこういうことを言う人はたくさんいました。。
人の生き様に関して、「ああしろ、こうしろ」「なぜこうしないのか」と言われることは、
フィンランドでは、まずないそうです。
それって、かなりうらやましいと思いませんか。
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結婚観もさまざまです。K子さんいわく、
「人々が結婚制度にとらわれなくなり、
人生のパートナーと生きていく形が必ずしも”結婚”という形ではなくなったのです。
同棲や別居結婚や通い婚であったりする。
安易に離婚するタイプの人々は、はじめから結婚しなくなったといいましょうか・・・」
と。
「結婚制度にとらわれなくなってきた」
それを、あなたは、愛の喪失だと判断しますか。
結婚こそ、愛の証と言えますか。
結婚制度の中にいないと、愛をはぐくむことはできないのですか。
結婚制度の中にいると、愛ははぐくまれるのですか。
フィンランド人は決して愛のない生活などしていないと思います。
フィンランドの人々は家族で過ごす時間をとても大事にしているようです。
それは、籍を入れているかいないかの問題ではないようです。
日本人みたいに、真夜中にならないと帰ってこないお父さんなんていないらしいのです。
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日本の帰宅拒否症のお父さんの話をご存じですか。
精神科医の斉藤学さんの著書の一つのお話です。
斉藤学さんが帰宅途中のお父さんたちにインタビューして
「これからまっすぐ家に帰るか帰らないか」調査したときの話です。
帰ろうと思えば帰れる時間になっても家へまっすぐ帰ろうとしないお父さんがたくさんいるというのです。
家に帰っても、狭い我が家、自分の居場所もろくになく、帰れば妻に愚痴を聞かされ、
おまけにやさしいお父さんまで演じなければならない。
それより自分が癒されたい。
だから、家に帰るのをやめて、バーやクラブという保育園に寄る。
そこで、自慢話やら上司の悪口やらを上手に聞いてくれて、
こまごまとやさしく接待してくれるママさんという保母さんに世話を焼いてもらう。
そんなお父さんたちを”帰宅拒否症のお父さん”と、斉藤学さんは呼んでいます。
私は、「そういうお父さんがフィンランドにもいるのではないのか」と尋ねました。
すると、こんな答えが返ってきました。
フィンランドのTVで、日本のバーのホステスやクラブのママが紹介されたことがあります。
そのTV放送のあと、K子さんは、フィンランド人から、
「日本の男性はなぜ、ホステスやママを求めるのか」
と、質問され、返事に窮したそうです。
フィンランドには、バーやクラブはないそうです。
仕事の接待は、相手の人の家に呼びます。そこで、家族と一緒に食事をします。
フィンランドの人はホステスさんやママさんは求めません。ですが、
「恋人やガール(ボーイ)フレンドを持つということはあります。」
と、K子さんは、さらりと言っていました。もちろん、既婚者の話です。
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制度の中に安住して、「愛がある」と思いこもうとしている時代は
もう終わりにしたいなと思います。
いくら結婚していて、世間様が認めてくれていたって、
家に帰ってこないお父さんと愚痴ばっかり言ってるお母さんじゃ、
人生ちっとも楽しくないでしょう。
それから、制度の甘い汁につられて、
自分の人生ふいにするっていうのも、もったいない。
籍なんか入れてなくても、一緒に家にいて一緒に人生楽しめる、
あるいは、別居してても時々会って人生ともに歩んで行ける、
そんな生活の方がずっと潤いある人生っていう感じ、しませんか。
*フィンランドに結婚制度がなくなったと言っているわけではありません。
多様な価値観が認められているということです。
また、日本の結婚制度を崩壊しようと言っているわけではありません。
愛は制度でつながっているわけじゃないと言いたいだけです。
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