森林についての質問と答え


最近、各地の小学校の先生や生徒さんから、森林についての質問がくるようになりました。
質問の内容を見ますと、多くの子供や大人が持っている疑問ではないかと考え、質問に答えるためのページを作りました。
皆さんと一緒に勉強しましょう。
質問は、Fax: 03-3370-9872 へ。

森林塾 森林博士 小澤普照(おざわふしょう)


質問 41

私は、秋田県の中学校の1年生です。総合の学習ということで、「自然と人間」というテーマで、私は、「森林と環境問題について」を調べていましたが、なかなか、いい資料が見つかりませんでした。
調べていて、「小学生森林塾」のHPを開きここに、質問をしたいと思い、メールをしました。
中学生ではあるのですが、よければ質問に答えて頂けたらと思います。
Q1 これから、森林や、環境はどうなると考えられているか。
Q2 これからが心配だと思われること。

答え

森林博士からの答え

Q1 これから、森林や、環境はどうなると考えられているか。

「これからどうなるのか」という問題は、「将来予測」、或いは「未来予測」と呼ばれる分野です。
森林の、未来予測が、世界中に大きな反響を呼び起こしたのは、今から25年前の、1980年のことでした。
それは、この年、アメリカ政府によって報告された「西暦2000年の地球」という報告書でした。
日本語訳は、家の光協会から2冊の本となって発行されています。学校の図書室にあるかどうかは分かりませんが、図書館にはあると思います。その第一巻に森林の予測が、詳しく書かれています。
この時の予測は、毎年1800万ヘクタールから2000万ヘクタール減り、全体では、1980年の約26億ヘクタールから、約21億ヘクタールに減るであろう。
熱帯地域などの途上地域では、もっと激しい減り方になるというものでした。
  
このころから、地球環境問題も大きく取り上げられるようになりました。
それは、地球温暖化問題でした。
これについては、いろいろな、本も出版されていますから、学校の図書室にもあると思います。

このままでは、大変なことになるというので、1992年にブラジルで、国連が、大きな会議(国連環境開発会議)を開きました。
地球サミットなどと呼ばれています。
ほとんど、世界中の国が参加しました。
  
この時、森林についての方針(森林原則声明)と、温暖化対策(気候変動枠組み条約)などが決まりました。

そして、世界中が協力して、森林問題や環境問題に取り組もうということになりました。

その結果、どうなったかといいますと、森林については、小学生森林塾の、質問36にあるように、世界の森林面積は、38億7千万ヘクタールで、(先ほどのアメリカの報告より、多くなっていますが、今世界で使われている数字は、国連の食料農業機構(FAO)がまとめた数字で、森林として数える場合の、木の密度などが、アメリカ政府の考え方と違うためで、実際に森林が増えたわけではありません。
問題は、相変わらず、森林が減少していることで、熱帯林では、やはり激しく、毎年日本の国土面積の約3分の1に相当する1,230万ヘクタールが減っています。
1980年当時ほど、減り方は激しくはありませんが、やはり減っています。
熱帯林以外では、植林で増えているところもありますが、増えた分を差し引いても、世界全体では、毎年約900万ヘクタールの森林が減っています。
この状態が続きますと、どうなるかということですね。
このまま、森林が、世界全体で減り続けると、温暖化防止もうまくいかなくなることが考えられます。
それでは、世界全体が困りますから、どうしたらこれを防ぐことができるかということを考えなければなりません。
あなたも考えてください。

Q2 これからが心配だと思われること。

結局、これからの心配というのは、森林が減ったり、エネルギーの無駄遣いをしたりしていると、温暖化も進み、人間も動物も植物も地球に住めなくなることだと思われます。
これを防ぐには、一人ひとりが、何をすればよいかを考え、人任せにしないで、それぞれが役割を決めて努力をするということです。
小学生でも中学生でもできることは沢山あると思います。
総合学習の時間でも、何をすればよいかについて 、皆で智恵を出し合うようにしてください。
森林博士も、最近は炭焼き活動をしています。
では、皆さんもがんばってください。


質問 40

総合学習で種から木になるまでと・種から花になるまでと・木と花に適している環境を調べているのですがどのホームページを開いてもありません。
お答えお願いします。

答え
ホームページにないのではなく、検索の仕方が良くないとか、入力するキーワードが良くないとうまくいきません。
種から木とか、種から花というのは、発芽の仕組み、樹木、種子、発芽、などという言葉を入れて探す必要があります。
木と花に適している環境というのは、樹木の生育環境などと入力してみたら、いろいろ出てきます。
こどもが使う言葉だけで探そうとするとむつかしいかもしれません。

ところで、皆さんに分かりやすいホームページとしては、NHKの学校放送のサイエンスゴーゴーが良いでしょう。
先ず、http://www.nhk.or.jp/rika5/ja/frame.html にログオンして、2004年度第1回発芽のひみつ、第2回植物が育つには を撰んでクリックすると、君の探しているものに近い話が出てきます。
さらにこどものページをえらぶとくわしい話が出ています。
頑張って勉強してください。


質問 39

私は北海道朝日小学校の小学5年生です。
今、総合で「身の回りの環境」を見直す勉強をしています。
そこで、森林は地球にどのような効果をもたらすんでしょうか?
地球に森林がなくなるとどうなるんですか?
そして、身近なことで森林を守るにはどうすれば良いのですか?
良い返事をお待ちしております。m(_^_)m  I・Y



森林博士の答え

森林の地球にもたらす効果ということは、森林のはたらきということになります。
ふつう考えられることは、まず、水の循環に対する働きです。
森林があるとそこから水分が蒸発し、ふたたび雨になって降ってくる。
森林は降った雨を一時貯える。洪水などを防ぎながら、じょじょに流れ出した水は途中で使われて、あまった水は海に流れ出す。海の水も一部は蒸発して、また雨になって降ってくる。蒸発するときに水はきれいになります。このように森林は、きれいな水を安定して循環させるのに役立ちます。
次は、炭素の循環です。森林は空気中の炭酸ガスつまり炭素を吸収して生長し、そのとき酸素を出します。森林は空気をきれいして、炭酸ガスを吸収するので、温暖化を防ぐ働きをします。
森林は、動物や鳥や昆虫のすみかとなって、生き物を守る働きをします。

もし、森林がなくなると、雨も降らなくなり、さいごには砂漠になるでしょう。
また、温暖化がすすみ、海面があがり、人や動物の住む場所が減ってきます。
いずれにしても、地球から森林がなくなれば、人間や生き物も住みにくくなります。
それは、砂漠を想像すればわかることです。

では身近なところで森林を守るにはどうすれば良いかということになりますが、森林が荒れたり、破壊される様子は場所によって、ことなりますので、まず身近なところの森林の様子を調べるところから始めましょう。
人々の不注意から山火事が、起きていないか。
心ない人によってゴミ捨て場にされていないか。
森林の手入れをおこたって荒れた森林になっていないかなどです。

そのうえで、自分に何ができるかを考えましょう。

ところで森林そのものも循環しています。
種から芽が出て、生長し、樹木や森になります。
しかしやがては老木になり枯れて一生を終わります。
そしてまた新しい木が生長します。

ということで、森林が続くためには、森林の循環がとぎれることなく行われることが必要です。
このため、木が大きくなったり、混み合うようになったときは、木を切って使ったり、空いた場所には苗木を植えたりしてやることが大切です。

そこで、みなさんにできることですが、
たとえば、ドングリの実を集めてドングリ銀行に持っていく。自分で苗木をつくる。苗木をうえることもできるでしょう。

また木は大切に使うことも考えましょう。
紙などのリサイクルに協力しましょう。
資源ゴミを分別したり、古紙を使ったノートやファイルなどを使うようにしましょう。

木の枝や葉も無駄にしないように工夫してみてはどうですか。
炭に焼いたり、肥料を作ることもできそうですね。

まだほかにもあると思います。いろいろ自分で考えてみましょう。


質問 38

こんにちは、今、学校で森林の未来について調べています。
1.僕たちが森林の未来のためにできること。
2.森林の未来が僕たちの生活にあたえる影響について。
3.そのほか、どんなことでもいいので森林の未来について教えてください。
よろしく、お願いします。

宝塚市 小学5年生


森林博士の答え

1. 森林の未来には明るい未来が見えます。
  それは世界の各地で植林活動が活発に行われているからです。
 皆さんが出来ることは、森林を増やすために、植林のお手伝いをすることです。
 苗木つくりやドングリ集めもではます。

 一方、森林の未来には心配なこともあります。
 それは熱帯林が減っていることです。
 では熱帯林を減らさないために何をすればよいでしょうか。
 子供でできることはあまりないので、熱帯林のことをよく勉強をして、大人になったら熱帯に行って熱帯の国の人たちといっしょに植林をしたり、森林火災の防止のための仕事をすることができます。
 子供どうしの交流もするのがよいですね。
 インターネットを使えばできそうですね。
 試してみてはどうですか。
  
2.明るい未来が開けたときは、僕たちの生活はみどりに包まれ健康で楽しい毎日を送ることができるでしょう。
 もし、心配な未来になったら大変です。
 森林が減って砂漠のようになったら、人間も生き物も住みにくくなります。
 二酸化炭素も増えます。
 水不足になります。
 土砂が流れてきたり、黄砂が飛んできたりします。 

3. そのほかのこと
 二酸化炭素が増え、温暖化が進むと森林の未来に変化がおきます。
 どんな変化がおきるか考えてみましょう。
 例えば、今まで寒かったところが、暖かくなりますと、寒いところに適していた木が生きていけなくなります。
 ですから森林が枯れたりします。
 また、南の森林は北の方でも生きることができますからだんだん北の方に移動することになるでしょう。
 このように温暖化は森林の未来に大きな影響を与えることになります。


質問 37

博士さんへ
社会の授業で、「林業の後継者がいない」といっていたんですけど、どうしたら林業の後継者が増えるのですか?
後継者がいなくなると日本の森林はどうなるのですか?
鹿児島県 H.O


森林博士より

質問を拝見しました。
日本の林業は、ほとんどが規模の小さな、経営体です。
昔でしたら、規模が小さくても、木材も売れ、ほかの職業についても収入が少ないので、林業も「家業」として成り立ち、後継者を育てながら、続いてきたのです。
しかし、最近では、林業だけで、十分な収入を得ることができないことやほかの産業で働く人が増え、後継者を育てにくくなったということです。

