夫婦の性

夫婦の性の問題を思いつくままに述べてみたい。

<マンネリ化>

結婚して何年たっても出会ったばかりのような「ときめき」がなくならず、
結婚前と同じようにSEXで燃えることができるという夫婦がいたら、とってもすごい。
「ときめき」は不安定から生まれる。
だから、結婚して安定すれば「ときめき」がなくなるのは当然だ。
もちろん、「ときめき」がなくなると、SEXがつまらなくなるということはない。
いつもの相手といつものことを楽しむよさだってある。
けれど、結婚という安定の中に身をまかせ緊張感を失っていると、
そのうち、無味乾燥で単調な味気ない性行為に愕然とする日が訪れる。
別にSEXなんかしてもしなくてもどっちでもいいんだけど、
あんまりしないでいるとパートナーにも悪いし、ま、夫婦だし、仲が悪いってわけでもないし、
たまにはつきあわないとマズイよなってな具合のSEXをしていると、
だんだん二人の性欲も減退していく。
よく夫婦のSEXに満足してない人が
「SEXしたいわけじゃなくて、たまには夫に抱かれて愛情を確かめたい」
などと言うことがある。それはそれで別にいい。
が、「愛情の確認」のためのSEXって私はどうも好きじゃない。
「愛情の確認」のためのSEXなんかより、「快感の得られる」SEXを求めたほうがいい。
SEXで満足できたときって言葉で意識しなくても、自然とお互いに愛を感じるものだ。
「そんなの無理だよ」という声が聞こえてきそうだが、
そこは夫婦の限りない想像力と遊び心があれば不可能ではない。
SEXなんて気持ちよくなくちゃ、やってられない。

<子作りSEXの恐怖>

できればSEXなんかしないですませたいタイプの妻が子どもがほしくなって、
急にSEXに積極的になったりすると、ダンナのほうは戸惑う。
妻が性的に欲情して夫を襲うという設定ならまだしもだが、
朝会社へ行く前に「きょう、排卵日だからよろしくね」なんて言われると、
夫は帰宅するのがイヤになる。
そのうち、妻は子作りに不熱心な夫にイライラし出す。

他の女になら欲情するが、妻にはどうも・・・なんて言う飽きっぽいタイプのダンナの場合、
「子どもがほしいって言ってくれれば協力しますよ」なんて親切ぶったりする。
SEXは生殖活動ととらえる純潔一直線の妻はそんな夫にあまり疑問も持たないが、
「たまには私だって夫に抱かれたいわ」と思う多くの女性は
自分を振り返ってくれない夫に不満をもつようになる。

確かにSEXには”生殖”という大事な役割もあるが、
子孫繁栄のために発情する動物と違い、
人間だからこそ”快感目的”のSEXを大事にすべきだ。

<産前・産後の性欲>

妊娠中だって全くSEXできないということはない。
工夫次第ではいろいろ楽しむことは可能であるが、
身体のことを考えると、なかなかその気になれず、SEXをつつしむ夫婦は多い。
でも、妊娠中のセックスレスはみんなあまり深刻にならない。
女性は、私のことを思いやってくれているからだろうと思うことができるし、
男性は、妊娠中だから仕方ないと我慢することはできる。
問題は産後である。
女性にとって出産は人生の一大事だ。
ホルモンのバランスも変わるし、体調だって本調子にはなかなか戻らない。
赤ちゃんの世話に追われて睡眠不足で疲労気味でそれこそSEXを楽しむどころではない。
まさに、SEXするなら眠りたい状態になる。
それから、かわいい赤ちゃんを抱っこすることで案外スキンシップの面では満足してしまったり、
母乳を吸われることで性的興奮はしないまでも
別の意味で動物的に性的充実感が味わえたりするものだから、さほどSEXしたいと思わなくなる。
そんな状況の中、家事や育児に全く協力的でないダンナから
セックスだけは毎晩のように求めてこられたりすると、ますますSEXするのがイヤになってきたりする。

逆に女性はもうそろそろSEXしてもいいと思っているのに、
「母親になってしまった妻には女を感じることはできない」
なんてことを言い出す男がいるかと思えば、
立ち合い出産ショックから立ち直れない男性もいたりする。
立ち合い出産は、それなりの覚悟のある男性がすればいいのであって、
妻が無理矢理立ち合わせたり、なんの心の準備もなしに突然立ち合わせたりするのはやめたほうがいい。

<スケベ系サイトへのいらだち>

「アダルト・ビデオやスケベ雑誌を見ながら男はオナニーするらしい」
と、聞いてショックを受ける女性はまずいない。
が、自分の夫がそういうことをしていると過剰反応する女性がいる。

「不潔だわ」
「私というものがありながら・・・!!」
「こんな若い女の子の写真を見ながらオナニーしているなんて
私と比べられているみたいで不愉快だわ!」

夫婦のSEXがうまくいっていれば「全く男ってヤツは・・・」ですむのだろうが、
最近全くご無沙汰なのを不満に思っているところに、
そんなものを見つけてしまうと、妻の方はいらだちを覚えるらしい。
ゴミ箱からオナニーの残骸らしきティッシュの固まりを見つけてショックを受ける若妻もいる。

だが、ここは、一つ、「オナニーとSEXは別」ということで解釈してほしい。
また、最近ちっとも妻のほうを振り向いてくれないのに
夫がスケベ系サイト相手にオナニーばかりしているようなら、
「私というものがありながら・・・」と怒るのではなくて、
「じゃあ、たまには私から誘ってみようかな」くらい明るく考えてほしい。

