手仕事


シュタイナー学校では、男の子も女の子も編み物をする。
初めてドイツにヴァルドルフ学校ができたころからそうだった。
ヒトラーの時代の話なんだから、結構すごい。
いくらヨーロッパが進んでるからと言っても、やっぱり、初め世間は驚いたらしい。
うちの子が通う園も、男の子も織り機でベルトを作ったり、毛糸でポンポンを作ったりする。
別に変じゃない。
変と思うのは、大人のジェンダーに過ぎない。
ヴァルドルフ人形を抱っこしたり、おんぶしたりするのは、なにも女の子だけじゃない。
男の子もごく普通にそうしている。
誰もおかしいなんて思わない。
鋸で木を切って船作りをしたりする。これは、女の子だってやりたがる。

子どもたちが手仕事をする。
幼児だって、ひも3本で三つ編みをしたり、毛糸で指編みをしたりする。
3歳のころから、長いひもを部屋においておくと、自然とそれをなにかに結んで遊ぶようになり、
知らない間にリボン結びができるようになっている。特訓なんか必要ない。
ある幼稚園で、ある人がひもをたくさん編んで寄付しようとした。が、
「そんな危険なもの保育室におけません。」
と、言われてしまったそうだ。
園の方針によって随分違うものだ。
ひもをただの危険物にしてしまうか、年齢にふさわしい道具にするかは
大人の意識ひとつで違ってくる。
高い値段のあやしげな知育おもちゃを買うより、ずっといいのに。

幼稚園で、切りっぱなしの布が配られて、
「これで三角巾を作りますから、周りをかがってきてください。」
なんて言われることがある。名前を刺繍してくるように言われたことなんかもある。
ま、こんなこと、幼稚園ならよくあることだが、
私が面白いと思ったのは、それを、子どもの見ている前でしろという注意がつくところなのだ。

針仕事は、子どもの見ている前でしろ。
面白いと思いませんか。
私は、針仕事は危ないから、子どもが寝た後することだと思っていた。

子どもは大人の模倣をして育つ。
大人は、子どもの遊んでいるかたわらで、手仕事をしている。
時々、子どもがお母さんのしていることをまねしてみたり、できたもので、さっそく遊んでみたりする。
そんな親子が、理想らしい。

が、私には、とてもできません。
苦手な編み物に挑戦したとき、その手つきの悪さに見かねた夫が言いました。
「あんた、すっごく似合わないよ。」
どうにかして編みぐるみのネコを作って子どもたちにプレゼントしたかったのだが、
何年かかっても出来上がらず、結局、園のバザーで買いました。
編み物は私全然できません。
ワープロのキーボードだったら、アッという間にうまくなったんだけど・・・・

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