では、どうしたら良いかということですが、最近は、都市に住んでいる人やほかの職業についている人に対して、林業に参加することを希望している人を募集して林業の専門家を育てることも行われています。
また、ボランティアの人たちにも協力をしてもらいながら、森林を守ることも大切です。
さらにまた、たとえば、規模の小さな森林を集め、大きな規模にして経営するとか、経営そのものも会社組織で行うようにするとか、思い切って新しい方法を考える必要がでてきています。

もし、後継者がいないままで、対策を考えて実行しない場合は、森林を管理する人がいないということですから、森林が荒れて、水を貯えたり、災害を防ぐ働きもおちてきます。
また炭酸ガスを吸収する働きもできなくなります。
そうなりますと、社会全体が困ることになりますので、社会全体で、林業をする人を応援したり、新しい方法を考えたりすることが大切です。


質問 36

初めまして、わたしは今、6年の、総合で、森林についてしらべています。それで、質問なんですが、今の森林の数は、どれくらいあるのでしょうか?あと、このままいったら、どれくらいの森林がなくっなってしまうのでしょうか?教えてください。 なるべく早く教えてください。お願いします。
渡辺  結花


森林博士より 

先ず日本の森林面積は、約2千5百万ヘクタールで、国土の約70パーセントです。

森林の減少はほとんどありませんので、数量は今後も変わらないでしょう。 

世界全体につきましては、森林面積は、38億7千万ヘクタールです。

森林の減少は、熱帯林ではげしく、毎年日本の国土面積の約3分の1に相当する1,230万ヘクタールが減っています。

ほかの地域では、植林で増えているところもありますので、増えた分を差し引いて、世界全体では、毎年約900万ヘクタールの森林が減っています。 


質問 35
                  
初めまして。私は、今「総合的な学習の時間」で、一年間に切られる木の数をテーマに調べ学習を進めている群馬の小5です。
よろしければ、お返事をいただいて、勉強に役立てたいと思います。
または、関連のHPのURLを教えて下さい。
よろしくお願いします。
  ,,
 ( ・> ☆ 野澤 綾乃 ★


森林博士の答え

日本で1年間に切られている木の量は、おおよそ2千万立方メートルです。
これは本数にして何本の木になっているかいうことは、数えられていません。
ですから、おおよそどのくらいかということを推し量ることになります。
1立方メートルの木というと、大きさは直径30センチメートル、高さ25メートルありますから、かなり大きな木ということになります。
実際に切られている木は、間伐材が多いので、もう少し小さな木ということになります。
したがって、3本で1立方メートルとすると、日本では6千万本の木が切られていることになります。
なお、世界では、1年間でおおよそ34億立方メートルくらいの木が切って使われています。
大きな木が切られているとすると、34億本ということになります。


関連URLは、http://www7.gateway.ne.jp/~fuozawa/elementaryschool_top.html
をご覧ください。


質問34

なぜ森林は少なくなったのか教えてください  宇土東小の5年2組女子より

森林博士の答え

この百年間に世界の人口は、4倍に増えました。
これが一番大きな原因です。
つまり食料が必要ですから畑を作ります。
さらにいえることは、増えた人間が、良いくらしや便利なくらしをしたいと望んでいます。
家や家具も良いものにかえていきます。
紙も沢山使います。
家畜を増やして、沢山の肉を食べます。
マキも沢山使うようになりました。
これらはすべて森林が少なくなる原因になっています。


質問33
1、木がいっぱいあるのに、なぜ、、木材の輸入をする必要があるのですか?
2、木は、なぜ切られても生きているのですか?
3、木には、心臓がないのですか?
日進市立北小学校 5年  斉木彩乃  中條夏芽 より

森林博士の答え 

1、 木がいっぱいあるのに、なぜ、木材の輸入をする必要があるのですか?

答え  日本には、沢山木があるのに輸入木材が多いのは不思議に思う人は多いと思います。
森林に木が生えていますが、すべての木には持ち主がいます。
木を使うには、持ち主が木を売ることから始まります。
皆さんのまわりに木を持っている人がいますか。
最近は、木のねだんがさがってきています。
ねだんがさがると持ち主は、売る気持ちがなかなか出てきません。
皆さんが持ち主だったらどうしますか。
これは、欲張りだからということではありません。
木を切って売ったら、植林をする必要があります。
植林には、お金も人手もいります。
今の木のねだんですと、植林をする費用がでないのです。
     
でもせっかく沢山ある木を使わないのは、もったいないことですから、植林も皆で手伝ってあげることが必要です。

2、 木は、なぜ切られても生きているのですか?

答え  木の種類が絶えないようにするためには、種子の発芽による有性繁殖と切り株や根から芽が出る(萌芽)無性繁殖(栄養繁殖ともいいます)の方法があります。
木にも寿命というものがありますから、一本一本の木が寿命がつきても、種子によって個体を増やすことで、森林を広げたり、遺伝子の掛けあわせで優れた子孫をつくる可能性もあるのが有性繁殖です。
一方、無性繁殖は、親と同じものができるので、進歩ということはありませんが、自分自身が生き延びる方法です。
これは若返りということでもあります。
自然は木にたいして、二つの繁殖方法を与えて、種の継続が行われるようにしているのです。

3、 木には、心臓がないのですか?

答え 
面白いことに気がつきましたね。
木には管があって、水分や栄養分を根から吸い上げ、葉でつくられた糖分を下におろして幹を太らせたりしています。
このような管は血管と似た働きをしていますが、木は動物のように自分自身が動いて短時間に大きなエネルギーを使う必要がありませんから、心臓がなくても生きていけるのです。
しかし、心臓に当たるところはどこかといえば、それは葉が集まっている樹冠であるといえるでしょう。
そこでは蒸散作用を行っていますから、水分などを下から上に引っ張り上げることにやくだっていると考えられます。
ですから、心臓ではありませんが、似た働きをしているといえるでしょう。


質問32

<大昔が植えついで、現代の私達に送ってくれた遺産>と、書いてある、本を、読みました。そこで、質問です。木は、長生きと、分かっていますが、大昔から、現代まで、木は、生きてくれるのですか?

日進市立北小学校5年斉木彩乃(さいきあやの)より
 

森林博士より

斉木彩乃 さんへ

木はたしかに長生きです。
日本の木でも、鹿児島県の屋久島に生えている、ヤクスギは、1000年以上の木はたくさんありますし、3000年も長生きしているものもあります。
ヒノキの大木で、500年から1000年くらいの長生きの木があります。
またスギの大木でも500年以上のものもあります。
でも、森の中の木は、おおよそ300年も生きれば、枯れたり、くさったりします。
100年くらいで一生をおわる木もあります。
では、どうして森は何万年も何十万年も何百万年もさらにもっと昔から続いてきたのでしょう。
それは、ふつうは、木がおおきくなると実をつけ、種が地面に落ちて、そこから芽が出て、大きな木に育っていきます。
何百年も生きた木が、とうとうたおれてしまっても、たおれた幹に、種が落ちて、そこから木が生えることもあります。
これを倒木更新(とうぼくこうしん)といいます。
カナダでとった写真を、森林博士のインターネットで見てください。
先ず森林塾のホームページ http://www7.gateway.ne.jp/~fuozawa/ から小学生森林塾のページを開き、つぎに世界の森林の状況のページに入ります。
直接、世界の森林の状況の写真を見るには、次のアドレスから入ってください。
http://www7.gateway.ne.jp/~fuozawa/elementaryschool_forestphoto.html
また、動物や鳥が木の実を食べて、種は消化しないで、遠くに運ばれて、地面に落ちて、木が育つこともあります。

今では、人間が種をまいたり、木の苗木を植えたりして、森をつくったりしています。
本に書いてあったことは、人間が、大昔から木を植えて、現代におくってくれたと書いてあるのですか。
それとも、大昔がというのは、自然がという意味かも知れませんね。
もう一度よく読んでみてください。
森や木は、人間が地球にあらわれるより、もっとずっと昔から、生きつづけてきました。
1000年から2000年くらい昔ですと、人が木を植えたということがあるかも知れません。
でも、日本や世界全体からみれば、大昔は人が植えた木は、ほんのわずかなもので、ほとんどは、自然に落ちた種とか、風で飛ばされたり、動物などが運んできた種、から育ったと考えるのが正しいのです。

つまり森や木は、自然からのおくりものなのですが、それを人間が増えてきてへらしてしまいました。

ですからこれからは、人間が森や木を守ったり、木を植えて増やす努力をしたりしなければなりません。
また、木は長生きでもいつまでも生きるわけにはいきません。
そこで人間が、木を使わせてもらったときは、きちんと苗木を植えたりして、お返しをしておくことが大切です。


質問31

私は、小学校4年の、女子です。
私は、理科で、森林について、調べています。
1、なぜ、日本で、使う木材に、輸入材が、ふえてくるのかを、調べたいので、教えて下さい。

2、フィリピンで、国土83%を、しめしていた、森林が、1980年にはなぜ、16%になってしまったのかを、調べたいので、どうか、教えて下さい。
出来るかぎり、早く、お願いします。


森林博士より

メール拝見しました。
大変むつかしい勉強をしていますね。
頑張ってください。

さて、最初の質問ですが、木材というものは、世界共通の商品として、輸出や輸入が行われています。
もちろん昔は、外国のものを買うお金もあまりないので、近くの森から切り出した木材を使っていました。
今は、日本から自動車や電気製品などを沢山輸出し、石油、食料、木材などを輸入しています。
それにしても、木は国内に沢山あるのに、何でそれほど、輸入するのだろうかとしいう疑問が出てもおかしくはありません。