セックスレスの夫婦で、
妻が一人で布団の中でオナニーしてる気配を感じ、
ショックを受けている男性の話を聞いたことがある。
女性向けアダルト雑誌も氾濫している。
そんなのをこっそり買って、隠している妻だっているだろう。
それを見つけた夫はやっぱり「オレってものがありながら・・・」とショックを受けるのだろうか。

オナニーしたり、スケベ雑誌を見たり、スケベサイトのHPを見たりというのは、全く個人の自由で
相手がそれを「やめてほしい」とか「ショックを受けた」とかいう問題ではないだろうにと私は思う。
二人の間で性についての話が気楽にできればそんなことお互いに全く問題にならないことではないのだろうか。

<変わった趣味へのとまどい>

結婚するまでは、そんなそぶりを見せなかったのに、
結婚してみたら、隠れて夫が女性のブラウスや下着を集めていたという話を聞くことがある。
ブルセラショップで女子高生が一回着た下着の収集だったら「只のスケベオヤジ」ですむかもしれないが、
どうも、その女性ものの服を妻の知らないところで着たり、
化粧をしたりして街を歩いていたりするらしいとなると話は深刻になる。
「私はそんなあなたと結婚した覚えはありません」と言われてしまえばおしまいだ。
理解しよう理解しようと思っても、どうしても理解できない妻だっているだろう。

妻にどうこうしてほしいという趣味になってくると、妻の悩みはまた大きい。
「他の男に抱かれてくれ」とか「オレはSM趣味なんだ。オレを尖ったハイヒールで踏んでくれ」だの
「ムチで叩かせてくれ」とかいわれると、普通の妻は夫の気が狂ったのではないかと面食らう。
二人の趣味が一致していれば問題にはならないが、
どちらかが理解に苦しむ状況なら、夫婦で納得いくまで話し合うほかない。

もちろん、反対に変わった趣味の妻もいる。
それで夫が頭を痛めるという場合もある。

<セックスレス>

セックスレスが必ず問題であるかというとそうではない。
「夫婦の趣味が同じでよく二人で遊んでいるから、セックスなんかしている暇がない。
私たちはセックスレスだが、そんなこと私たち夫婦にとって問題ではない」と言う人がいた。
パートナーも全く同じ気持ちであるなら、それは確かにセックスレスでも問題はないと言える。

が、セックスレスの悩みで一番多いのは、
一方が大いに悩んでいるのに、もう一方が全く悩んでいないというところなのではないだろうか。

セックスしたくないほうは、だいたい悩んでいない。
セックスを拒否されているほうが大いに悩んでいる
悩んでいる側は、セックスを拒否し続けるパートナーの態度に
だんだんと思いやりを感じることができなくなり、
自分を必要とされていない寂しさや虚しさを覚えるようになる。
セックスを拒否しているほうは、
「たかがセックス。セックスだけが愛情表現ではないわ」
などと気楽にとらえているから、パートナーの胸の痛みがよくわからない。

セックスレスは二人がなんとかしようと思わないと決して解決しない。

<浮気>

浮気は夫婦のSOSだ。
浮気が発覚したら、夫婦は大いにもめるべきだ。
知らんぷりして平気でいられる程度の仲ならそれでもいいが、
誰だって相手を独り占めしたいと思うのは当然だ。
だが、騒ぎ方には工夫が必要だ。
ただ、騒げば、パートナーが戻ってくるというものでもない。

まず、「自分たち夫婦はどうなりたいのか」自問することだ。
浮気をやめてほしいのか。
浮気しててもお金を入れてくれさえすればいいと思っているのか。
浮気されたら即刻離婚と考えているのか。

また、パートナーが「どういうつもりで浮気に走っているのか」その状況を正しく読みとることだ。
離婚して浮気相手と結婚したいとまで思い詰めているのか。
ちょっと「おいしいSEX」にありつきたかっただけなのか。
いくら反省したふりをしても一生治らない「浮気病」の人なのか。

へたに騒ぐと火に油を注ぐようなことになる。
他人を入れて解決を図るという方法もあるが、それは最後にしたほうがいい。
あわてて親戚を巻き込んで、騒ぎを大きくして、
周りが二人を壊していくことだってある。
浮気されても相手をまだ好きだと思えて、離婚したくないと思うなら、
とことん夫婦で話し合い、自分たちの問題と向き合うべきだ。
二人の努力によっては、今までの夫婦関係を見直し、
新たな夫婦関係の構築を計ることだってできる。
浮気されたほうは、相手が自分を愛しているかどうかより、
自分が相手を愛しているかどうかを基本に考えていくのがいい。
浮気しているほうは、だいたい夢うつつであることが多いので、
目が覚めるまで正気に戻らない。

携帯電話の普及で浮気が気楽にできるようにもなり、バレるようにもなった。
が、人の携帯の履歴を詮索するのはマナー違反だ。
見たいなら、本人の目の前で「見せて」と言って見るがいい。

夫婦の性の問題について思いつくままに書いてみた。
あなたの悩みは違うかかもしれない。
或いは、あなたは悩みなんか何もないかもしれない。
では、パートナーはどうだろう。
あなたの知らないところで、パートナーが一人密かに悩んでいたら、
それも、やはり夫婦の問題なのではないだろうか。
SEXなんかしなくたって、愛情表現はほかにいくらでもある。
なければないで、別に困ることもない。
確かにそうかもしれない。
でも、楽しいSEXを実現しながら、歳をとれたら、長い人生ちょっと楽しいじゃないか。