第7号 目上の人

                     

ある中学生が、こう言った。
「先生より先輩の方がこわいっすよ。
先生には、うっせえって言えばすむけど、先輩には言えないっす。」
別の中学生は、こう言った。
「ヤッパ、先輩は年上ですからあ、目上の人には従うのが礼儀じゃないですかあ。」

目上!!礼儀!!

こいつら、普通の中学生面して、実は、論語読んでるのかしらん。
というのは、冗談ですが、
私は、中学生の口から、目上とか礼儀とかそういう言葉がすんなり出てくる事実に驚いた。

学級崩壊だの多動症だの言われて久しい。
そりゃ全部のクラスがそうだとは言わない。
しかし、それが最近の様子であることはもう疑いようもない。
彼らが目上とか礼儀とか言う言葉を知っているとはとても考えられなかった。でも、彼らは知っていた。

彼らにとって先生は目上ではないし、礼儀も必要ない。
でも、先輩は違う。

    

”昔はよかった”って、昔の中に生きてる人はいうけど、本当に昔が良かったんだろうか。
私は子どもの頃、父から父の小学生時代の話を山ほど聞いた。
父の組の先生はとってもこわい先生で、いつも教卓の脇に竹刀をおいていていうことをきかない子をそれで叩いた。
体罰。体罰とは暴力です。
それで昔の子は先生のいうことをきいた。
今、先生がそれをやると教育委員会だ。
だけど、先輩後輩の縦関係には命令と服従の力関係がある。
働いていたころ、やっぱり、上司には中学の先輩と同じような威圧感があった。
尊敬できない上司に限ってすごーく人に威圧感を与えて人を動かそうとする。中学の先輩とレベルが一緒。

                       

目上と言えば、親。
親っていうのは、子どもから見たら必ず年上。”年上ですから、目上の人には従うのが礼儀じゃないですかあ”ってことなら、親は苦労しない。
私の場合、親は上司(先輩)と学校の先生の中間くらいだった。
自分の意見が全く言えないほどの仲じゃあないけど、結局、本音は言えない。
私が意見を言ったりすると、母は、「お前の指図は受けない。」なんて言う。
指図なんかしてるつもりは毛頭ない。ただ、普通の会話として自分の考えを言ったまでなのに、自分と違う意見に遭遇すると、相手に敵対心燃やして対抗してくる。話し合うってことが全然できない。
偉い人がいて、だれかに従う。或いは、自分が偉くて相手を従わせる。
それしか生きる方法を知らない。
もう、この年になると、親に意見は言えない。どうぞ、お好きなように余生をお楽しみください。そのかわり、私たちに余計なこと言わないでください。
上司や先輩にもそれが言えたら楽だよね。
      

                     

年寄りを尊敬しろっていう論語の教えがあるけど、あれも相当無理がある。
尊敬に値しない我が儘で自己チューなジジババに服従しろったって・・・
服従しないと「今時のお嫁さんは強いから」だのなんだのって自分がいかにもものわかりのいい年寄りのような振りをする・・・黙ってたって威張っていられた”昔はよかった”ってことにもなろう。


私は、尊敬に値しない目上の人の奴隷にはなりたくない。
年寄りだけを尊敬するんじゃなくて私は万人を尊敬したい。
年に関係なく人の意見に耳を傾けたい。
相手の年に関係なく自分の意見は言うべき時にきちんと言いたい。




                          




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