ところで日本の森で育った木が、市場に出まわるには、木を育てた人(森の所有者)が、木を売りたいという気持ちにならなければなりません。
ところが、最近は、木材の値段が下がってしまい、所有者が、たとえ木を売っても、その代金で、木を切ったあとに植林をするお金が得られないという状態になっている場合が増えています。
また昔とはちがい、森の所有者は、たいていはサラリーマンなどになっていて、生活をするためのお金は、給料で得ている場合が多いということもあるでしょう。
つまり無理をしてでも木を売ってお金にかえるより、もう少し値上がりするまで待ってみようという気持ちになってもおかしくはありません。
ところで、木の価格というのは、立ち木の価格、丸太の価格、柱材のような製材品の価格というように、いろいろありますが、木を育てた人が受け取るのは、立ち木の価格で取引された立ち木の代金ということになります。
では立ち木の価格がどうなっているかというと、これは、平成13年度の「森林・林業白書」(今年発行)の96ページを見ますと、平成13年のスギの立ち木の価格は、1立方メートル、約7千円で、今まで、一番高かった時の31パーセントの価格まで下がっているとのことです。
立ち木の価格というのは、丸太のように市場で取引される商品の価格から、それまでにかかった経費を差し引いたものが、立ち木の価格になりますので、商品価格が下がり続けている一方、経費はなかなか減らないので、立ち木の価格が大幅に下がる状態になっています。
一方、外国の木材は、給料が日本と同じくらいのアメリカやカナダなどの先進国と賃金が大変低い発展途上国からの両方から入ってきます。
アメリカやカナダは、大量生産などの方式で、経費をまかないます。
賃金の低い国では、能率の低さを安い経費でおぎないます。

以前は、外国の木材がやすいから沢山入ってくるといわれていましたが、現在では必ずしも外国産の木材がやすいということではありません。

しかし、日本より、農業や林業などの比率が高く、(アメリカでも農業や林業がさかんです)、森の木を商品にしようという気持
ちも強く、大量の木材を日本に対して、日本の注文に応じて、いつでも輸出してこれるということです。

そこで、最近日本では、まず身近にある木、つまり地域材を使う運動がさかんになってきています。

また、間伐材を使うことは、良い森林を増やし、炭酸ガスも吸収して温暖化防止に効果がありますので、消費者がこのことを
理解して、地域材や間伐材を大いに使うことが大切です。

さて2番目のフィリピンの森林ですが、森林博士は、この3年間に2回フィリピンに行って来ました。
実際の状態は、確かに森林が少なくなってしまい、森林が減ったところは、水田や畑、牧場などになっています。
今、森林を増やす試みも行われていますが、人口増加、貧困などの問題から、簡単には森林は増えない状況です。
なお過去の森林が減少した事情については、フィリピン生まれの米国人で森林の専門家であるパトリック・デュガンさんが書かれた論文を添付ファイルで送ります。
大人でも理解がむつかしいフィリピンの森林問題ですが、たとえ小学生でも、あなたの質問は高い水準でしたので参考のためつけておきます。


質問30

はじめまして。

一つ質問があるんですが、日本と世界の背丈が高い木と背丈の低い木のベスト5を教えてほしいのですが。
今度発表があるので、出来たら早めにお願いします。
よろしくお願いします。



世界で一番背が高い木は、オーストラリアのユーカリの一種で156メートルの記録があります。
そのほかでは、アメリカのセコイヤで、
112メートルの記録があります。
同じく、アメリカのダグラスファーは、
100メートルになるものがあります。
日本では、福島県の杉沢の大杉が
68メートルで1番といわれています。

低い木の王者は、ハイマツでしょう。

次のホームページに参考になる資料があります。
http//www.kyoboku.com/juko/juko.html


質問29

初めまして!私は小学五年生の遠藤マミと言います。今総合学習で、森林について学んでいる所です。それで、森林の事は、とても深刻な問題だと分かったので、私達に出来る事を調べるという事にしました。
それで緑を増やす私達でも作れる道具は、ありませんか?出来る事でもいいので、おしえてもらえないでしょうか?ぜひメールの返事を下さい。よろしくお願いします。



遠藤 マミ さんへ

緑を増やす道具というと、普通は、苗木を植えるための道具ということになります。
具体的には、スコップやクワを使います。

次は木を育てるためにカマで雑草を刈ったり、枝打ちをするためナタやノコギリを使います。

これらは皆鉄で作られていますが、この中で皆さんが、作れる道具というと、スコップなら木か竹で作れないことはな     いと思いますから挑戦してみたら良いとおもいます。
サイズは、大中小とありますが、先ず小さいものでしたら、竹でも作れます。
これは苗木の掘り取りや、花壇つくり、ガーデニングにも使えるでしょう。
小型ができたら次は中型にチャレンジも良いでしょう。
名前もつけてみたらどうですか。
ハリーポッターをもじって、ホッター君(穴を掘るので)というのもおもしろしいと思いますが、自分で考えてみてください。


それから、植えた木が大きくなってくると、これをはかってみたくなります。
高さをはかるには、測竿(そくかん又はそっかん)を使います。
5センチきざみくらいに木か竹の棒にしるしをつけて、2メートルくらいの特製モノサシを作るのも良いでしょう。5メートルとか10メートルになると、測高器という道具を使います。
これも作れるでしょう。

幹の太さを測る道具もあります。
木の太さは地上1メートル20センチメートルの高さのところではかります。
この道具は、幹をはさんで直径を直接はかるものと、巻尺を応用して回りの長さをはかって、円周率で割ると直径がわ     かりますから31センチ4ミリを10センチとする巻尺をつくればよいわけです。

森林博士より


質問28

森林博士様

森林について教えてください。
日本で木はどのくらいきられているのか。(また、世界で )
今、一番 緑が、多いところ(日本・世界)  また、緑が少ない所(日本・世界)
緑を増やすには、どうしたらよいか? 最後に私たちに出来ること! 教えてください。!(^^)!
埼玉・小5・M.S                                                                                                                                           
答え

日本で1年間に切られている木の量は、おおよそ2千万立方メートルです。
世界では、1年間でおおよそ34億立方メートルくらいの木が切って使われています。

緑の多いところは、日本では、高知県が県の面積の84パーセントが森林です。
世界では、主な国の中では、フィンランドは72パーセントが森林です。

緑の少ないところは、日本では、大阪府の30.6パーセントがすくないようです.
世界では、イギリスの12パーセントが少ないところです。ただし、注意してほしいのは、世界のなかで、砂漠の国とか、あるいはまたアイスランドなどのような寒い国で、緑がほとんどない国もあります。ここでは、温帯地方や熱帯の国で木を植えれば育つところについてくらべてみました。

緑を増やすには、苗木を植える、種をまく、自然に生えてきた木を守るなどの方法があります。
種をまく場合も飛行機を使う場合もあります。
皆さんにできることも沢山あります。
学校林で木を植えること、緑の少年団活動に参加する、植樹祭などの町や村の行事に参加するのも良いと思います。
このほか、ドングリ銀行に参加することもできます。
エコカードを発行しているところもあります。
インターネットでしらべるといろいろなことがわかります。
それから、森づくりだけではなく、校庭の花だんづくり、自分の家の庭やベランダを使ってガーデニングをすることもできます。
自分でできることから実行してみてください。


質問27

 私は1学期から総合学習で 、「森」について学習しています。それで、発表することになって質問したいことが、あるんですけど・・・。まず、森にはなぜ木が必要なんですか? あと木は何年くらい生きていられるのですか? 最後にもうひとつ。森に植えられている木は動物たちに役立っているのですか? できるだけ早く教えてください!大阪府 小6 K.M

 森林博士の答
 
まず、森にはなぜ木が必要なんですか、という質問ですが、木がなければ、ふつうは森とはいわないわけです。一時的に、木がない場合は森として数えることもあります。それは近いうちに森になるからです。 
森林法という法律で、森とは何かということを決めています。
森とは、「木や竹が、集団で生育している土地およびその土地の上にある木や竹」をさすわけです。
川にはなぜ水が必要なんですかという質問も似た質問になります。
それより、なぜ森に木が育つのですかということは考えたことはありませんか。
木はどこにでも生えるものではありません。
例えば砂漠ではむつかしいですね。
    
木はあと何年くらい生きていられるかという質問とも関係がありますが、良い森林が生き続けるためには、良い土、水、気候などの条件がそろわないといけません。
木にも寿命がありますから、数10年で枯れるのもあれば、2千年も3千年も生きる木もあります。
森のように、多くの木が集まって生きている場合は、大体3百年くらいの寿命といわれます。
これは枝や根が隣の木の枝などとぶつかり合うので、あまり大きくなると自分の身体を維持するための栄養を取ることができなくなるためです。
つまり、植木鉢で木を育てるとして、木が大きくなると鉢を取り替える必要がありますが、大きい鉢と取り替えることができない状態といって良いでしょう。
ですから一本一本が離れている方が寿命はながいということになります。
5百年、とか千年以上の木もでてきます。
    
ところが森にはすばらしい力があります
それは、大きな木から種が落ちて、ふたたび生長して木に育つことができるということです。
ですから森は、一本だけの木とちがい、いつまでも生き続けることができるのです。
 
森に植えられている木は動物たちに役立っているかどうかという質問ですが、森の木には、人間が植えた木と、自然に生えた木があります。
植えた木は、ふつうは人が使うために植えたものですから、動物に食べられては困ります。
もちろん植えられた木でも動物がすみかにすることはできますから動物の役に立っています。
また、日本の国の森林は、植えられた森が全体の40パーセントで半分以下です。
動物たちのことを考えると60パーセントある自然の森を大切にすることが必要です。
それと、植えられた森は針葉樹が大部分を占めていますので、この中に広葉樹を植えたり、自然に生えてきたものを育てることによって動物や鳥などにとって役に立つ森に変えることができます。  

ここまでの質問と答は、平成14年5月発行の「エコヴィレッジへようこそ」に多少整理の上掲載してあります。


 
 質問 26   

私は、仙台市にある西中田小学校に行く、5年生です。
今、国語で森林の贈り物を、勉強しています。
そこで、疑問に、思うところがあったので、教えてください。

「カラマツやマツは、水に強い」と書いてあったんですけど、水に強いとは、どう言うふうに、強いのですか?

「戦争中には 石油も石炭もなくてバスやトラックを炭で動かしたほどでした。」と書いてあったのですが、どう言うふうにうごかしたのですか?

「森林に、降った雨が下流へ吐き出されるのは300年も500年もかかるそうです。」と書かれていましたが 湧き水はどうなんですか?

