なぜ家庭で性教育が必要なのか


「幼児期から性教育なんて必要ない!」
と思う方もたくさんいると思います。
確かに”性”をいやらしいもの、恥ずかしいものと思い、
そのうえ、性教育とは
「外性器の名称や子どもの作り方を教えること」
ととらえていたら、性教育なんて必要ないと思うのも無理はないと思います。
しかし、性教育とは、ただ単に外性器の名称や子どもの作り方を教えることではありません。

性教育とは、
自分の体が大切であることを知り、
同時に他人の体も同様に大切であることを知ること

だと思います。

性に関する様々な情報を目にしたり耳にしたりするような年齢になったとき、
そこから正しい情報を選択し、誤った情報を排除する能力を身につけるためにも、
性教育が必要だと私は思います。

大人が意識するにせよ、しないにせよ、
ほぎゃーと生まれ、
「男の子ですよ」「女の子ですよ」と言われた瞬間から、
性教育ははじまっているのです。

自分の体は自分のものです。
そんなこと当たり前と思うでしょうが、
まだまだそれを実感していない大人が多いと思います。
自分の体であるのに、自分の性器を触ることに抵抗を覚えるだけでなく、
自分の性器の名称すら口に出せない女性。
「下半身に人格はない」などと言って、
自分が性欲をコントロールできないことを下半身のせいにする男性。
どちらも自分の体が自分のものであるという認識が薄いのです。

大人になって、急に
「自分の体は自分のものです。大切にしましょう」
と言ってもダメなのです。
性を自分の体から切り離したような感覚を
親が無自覚に子どもに与えてしまってはいけません。
「自分の体は自分のもので、かけがえのないものであり、
人の体も同じように大事なのだ」
ということは親が自覚して教育していく必要があります。

子どものさりげない性に関する発言に、
大人が激しく緊張したり、無視したりしていると、
子どもは「我が家のタブー」を学んでいきます。
小さいうちから、「我が家のタブー」を作ってしまうと、
子どもが性に関する悩みをもったとき、
家族に相談することができなくなります。

「性のことなど親に相談するものじゃない。
あんなことは自然と覚えていくものだ」
という人もいるでしょう。
しかし、そうでしょうか。
だったら、なぜ、10代の性感染症が年々増え続け、
親に内緒で妊娠中絶をする中高生があとを絶たないのでしょう。
性についての正しい情報を得ることもできず、
世にあふれる間違いだらけのエロ情報に毒されながら、
自分自身の性について真面目に相談する相手を見つけられずに悩んでいる若者がたくさんいます。
性に関する事柄を「我が家のタブー」にしてはいけません。
大人が自分自身の性に対する偏見に気づくことが性教育の第一歩です。

*良い子の性教育講座 第1章から第5章までを
まだお読みでない方は、そちらをお読みになってから、
第6章「子どもの性教育」をご覧になることをおすすめします。