教えてください!
よろしくおねがいします



森林博士より

何かを聞いたら、疑問を感じ、さらに質問をしてみるというのは良いことです。
では最初の質問ですが、お正月の門松や松飾を用意するとき、素手(すで)でマツの枝に触りますと、たちまち手にマツのヤニがついて、洗っても簡単にはとれません。
山にはえているマツの木でも同じことがいえます。
こんな経験をしたことはありませんか。
つまり、マツやカラマツは、樹脂(じゅし、ヤニのこと)を多く含むので、水をはじきます。
ですから、耐水性(たいすいせい)が強く、水分や湿気の多いところで使っても、なかなか腐りません。このことを指して「水に強い」という表現をします。
このような性質を生かして、橋を作ったり、杭(くい)や丸太などに加工して、ガーデニングやビオトープ作りや歩道作りなどに使うことは、炭酸ガスをなるべく出さない方法としても、おすすめといえます。
どんなことに使えるか皆さんも考えてください。


では、第2の木炭自動車の質問ですが、これは、木炭を燃えるガスに変えて、エンジンを動かす方法です。
皆さんも知っている、ガソリンエンジンは、ガソリンを気体にし(気化)、さらに空気と混ぜて、点火することによってエネルギーに変え、エンジンを動かしています。
木炭自動車は、木炭を空気を断って燃焼(不完全燃焼または乾留という)させますと、一酸化炭素を主成分とするガスに変わります。普通に燃焼させますと、二酸化炭素つまり炭酸ガスに変わりますが、炭酸ガスは燃えませんので、エンジンを動かすことはできません。
ということで、昔の木炭自動車は車の後ろに、木炭をガスに変える装置をつけていました。
このように、燃えるガスに変え、さらに冷やしたり、きれいにしたあと空気と混ぜてエンジンに送り込み点火すると、エンジンが動き自動車が走ることができます。
木炭自動車は、近年姿を消していましたが、最近、公害物質の出し方が少ないので環境にやさしいということで、ふたたび人々の注目を集めるようになってきています。


さて3番目の水についての質問ですが、降った雨は、森林の樹木の根からいったん吸収されてから空中に戻るもの(蒸散じょうさん)、木の葉などに水滴としていったんとどまったのち空中に戻るもの(蒸発じょうはつ)のほかは、地面の上を低いほうに流れるもの(表流水ひようりゅうすい)と地面の中にしみこむもの(浸透水しんとうすい)にわかれます。
表流水はすぐに川に流れ込みます。
しみこんだ水も短い時間や日数で川に流れ出す場合もありますし、伏流水(ふくりゅうすい)とよばれ地中を流れくだる場合もあります。
また浸透水のうち地中にたくわえられるものが地下水と呼ばれています。
地下水は、地中の隙間(砂礫層などの帯水層されきそうなどのたいすいそう)にたくわえられるものですが、地表がひくいところなどから、湧きだして川に流れこむものがあります。
ですから、雨が降らない日が、あるていど続いても川の水はかれません。
また、地下水の一部は、崖(がけ)や谷間などの出口があると「湧き水」になります。
出口のない地下水を使うには、井戸を掘ってくみ上げます。
ただし、あまりたくさん使うと、地盤沈下(じばんちんか)という現象が起きます。

このように、降った雨の動きはいろいろです。また地中の様子が同じではありませんから、降ってから、どのくらいの日数や年数がたってから、湧き水になるかというようなことはいちがいにはいえません。


質問 25

こんにちは、ぼくは東区にある福岡市立若宮小学校の5年3組の菅原 輔です。
今、社会科の学習で「国土の環境保全と森林の働き」で森林を守るためには、どうしたらいいだろうか。
ということをクラスで話し合っています。ぼくは、国が森林を守ればいいと思いますので質問があります。
 ○ どこにだれが植林して、だれが手入れをしているのですか。
 ○ 国は、森林をどういうふうに守っているのか。
教えてください。
1月19日に発表会がありますので、よろしくお願いします。



森林博士の答

問 どこにだれが植林をし、手入れをしているか


答 基本的には、その森林を所有する人が植林や手入れをすることになります。
つまりどのような森林も必ず所有者(持ち主)がいるということです。
日本の場合、森林全体の31パーセントが、国が所有する国有林です。
11パーセントが、都道府県や市町村が所有する公有林です。
残りの58パーセントが、会社や個人が所有する私有林です。
個人が所有している森林は規模が小さいものから大きいものまでいろいろあります。0.1ha以上の森林を所有している人は、およそ250万人もいます。
1ha以上に限ってみても約100万人の人が森林を所有しています。
個人で数百haとか数千haとかの森林を所有している人は、森林の経営を専門的に行うことが普通です。
しかし、少ない面積の森林を所有する人たちは、ほかの仕事を持っています。
つまり、サラリーマンや農業との兼業が普通です。
そこで、こういう人たちは集まって森林組合を作り、そこに専門の人たちがいて、植林や手入れを行います。
国有林や公有林や会社所有林は、そこで働く専門の職員が森林の仕事をしますが、職員では人手が足りないことが多いので、植林や手入れを専門の会社や森林組合に頼んで(お金を払って)仕事をしてもらうことが行われています。
最近は、山村の人が減り、植林や手入れが十分に出来ないという状態になっています。
そこで、都市地域から、ボランティアの人たちがやってきて、植林などの手助けをすることが多くなっています。
また漁業をする人が、植林することで魚が増えるということがわかってきたため、植林をする人が増えて来ました。
これらは「漁民の森」と呼ばれています。
小学生も緑の少年団の活動で植林をしたり、ドングリ銀行の活動で植林のお手伝いをすることができます。


問 国は森林をどのように守っているか

答 国が森林を守るということは、二つに分けて考えられます。
一つは、国が直接、所有をして守る仕事もするということです。
これに当たるのが、31パーセントを占める国有林の経営です。
もう一つは、国が所有をしていなくても、行政の仕事をして森林を守るということです。
これはすべての森林に及んでいます。
主な例をあげますと、
水源林や土砂の流出を防ぐために、守る必要がある森林は、個人の所有であっても保安林というものに指定をして、持ち主がむやみに伐採をすることや土地の形を変えることを禁止したりします。
同時に保安林の中で行われる治山のための工事や植林については、持ち主に負担がかからないように国と都道府県がお金を出し合って森林を守ります。
保安林に指定されている森林は、国有林の52パーセントと国有林以外の森林(民有林と呼ばれています)の27パーセント強に達しています。
また保安林に指定されていない、個人の森林であっても、全体として水源林の働きや炭酸ガスを吸収する働きで国民の役に立ちますから、森林を守るための計画を作る必要があります。
このため国が基本になる計画を作り、さらに国の計画を元にして都道府県や市町村が森林を守る計画を作ります。
このような計画に沿って植林や手入れを進める場合に、お金が必要になりますが、国が補助金を支出して植林などが進められるようにしています。
さらに都道府県や市町村などの自治体もお金を出したり、森林を守るためのいろいろな仕事をしています。

ところで、森林を守る方法については、いろいろな意見があります。
森林の役割は大切であるから、また個人では森林を守りきれないから、すべての森林は国が守るのが良いという意見の人もいることでしょう。
数年前に、森林は誰が守るかというシンポジウムがあり、森林博士も参加しました。そのときドイツ人も参加をして意見を述べましたが、その人は、「森林はみんなで守るということが大切でドイツではそのようにして森林を守っている」といいました。この発言は、会場に来ていた多くの人に感動をあたえました。
皆さんが小学生のうちから、森林は誰が守れば良いかということについて、考えるということは大変すばらしいことであると思います。
もちろん、この場合、国の役割は大変重要ではありますが、森林博士としては、森林をみんなで守るにはどうすれば良いかということを話し合うことが大切だと思います。
良い発表会になることを祈っています。


質問 24

 私は高松市のある小学校に通っています。
 六年の私は”森林破壊と植林活動に対して私達小学生ができること”について調べています。しかし六年の私ではなかなか私達小学生ができることがわかりません。また参考にした本や資料名も教えて下さるとうれしいです。どうかよろしくお願いします。

 小学生  E,F


 森林博士の答え

 大規模な森林破壊といわれる状況は、主として熱帯林でおきています。
原因は、人口増加や貧困などが関係しているといわれており、日本の小学生が直接できることは、森林破壊が何故おきるのか、先ず良く勉強することが必要でしょう。
 森林博士がマレーシアのサラワク州のジャングルの視察旅行に行ったとき、アメリカの小学生が両親と一緒に来ていました。小学生だけで旅行するすることはむずかしいので、植林ツアーなどに申し込んで、連れて行ってもらうことが良いでしょう。
両親や先生と一緒に行くと良いと思います。

 次に国内の植林ですが、これに参加する方法は、いろいろあります。
例えば、ドングリ銀行の活動に参加する方法があります。
ドングリ銀行は、香川県が盛んです。
香川県のホームページ( http://www.pref.kagawa.jp/rinmu/donguri/dong_bnk.htm)で調べたところ、次の説明がありました。

 どんぐり銀行は、1992年10月3日に高松市の中央公園で開催された 「ウッディーフェスティバル」でオープンしましたが、当初の予想を上回り、 現在までに、10,333人(学校・クラスなどの団体を含む)が登録しました。
払い戻しは延べ1,441人に22,497本を渡し、また植樹行事を31回行い延べ1,765人が 19,445本を植えました。森の観察会や森づくり活動は200回開催し、のべ5,790人が 参加しました。
預金した理由については、「森林をはじめとする環境問題に何か貢献したかった」 というものから、「預金通帳が欲しかった」というものまでいろいろありますが、 これを機会に多くの人が森に目を向けて、足を運んでくれたのではないかと思っています。

 詳しくは、県庁に問い合わせてください。

 また、緑の少年団に参加する方法があります。

 このことについては、インターネットで次のような情報が見つかりました。

 緑の少年団は、昭和35年、国土緑化推進委員会が提唱したのがきっかけでありますが、昭和40年代に入って各県で結成されるようになり、各地域での緑化活動に重要な役割を果たしてきています。平成10年1月現在、全国で3,764団体が結成されており、約27万人の団員が活躍しています。平成元年には全国組織としての「全国緑の少年団連盟」が設立されました。
 少年時代から森林や自然、そして身近な環境を大切にしていくことを身をもって体験し、学んでいくことが大切ですが、緑の少年団はそういった趣旨から、次代を担う子供たちが体験活動を通じて「自然を愛し、人を愛し、社会を愛する心豊かな人間に育っていくこと」を目的とした、子供たちの自主的な団体です。
県緑化大会等で、緑の大切さを訴えています。
緑の少年団の活動は、
 学習活動: 森や緑の働きを知り、動植物の観察などを通じて自然や緑を守り、育てることを学ぶ
 奉仕活動: 汗を流すことの尊さ、社会の一員としての自覚を養う
 レクリェーション活動: 楽しい集団活動を通じて協調と団結、自主性を高める

に大別されますが、そのほか他団体との交流会も活発に行われています。
 全国的な交流集会は、開催県持ち回りで毎年夏休みを利用して開催され、合宿による野外体験活動などで研鑽と交流を深めています。また、緑の少年団の日常活動の成果は、毎年全国育樹祭の前日に「全国緑の少年団活動発表大会」として発表されています。

 詳しいことは、県庁に問い合わせてください。

 以上のほか、市役所が主催する緑化活動に参加することも良いと思います。
 これは市役所が発行する「広報」などが家庭に配られていると思いますので、これを見ればわかります。

 さらに、また直接森林を増やさなくても、例えばゴミを出さないことや、ゴミを少なくすること、ゴミの分別を手伝うことなども森林を守ると同じ効果があります。
 ゴミが森林に捨てられれば森林は破壊されます。ゴミを処理する場合炭酸ガスが排出されますから、ゴミを減らすことは地球環境を守るために大切です。
 小学生の皆さんも、どうしたらゴミを減らすことができるか、アイデアを出してください。
 またエネルギーのむだづかいをしないことも大切です。
 このほかリサイクルのお手伝いもできると思います。
 また木炭を作ってみたりするのも良いことです。木炭などはバイオマスエネルギーの一種で、石油を燃やすよりも、環境に対する影響は軽くてすみます。
 このほか、ビオトープを作ることも良いことですね。
 このように皆さんができることは沢山ありますから、お互いに意見を出し合って、できることから実行してみてはどうでしょうか

 参考書としては、大日本図書株式会社発行の、図説木のすべて(全五冊シリーズ)の第四巻「森ができるまで」および第五巻「人間を生かす森」を読んでください。


質問 23

私たちは、山梨県にある竜王東小学校の5年生です。今、私たちは、総合の勉強で「森林はかい」について調べています。そして、世界の森林はかいは、どれだけ進んでいるのか、このまま森林はかいが進むとどうなってしまうのか…など、もっともっと詳しく調べたいと思っているので、知っていることがあったらぜひ教えてください。

森林博士の答え

1.世界の森林はかい(国連では森林減少といっています)はどのくらいの勢いで進んでいるかといいますと、国連のFAO(国際連合食料農業機関)の発表では、1990年から1995年までの5年間で、5千635万ヘクタールが減少しました。
熱帯地域だけを見ると6千297万ヘクタール減少しています。減少の数字が世界全体より大きいのは、先進国の森林が増加しているという理由によります。
全体として1年間では約千百万ヘクタールが減少していることになります。

2.このような森林の減少が世界のどの地域で起きているのかを調べてみましょう。
一番減少が激しいのは、中南米で1年間で581万ヘクタール、次いでアフリカでは375万ヘクタール、アジアでは333万ヘクタール、オセアニアで9万ヘクタールです。
また世界の森林減少のほとんどは熱帯地域で発生していることになります。

3.森林減少(はかい)の原因は何でしょうか。
地域によってことなりますが、食料生産のための農地に変えること、放牧頭数多くなりすぎること、燃料にするために木が切られてしまうことなどが主な理由とされています。

4.このままはかいが進むとどんなことになるか、つまり世界中の木をどんどん切っていって木や森林がなくなってしまったらどういうことになるかということについて考えてみましょう。
先ず、森林にはたくさんの炭素がためられています。森林がため込んでいる炭素量は、大気中の炭素量の1.8倍ほどといわれています。
森林がなくなると炭素が大気中の二酸化炭素に変わる可能性があります。もし森林がためていた炭素がすべて二酸化炭素に変わったとすると、大気中の二酸化炭素量は現在の3倍近くまで増加すると考えられます。
このことは気温の上昇や土壌の乾燥を招きますから、海面が上昇して陸地が減り、砂漠が増加します。
また森林がなくなれば降ってきた雨をたくわえることができなくなるので一挙に流れ出します。しかも泥水が溢れて家も人ものみこまれてしまうでしょう。
やがては、雨も降らなくなって、人も動物も殆ど住めなくなってしまうでしょう。


質問 22

小学3年の息子に白樺の木はなぜ白いのか?と質問されて困っています。 
学校で調べてくるよう言われたようです。ぜひ教えて下さい。 小学生の父より。

森林博士より

これは大変難しい質問でした。
そこで、森林博士は、「木の何でも相談室」の岡野先生に相談しましたところ、さらに筑波の森林総合研究所に問い合わせをしてくださいまして、大原先生から答えをいただきました。
答えは次のとおりです。
「シラカバの樹皮は外樹皮と内樹皮に分けられます。白く見えるのは外樹皮の部分です。外樹皮の主成分はベチュリンというトリテルペン化合物で白色の結晶性の化合物です。シラカバの外樹皮のベチュリン含有量は約70%と非常に高い値を示します。
一方、内樹皮は、タンニン等のポリフェノール成分や糖類が主成分ですので、茶色または茶褐色です。シラカバの樹が白く見えるのは、外樹皮に多量のベチュリンが含まれているためです。ダケカンバ、ウダイカンバ等、一般にカバノキ属の樹木は外樹皮にベチュリンを含んでいるので(含有量は樹種によって異なる)、程度の違いはありますが、ほとんどが白っぽく見えます。」
なお岡野先生からは次のコメントをいただきました。
「植物はテルペンと呼ばれている複雑な化学構造の物質を作り出していて、植物の臭いや油成分の基となっています。ゴムなどもその一つです。トリテルペンはテルペンの基本構造が3個含まれていることによる名称です。」
岡野先生の連絡先はつぎのとおりです。

*****************************
岡野 健  okano-sodan@nifty.com
木のなんでも相談室
Tel :03-3615-2816
Fax:03-3615-3563   
*****************************


質問 21 

私は大阪にすんでいます。
いま、総合学習で、森林について調べています。
そこで質問なんですが、森林から得られるものには、どんなものがありますか。
木から作られるものはどんなものですか。
また、どんな種類の木が使われてい るのですか?
このことがのっている本も教えてください。

6年1組 女子M.M  

 

森林博士の答え

森林は私たちにいろいろなものを与えてくれます。

木材がそうですね。
木材だけではありません。
きれいな水や空気もそうです。
キノコやワラビ・ゼンマイなどの山菜(さんさい)というような食べ物もあたえてくれます。

ところで、木から作られるものは沢山あります。

家やいろいろな建築物があります。
使われる木はスギ、ヒノキなどです。

書籍や新聞などに使われる紙があります。
紙の場合は、モミやトウヒなどの針葉樹やいろいろな広葉樹が使われます。

タンス、机、いす、書棚などの家具があります。
桐の木で作られる日本のタンスは有名です。
家具はみずならなどのかたい広葉樹が使われることが多いです。
ケヤキも家具になります。
机やいすにはスギやヒノキも使われます。

おわん、はちなどの食器があります。
いろいろな木が使われます。

木のおひつ、すし桶などもあります。
風呂桶などもあります。
これらに適しているのは、ヒノキやサワラです。

箸はスギが多く使われました。
最近は割り箸は大部分が輸入されていて、シラカバなどが多いようです。

各種の道具があります。カンナや金づちの柄などがあります。
木のおもちゃがあります。
バイオリンなどの楽器があります。
炭も木から作られます。
コルクの栓やコルクの床板もコルクガシ(コルクノキ)から作られます。


このほか樹木からとれる成分を使うこともあります。

樹液を飲料として使います。 例、シラカバ樹液など。
甘味料も作られます。
香料も作られます。
ゴムもそうです。
炭を作るときにできる木酢液もあります。
ウルシもとれます。
キハダの木からダラニスケなどと呼ばれる薬品もとれます。

このほかにもいろいろあるでしょう。
皆で考えてください。
 

書籍は、大日本図書出版の「木のすべて」全五巻のうちの第2巻「木と人間の歴史」および第3巻「現代における木の利用」がぴったりです。

学校の図書室にあるかも知れません。調べてみてください。
 


質問 20 
私は、夏休みの自由研究で環境問題について調べています。
そのなかで木の働きについて教えてください。
とくに自然の中の木、町の中の木、のことについて知りたいです。
早めのお返事お願いします。
愛知県  小5  H.F

森林博士の答え

自然の中の木、つまり森の働きにについては、質問12の答えをみてください。

町の中の木というと、公園の木、街路樹、校庭の木、工場の木、庭木などがあります。
これらの木は、町を美しくします。また酸素を出して空気をきれいにします。
実は小鳥の餌になります。
木陰をつくり、涼しくします。

まだまだ、いろいろな働きがありそうです。
自分て゜考えてみましょう。


質問 19 
私は大阪に住んでいます。あまり森林について詳しくないので聞きたいことがあります。森林はどうして出来たんですか?
土本菜月 小学6年生


森林博士の答え
土本さんへ 

 
森林ができるためには酸素が必要です。
森林の樹木が生長するということは、空気中の炭酸ガスと水が太陽エネルギーによって、光合成されることです。
 
ところが、地球ができた大昔46億年前には、空気の中に酸素はありませんでした。
空気(大気)は一酸化炭素、二酸化炭素、窒素、水蒸気からなっていました。
その後、酸素を出すバクテリアがあらわれ、酸素ができました。
これが35億年も前のことです。
海中のバクテリアと海中植物の光合成により、大気の中に酸素が増え、オゾン層ができ、生物にとって有害な宇宙線や紫外線が遮断され、生物は陸上に進出することになります。
4億年ほど前のことです。
最初はシダ類が繁茂しました。
その後、イチョウ、ソテツなどの裸子植物が出現します。2億4千8百万年ほど前のことです。
陸地は、裸子植物の森林におおわれることになりました。
 
そして6千5百万年前になると、被子植物があらわれ、現在の森林につながってきます。
 
では、森林のことをしっかり勉強してください。
 

質問 18
 いま、夏休みの自由研究で森林について調べています。
今までの質問と答えを見て、木(森林)と酸素(空気)の関係についてくわしく知りたくなりました。
そのことについて、教えて下さい。それと、どのくらい空気(酸素)が昔に比べて減ってしまったのかも教えて下さい。
できるだけ早く返事がいただけるとうれしいです。
鬼頭 愛  

森林博士の答え

鬼頭さんへ

森林博士は、外国に森林の調査に出かけていまして、8月17日に帰ってきました。

森林と酸素の関係は、森林の樹木が生長するということは、空気中の炭酸ガスと水が太陽エネルギーによって、光合成されることです。

生長が盛んな森林ですと、1ヘクタールの森林が一年間で、16トンの炭酸ガスを吸収して、12トンの酸素を放出するといわれています。

地球ができた大昔には、空気の中に酸素はありませんでした。
空気(大気)は一酸化炭素、二酸化炭素、窒素、水蒸気からなっていました。
その後、酸素を出すバクテリアがあらわれ、酸素ができました。さらにその後シダ植物や森林が増え、それにつれて酸素が増えました。
現在、酸素は大気中に21パーセント含まれています。
したがって酸素は減るのではなく増え続けてきたわけです。
一方、ここ250年ほどの間に、炭酸ガスが、0.025パーセントから、0.036パーセンほどに増えてきました。
これが地球温暖化などの問題を引き起こしています。
炭酸ガスがどんどん増えますと、酸素が減ることもあるかも知れませんが、現在のところ酸素の量が多く、また森林からの酸素の放出もあり、酸素の減少はありません。

いろいろなことを勉強してください。


 質問 17

今学校で、『紙と森林破壊』についてやっています。
そこで、紙一枚を作るのにどれ位の木を伐採していて、破壊に繋がっているんでしょうか?
又、紙を使い続けると森林や地球はどうなってしまうんですか?
そして、森林破壊を止めるためには私達は紙とどうやって付き合っていくべきなんでしょうか?教えてください。

早生 愛

森林博士の答え
 
紙と森林破壊
 
人はビジネスや生活のため、大量の紙を消費しています。
紙の製造が森林破壊につながっているかどうかを考えてみましょう。
人が紙を使う量は国によって大変異なります。
一番多いのはアメリカで、一人一年間で337kg使います。2位フィンランド、3位ベルギー、4位スウェーデン、5位カナダ、日本は第6位で237kgといわれています。他の国についてみますと、マレーシア85kg、中国26.2kg、タイ26kgなどが最近急速に消費が増えている国です。消費が少ない国としては、ケニア4.5kg、バングラデシュ2.3kgなどがあります。
紙の消費は国民の所得などが増えるとそれにつれて増えるという特徴があります。
次に世界全体の消費量をみますと、1978年に約1億7,000万トンだったものが、1998年には約2億9,000万トン(紙の生産量は3億トン)に増加しました。
一人当たりでは、この20年間で、40kgから50.4kgに増加しました。
それでは、木材はどのくらい使われているのでしょうか。
先ず、3億トンの紙を作るために、1億7,000万トンのパルプが作られました。
紙の生産量より少ないのは、古紙の回収などのリサイクルが進んできたためです。
このうちの89パーセントが木材パルプです。11パーセントが木材以外から作られたパルプ(非木材パルプ)です。
つまり木材パルプは約1億5,000万トンですが、このため約5.5億立方メートルの木材が使われていると考えられています。
では紙は、どの国で作られているでしょうか。
1998年の世界全体の紙の生産量は、3億101万トンで、1位は米国8586万トン、2位日本2989万トン、3位中国2780万トン、4位カナダ1872万トン、5位ドイツ1631万トンとなっています。6位以下には、フィンランド、スウェーデン、フランス、イタリア、韓国と続いています。
作った紙を、外国に輸出している国は、カナダ、フィンランド、スウェーデンなどで、米国、日本、ドイツなどは生産と消費がほぼ同じと考えて良いと思われます。
ところで森林破壊との関係ですが、木を伐採して使うことがすべて森林破壊かといいますとそうではありません。
それは森林の木の伐採には正しい伐採と正しくない伐採があるからです。
正しい伐採とは、伐採しても森林が回復し、森林として持続すれば良いといえます。
そのような考え方で、みてみますと紙を大量に作っている国は、ほとんどは先進国であることに特徴があります。
現在、先進国の森林は減少が止まり、すこしずつ増加する状況にあります。
一方、森林の減少が続いている国は熱帯地域に属している国が多いということです。
そこで、このような地域から、しかも不正な伐採によって得られた木が使われているかどうかが問題になります。
熱帯地域であっても紙を作るために植林をし、そこから切り出される木でパルプを生産する方式も増加していることも事実ですから、何が正しいか、何が森林破壊かということを見極めることが必要です。
紙をたくさん作っている国あるいは、外国にも輸出している国は先進国が多く、恐らく森林破壊をしながら、紙を作っているとはいわないと思います。
 
しかし、先進国や裕福な国が、紙をたくさん消費することは、本当に正しいことかどうかについてはもっとしんけんに考えることが大切です。
なぜかといいますと、確かに紙は大変便利なものですから、今は経済の力がない国の人たちも、紙をふんだんに使いたいと思っていることでしょう。
もし、これらの地域の人たちが、もっと紙を使うようになりますと、今でさえ森林減少が止まらないわけですから、新たな森林破壊が生じることが考えられます。
また先進国でも、コンピューター利用の増加により、紙の消費もさらに増えるという見方もあります。
先進国でも、これ以上に紙の消費が増えますと、森林にも負担がかかると思われますし、今後、温暖化を防ぐために、なるべくエネルギーの消費をおさえようとする考え方にも反することになるでしょう。
 
そこで、どのように紙とつきあったら良いかという質問ですが、ひとつはリサイクルで、日本は古紙回収率が56パーセントと高く、世界でももっとも高いと自慢していましたが、最近ではドイツが、70パーセントということでこれが最高だということです。
こうなりますと、紙は木から作られるのではなく、紙は紙から作られるということになります。
したがって、パソコンを使ってもなるべく紙に印刷しないようにするとか、買い物でもなるべく包装紙を使わないようにしてもらうことも良いと思いますが、ゴミ出しの分別を徹底して古紙再生のコストを低くすることが必要です。
ドイツに行ったときに見たのですが、分別は日本より徹底しています。
また幼児教育では、トイレットペーパーの無駄づかいをしないように教えているということでした。またフランスでは、普通の消費税のほかに紙や木製品には、林産物税という税金をうわのせして、このお金を森林の育成費に当てているという話をききました。
またアメリカの先生からは、アメリカでは幼稚園くらいから、リサイクルのことも教えているという話もききました。
 
紙の問題はたくさんありますので、簡単に答えることは難しいのですが、いろいろ勉強してみてください。それで質問がもっと出てきたら、また質問してください。
 
  

 質問 16
 わたしは、さいたま市の小学5年生です。「森に住む人・都会に住む人」という題の自由研究をしています。

両方の良いところ、悪いところを見つけています。森に住む人の良いところは大体わかったけど、悪いところが良くわかりません。
「湿気・虫・日影」などがあると思います。この事をくわしく教えてください。あとほかに森に住む人の悪い環境を教えてください。
家にはくもの巣がよくつくのですか?洗濯物が乾きにくいと母はいってます。あと、特別良いところはありますか?いろいろ教えてください。
ゆうこ。


森林博士の答え
質問を拝見しました。
おもしろいことを調べていますね。
私は、若い頃、森林の仕事の関係で森の中に住んでいたことがあります。
東京から、いきなり森の中での生活になりましたから、空気が澄んでいて水がきれいで、車の騒音がなくてというように良いことはたくさんありましたが困ったこともいろいろありました。
 
たとえば、
1. 街灯がないので、夜は真っ暗、人が活動しないので、すごく静かになります。
  そうすると、昼間は気がつかなかった、谷川の水の流れる音が、大きく聞こえ、なかなか最初のうちは眠れず困りました。
 
2. 私は本を読むことが好きなのですが、本屋さんがありません。図書館もないので不便でした。
  日曜日にバスに乗って町まで買いに行くのです。
 
3. 当時は、森の奥の方になると、電気が引かれていないので、夜はランプで生活するか、大勢で合宿するときは自家用の発電機で電気を起こして使うという生活でした。
  ですから、夜は、遅くならないうちに消灯して寝ることになります。
 
4. 動物や昆虫はたくさん住んでいるので、蛇やくもの巣などが嫌いな人はちょっと住みにくいというものです。
  それよりも、危険なのは、蜂で、うっかり刺されないように注意が必要です。
  これは昔も今も変わりません。
 
5. 森の働きとして、気温や湿度を一定に保つということがありますから、洗濯物の乾き方は、すこし遅いかも知れません。
  しかし私の経験では、日当たりや、風通しの良いところを選んで干すことができますから、つまり都会と違って広々していますから、あまり問題はないと思います。
  
 
 
以上は、すこし昔の話です。現在は、いろいろ改善されています。
電気もあればテレビも見ることができます。
新聞もきますが朝早くには来ないでしょう。
お医者さんもいますが、すぐそばにはいないかも知れません。
コンビニはないかも知れません。
それと人口が少なくなっているので、学校もへり、歩いて行けないときは、スクールバスなどで通うことが多いようです。
ということで森に住む場合は、不便なことはいくつかあると思います。
 
ですから、不便なことは、いろいろ工夫ををして解決することが必要になります。
 
良い点はなんといっても、新鮮な空気と水、きれいなわき水を引いてきて、家の中でアユを飼ったこともあります。
それと自然の中でとれる、キノコや山菜などの食べ物が最高です。
樹木があると日陰ができます。夏の暑い日は、涼しい日陰がすばらしい環境になります。
つまり健康的な生活ができるということです。
 さらにいろいろ調べてみましょう。
 

 質問 15
 はじめまして。、6年生の綾美です。私は今、総合学習をしています。
そこで質問なんですが。森林の荒廃の原因やそれを防ぐ方法を教えてもらいたいのですが。
できるだけ早く教えてもらえたら嬉しいのですが!!

森林博士の答え

メール拝見しました

1. 日本の場合

 森林が荒れる原因は、山村の人口が減り、間伐などの森林の手入れが行き届かなくなり、森林が混み合いすぎて、光が不足し、森林の中が暗くなり、草も生えないため、表土が流れ出し、森林が荒れるということが、一番多く見られます。
このほか、マツクイムシによって被害を受けたり、台風や豪雨で木が倒れたり、山崩れがおきたりします。
さらに山火事による被害もあります。
 
2. 外国の場合

 日本とは原因が異なります。
 森林の減少が大きな問題になっている熱帯林の地域では、人口が増加しているため食料不足から、焼き畑によって畑を増やしますが、このために森林が少なくなります。

 このほか、薪などの燃料を集めること、牛や羊をたくさん放牧するため森林が荒れることが多いのです。
 それから木材として売るために、森林をきるわけですが、それぞれの国の政府が、禁止をしてもなかなか守られない場合が多いわけです。
 これは違法伐採といわれます。
 
3. 対 策

 日本の場合は、自分の国や近くの木をもっと使うようにした方が良いでしょう。
 
 しかし、使い方としては、住宅用のほか、バイオマスエネルギーなどの供給にも木を使い、石油などの使用をおさえることで、温暖化問題にたちむかうことも必要です。
 
 また熱帯林の場合は、お金をもっている国や技術を持っている国が、お手伝いをしたり、一緒になって森林を守る規則を作ったりすることが大切です。
 
さらに勉強したいときは、森林塾のホームページで紹介している書物を読んでください。
第4巻、第5巻にいろいろ書いてあります。
http://www7.gateway.ne.jp/~fuozawa/kino_subete.html
この書物は、学校の図書室に備え付けてあるかも知れませんから、聞いてみてください。
 

 質問 14

どうして木の幹に穴が空くのか教えてください。

秋田県平鹿郡雄物川町立南小学校2年 石塚大樹


森林博士の答え

木にあいている穴というのは、人間の目で見える穴のことでしたら、キツツキなどの鳥がつついて作った穴が考えられます。
また傷口から水が入って木がくさってできる穴もあるでしょう。
さらにまた木が年をとって古くなると木の中がくさり、うろと呼ばれる穴ができ熊や動物などのすみかになります。

もうひとつの穴は、顕微鏡で見ることができる穴があります。
これは正確にいうと穴ではなく、管(くだ)なのです。
木は大きくて重いものですが、これが地面からしっかり立っていることができるのは、たくさんの管が束のように集まっているからです。
専門の言葉では「維管束」(いかんそく)といいます。
管を束ねると大変丈夫なものになるのです。

さらにこの管には大切なはたらきがあります。
じつは木の管にはふたつの種類があります。
ひとつは、根から水を吸い上げるものです。
この水のおかげで、木は乾いて死ぬことがないようになっています。
また、水と炭酸ガスが、葉の中にある葉緑素と太陽のエネルギーのおかげでセルロースと呼ばれる木の成分ができます。

もうひとつの管は、いろいろな養分を運ぶ働きをしています。

さらにこのような管は木の幹だけではなく、木の根や枝の中にもあるのです。


質問 13 

私たちは、社会の学習で(私たちと自然のつながり)を調べています。参考になることを教えてください。(日の出小学校)


 

森林博士の答え
 
自然といってもいろいろあります。
山、森、海、川、湖などさまざまです。
ここでは森という自然と私たちとのつながりについてお話しします。
 
植林活動などは、もっともわかりやすい、自然とのつながりです。
このほか、森林浴といって森の中を歩くことや、林間学校、キャンプ生活なども自然とのつながりの体験です。
自然食品を食べることも、自然とのつながりですが、森の中で育つきのこ、山菜などをたべることは自然との大切なつながりということになります。
また日本の木の住まいも自然とのつながりを大切にした、つくり方だといえます。
このほか、自然観察、バードウォッチング、ビオトープづくりなども自然とのつながりのあらわれといえるでしょう。
 
このほかにもいろいろあると思います。皆で考えてみましょう。
 

質問 12 

こんにちは。私たちは、宮崎の川南町にある通山小学校の5年2組の女子です。
今、森林の働きについて社会で自由研究をしています。
インターネットで、「森林塾」さんのページを見て、改めて聞こうと思ったことがあります。
@森林は、どういう働きをしているのか。
A森林がないと、どういうことがおきるのか。
ということです。なるべくなら今週中に教えていただけるとうれしいです。
よろしくお願いいたします。

森林班より


森林博士の答え(森林の働きについての質問は以前にもありましたが、答えに「種」の保存の話を加えて整理をしてみました)

森林には多くの働きがありますが、おおよそ次のようになるでしょう。
1.降った水をたくわえる働きがあります。
 これは森林が水を吸い込むことができるからです。森林は、降った雨水をいったん地中にたくわえ、じょじょに川に流し出します。
 ですから、雨の降らない日が続いても川の水は絶えることがないのです。
 また森林に降った雨は、いったん地中に吸い込まれても、その一部は樹木の根から吸い上げられて、樹木の中をとおって空中に戻ったり(蒸散といいます)、あるいは森林の地面から蒸発したりしますが、このような水分はいずれ雨となって再び降ってきます。
 これは水の循環といわれるもので、森林は、水の循環を規則正しくする働きがあります。
 したがって砂漠のように、森林のないところでは、雨の量が大変少なくなってしまうばかりではなく、いつ降るのかわからないというように、循環が大変不安定になります。

2.山くずれなどの災害を防ぎます。
 森林があると、樹木の根が土をしっかりとつかむ働きがあるので、山くずれなどの災害を防ぎます。
 また大雨が降っても土砂が下流に流れ出すのを防ぎます。
 したがって、ダムが土砂で埋まってしまうのを防ぐことができます。

3.空気をきれいにし、炭酸ガス(二酸化炭素)をため込んで地球の温暖化を防ぎます。
 樹木は生長するとき、空気中の炭酸ガスを吸収し、酸素を放出します。
 これは光合成(こうごうせい)と呼ばれますが、この働きで、空気をきれいにします。
 また炭酸ガスをため込むことができますから(カーボンシンクの働きです)、石油などの消費で増加する炭酸ガスの一部を吸収して温暖化の防止の働きをしています。
 また樹木は、フィトンチッドと呼ばれる物質を発散しているので、森林の中を歩いたりするとさわやかな気分になり、健康に良いといわれています。

4.木材やきのこや山菜を供給します。
 住宅や家具などをつくるための木材を供給します。
 また新聞や本などをつくる紙の原料となるパルプも木のチップから作られます。
 おいしい山菜やきのこも森林の中でとれます。
 ただし、木材を得るために森林の伐採をするときは、森林を破壊しないように、大きな面積の森林を一度に切ったりしないように気をつける必要があります。

5.森林は動物や鳥や昆虫などのすみかとなっいます。
 このほかきのこなどの菌類のすみかにもなっています。
 したがつて、地球に生息している生物の「種」を守る働きをしています。

6.風の害や砂の害を防ぎます。

7.旧跡や名所の周囲にある森は風景を良くする働きをしています。

8.海岸の森林は魚の繁殖に役立っています。

 このほかのいろいろな働きについても皆で考えてみましょう。


 次の質問は、もし森林がないとどういうことがおきるかということですが、これは砂漠のような状態を想像してみてください。
 砂漠のようなところでも、わずかの雨は降りますが、いつ降るのかわからないというように非常に不規則になります。
 また降った雨は、森林がないと、地中に吸い込まれないで、一挙に流れ出します。
 地中に住む昆虫などは別にして、人間や動物が生活することが大変むずかしいと思われます。

 また、今までは森林があったとして、この森林がだんだん切られたりしてなくなるとどうなるかという質問の場合は、やがては、雨も降らなくなって、生物が住みにくくなるほか、炭酸ガスを吸収することができなくなると、温度上昇が進み、海水が膨張したり、極地や氷河の氷が溶けて陸地が水没したり、気象も大変不安定になり、洪水、日照り、暴風などが起きやすくなり、大変すみにくい状態になることでしょう。


質問 11 

私は小学5年生です。
今、森林のことについて調べ学習をしています。
関心はあるのですが・・・。
 
そこで先生に質問です。
森林は減っていくとどういう事がおこるのですが?
他にも森林にかんする事を教えてください。
よろしくおねがいします      村上雅子


村上 雅子さんへ
 
森林博士からのお返事です。
 
森林が切られたり、減ったりするとどうなるかという質問は、皆さんの多くが持っている質問のようです。
 
森林が減るということは、地球の生態系の変化ということになりますので、生物の種の保存(森林は植物や動物、昆虫などの住みかです)ということについては悪い影響を与えます。
また、水循環や炭素循環にも悪い影響を与えます。
これらについては、小学生森林塾ホームページの、小学生森林塾の質問と答えを見てください。
そのほかの問題についてもいろいろありますので読んでください。
それで、新しい質問がありましたら、メールで問い合わせてください。
 

質問 10 

私は、今小学5年生の黒田と言います。今社会で森林についてを調べています。
教えていただきたいことは、地球には、どんなもんだいがおきていてその原因は何か ということがわからないのでできるだけそのことについて教えてください。出来るだけ早くお願いします

森林博士の答え

平成2年から平成7年までの5年間で、世界の森林は、5,635万ヘクタールも減少したといわれています。
これは、国際連合食料農業機関が発表した数字です。
この面積は日本の国土の1.5倍に相当します。
森林の減少はどのような地域でおきているかというと、ほとんどが熱帯地域ということです。
原因は、人口が増えていることから食糧をつくるために森林を農地にかえていること、また生活が貧しいため、燃料を買うことができず樹木を切って、薪にすること、あるいはまた家畜をたくさん放牧するために森林が荒れてしまうということなどです。

この100年間に世界の人口は4倍に増えました。
また人間が使うエネルギーは60倍にも増えています。

このように森林が減ると空気中の炭酸ガスを吸収する力も減りますから、炭酸ガスがますます増え気温が高くなります。
これを温暖化現象といっています。

温暖化現象によって、森林の火災が増えています。
また気象が不安定になり暴風が吹いたり、洪水や干ばつも増えています。

この状態が今後100年も続くと、海水面が1メートル近く上昇し、砂浜の多くが水没すると考えられています。

また砂漠も増加することでしょう。


質問 9 

庄和町立南桜井小学校5−2です。今、森林を守る勉強をしています。
森林を守る取り組みには具体的にどんなことがありますか。教えてください。

 森林博士の答え

 今、世界中で毎年大変多くの森林が失われています。
 その面積は日本の森林の約半分にあたるほど巨大なものです。
 森林が失われる理由はさまざまですから、森林を守るにも、それぞれの有様にふさわしい取り組みが必要になります。
 森林博士はこの1ヶ月の間に、フィリピン、ミャンマー、マレーシアと三つの国をまわって来ましたが、フィリピンでは貧しい農村での森林を畑にしたり、薪をとったりすることからくる森林の減少が目立ちます。
 ミャンマーやマレーシアは森林はかなり多いのですが、ミャンマーでは南部のマングローブ林が水田にかわり、その水田も現在は使われていないのでこれをマングローブ林に戻そうとする試みが行われています。
 また中部の高原地帯は乾燥するので森林が荒れ、この地域にたいしてどのような取り組みを行うか、日本人も協力して知恵を出していこうとしています。
 またマレーシアでは大切な熱帯林が多いので森林を守るルールをつくって取り組みを前進させることが必要です。
 アジアやアフリカで多く見られる貧しい地域での森林の状態は小学生森林塾のページの中の写真集を見てください。
 取り組みには日本からも参加をして行われていますが、まだまだ不足しています。
 植林をして森林にもどすことも大切ですが、同時に森林や畑などをじょうずに組み合わせたり、樹木の種類も生長に時間がかかるものと果物などが簡単にとれるものを組み合わせたりして樹木や森林を大切にする取り組みが各地で行われています。
 またヨーロッパなどの国で見られる酸性雨による森林の被害にも取り組みが必要です。
 これは空気をきれいにするとともに酸性化した土じょうを中和して改善する必要があります。
 また最近、ドイツやフランスなどを襲う暴風による森林被害が目立ちます。日本でも台風による災害が起きますが、さらに大規模な災害が冬の季節にヨーロッパで起きています。 これを防ぐために、ドイツの「黒い森」と呼ばれる地方では、これまで植えて育てたトウヒの森林に広葉樹を混ぜて森林を強くしようとしています。
 またお隣の中国では、砂漠が増えているので砂漠を減らして森林を増やすために植林を進めています。
 さらに最近は、空気中の炭酸ガスなどが増え、地球の温暖化ということがいわれていますが、これが進みますと森林にとっても大変なことが起きると考えられています。
 つまり気候が変わりますと育つ樹木の種類も変わるわけですが、気候の変化に樹木がなじめない場合は樹木が枯れてしまう危険があります。
 こうなりますと、大変大規模な森林破壊が起きるということです。
 これに対する取り組みは、炭酸ガスを減らすことや森林を増やすこと、石油類は節約してバイオマスエネルギーなどを使うようにしたり、それぞれの人達が自分の生活様式を見直して無駄なエネルギーを使わないようにすることが大切です。
 日本は昔から大勢の人が植林をしたり、森を大切にしてきましたので国土の面積に占める森林の割合が67パーセントもあり、もっとも高い部類に入る国ですが、山村に住む人が減ったり、林業をする人も少なくなり、森林の手入れが不十分になっています。
 また森林にゴミをすてたりする人もいて森林が荒らされることがあります。
 このため森林を守るためにいろいろな人が努力をしています。
 皆さんの身近なところにどんな人がいますか。市役所や町や村の職員の人ですか。それとも森林組合の人達でしょうか。このほか森林管理署や県庁の職員の人達、さらに林業をしている人達や森林を所有している人達もそれぞれ努力をしている人達です。
 最近は、都市に住む人や学生さんによる森林ボランティアの活動も増えてきました。
 小学生でもみどりの少年団などで活動をしている子供も大勢います。
 このような人達をみたら応援してください。
 そして森林のことについてしっかり勉強してください。


質問 8 

森林がなくなったらどうなるか詳しく教えて下さい!

 愛知県 小5 M.E


森林博士の答え

 森林博士は1月25日に日本を出発し、フィリピンを訪問しました。1月31日に日本に帰り、2月5日から15日までの間に今度はミャンマーとマレーシアにいずれも森林の仕事で行って来ました。
 これらの国の中で、森林が急激に減った国は何といってもフィリピンということになります。
 森林が減ったらどういうことになるのでしょう。
 フィリピンで感じたことですが、森林が減って土がむき出しになったために川の水やダムの水が濁っています。
 また草原になったところが多く、草が枯れますと火事が起きやすくなるということです。
 また首都のマニラの街は汚れた空気に包まれており、晴れていても青空が見えず、遠くから見ると黒い雲がたなびいています。
 これは人口が増えて汚染物質が増加しているからですが、森林が沢山あれば空気の汚れはさほどではないと思われます。
 このことは森林が豊富なマレーシアでは、首都のクアラルンプールの街は緑に包まれ、美しく、空気の汚れもマニラに比べればかなり良いように思われました。
 ところで、質問は森林がなくなったらどうなるかということですが、先ず草原になり、次は砂漠ということになるでしょう。
 降った雨は、森林がなければ、地中に吸い込まれないので、一挙に流れ出します。しかも泥水が溢れて家も人ものみこまれてしまうでしょう。
 やがては、雨も降らなくなって、人も動物も殆ど住めなくなってしまうでしょう。
 地球上で現在、砂漠になっているところを見ればわかるでしょう。
 また森林がなくなると炭酸ガスを吸収することもできませんから、温度上昇が進み、海水が膨張したり、極地や氷河の氷が溶けて陸地がどんどん水没することになるでしょう。
 ということで死の世界がやってくるというこになると考えられます。


質問 7 

こんにちわ。僕は小学五年生の松森とゆうものです。
質問なのですが森林にはどんな働きがあって、僕達の生活とどのようにかかわっているのかがよくわかりません(^。^;)。くわしくわかりやすく教えて下さい。。
申し訳ないのですが森林の季節のうつりかわりも、教えてくださったらなおさら嬉しいです。

なるべく早くお返事ください、、
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小学五年  松森ユウダイ
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 森林博士の答え

 森林には多くの働きがあります。
1.降った水を蓄える働きがあります。
 これは森林が水を吸い込むことができるからです。森林は、降った雨水をいったん地中に蓄え、じょじょに川に流し出します。
 ですから、雨の降らない日が続いても川の水は絶えることがないのです。
 また一部の水分は、樹木の根から吸い上げられて、樹木の中をとおって空中に戻ったり(蒸散といいます)、森林の地面から蒸発したりしますが、このような水分はいずれ雨となって再び降ってきます。
 これは水の循環といわれるものですが、つまり森林は、水の循環を一定に保つ働きがあります。
 また砂漠のように、森林のないところでは、雨の量が大変少なくなってしまうばかりではなく、いつ降るのかわからないというように、循環が大変不安定になります。

2.山くずれなどの災害を防ぎます。
 森林があると、樹木の根が土をしっかりとつかむ働きがあるので、山くずれなどの災害を防ぎます。
 また大雨が降っても土砂が下流に流れ出すのを防ぎます。
 したがって、ダムが土砂で埋まってしまうのを防ぐことができます。

3.空気をきれいにし、炭酸ガス(二酸化炭素)をため込んで地球の温暖化を防ぎます。
 樹木は生長するとき、空気中の炭酸ガスを吸収し、酸素を放出します。
 これは光合成(こうごうせい)と呼ばれますが、この働きで、空気をきれいにします。
 また炭酸ガスをため込むことができますから(カーボンシンクの働きです)、石油などの消費で増加する炭酸ガスの一部を吸収して温暖化の防止の働きをしています。
 また樹木は、フィトンチッドと呼ばれる物質を発散しているので、森林の中を歩いたりするとさわやかな気分になり、健康に良いといわれています。

4.木材やきのこや山菜を供給します。
 住宅や家具などをつくるための木材を供給します。
 また新聞や本などをつくる紙の原料となるパルプも木のチップから作られます。
 おいしい山菜やきのこも森林の中でとれます。
 ただし、木材を得るために森林の伐採をするときは、森林を破壊しないように、大きな面積の森林を一度に切ったりしないように気をつける必要があります。

5.風の害や砂の害を防ぎます。

6.旧跡や名所の周囲にある森は風景を良くする働きをしています。

7.海岸の森林は魚の繁殖に役立っています。

このように森林にはいろいろな働きがあります。


 ところで季節の移り変わりと森林の関係ですが、春に芽が出て新緑といわれる美しい時期があります。また秋から冬にかけて落葉する樹木が多く見られます。
 一方、常緑樹と呼ばれる樹木がありますが、実はこのような樹木も落葉するのですが数年かかって生えかわったているので、落葉しないように見えるのです。観察してみてください。
 それから葉の色が秋には赤や黄色に変わります。
 温暖化現象とともに紅葉や落葉の時期が昔と違ってきているようです。
 また紅葉の色が以前ほど鮮やかではなくなっていることもあるようです。
 お父さんやお母さんあるいはまたおじいさんやおばあさんにたずねてみるのも良いでしょう。
 また樹木にも花が咲きます。花の咲く時期は春が多いですが、夏や冬に咲く樹木もあります。
 身のまわりの樹木について調べてみましょう。


質問 6 

小学校6年生です。
今環境のことを勉強しているのですが良くわからないことが1つあります。
それは、世界中の木を切っていくとどんな風に変わっていくのかということです。
教えてください。
お願いします。


森林博士の答え

世界中の木をどんどん切っていって木や森林がなくなってしまったらどういうことになるかということについて考えてみましょう。
先ず現在、地上および地中に存在する炭素量は、大気中の炭素量の約3倍と考えられています。
また森林がため込んでいる炭素量に限っていえば、大気中の炭素量の1.8倍ほどといわれています。
したがって、森林がなくなって大気中の二酸化炭素に変わったとすると、大気中の二酸化炭素量は現在の3倍近くまで増加すると考えられます。
このことは気温の上昇や土壌の乾燥を招きますから、人間や動植物の生息条件の低下をもたらします。
つまり、世界中を砂漠化しようということと同じことになるでしょう。

次に森林がなくなれば水の循環が変わってきます。
アフリカや南米のアマゾンの森林がなくなったらどうなるかということについて研究した事例があります。
この実験(マクロシミュレーション研究)によれば雲の量が20パーセント減少し、したがつて降雨量も減少し、水の流出量が半分に減るというような結果が出されています。

要するに、森林を減らしていくと、人間も生きていけなくなるということです。

ただここで注意をしておきたいことは、森林を減らすということは、してはいけないことですが、森林を減らさない限り、森林の樹木を切って利用することは許されることなのです。
現在大気中の二酸化炭素などが増加し、温暖化が進んでいますが、これは主として、石油や石炭の燃焼によって生じると考えられています。
木の場合は、燃えたり腐ったりして二酸化炭素になっても、森林があれば二酸化炭素が吸収されて、再び木が育ってきますので心配はいらないということになります。

ここのところを良く理解するための勉強をしてください。


参  考

(1)        地球環境とCO2

   地球のできた頃の大気はCO2 が多く、気温も高く、生物の生息には適していなかった。しかし、何億年という長い時間をかけて、植物がCO2を固定し有機物をつくり、それが分解されずに石炭や石油となり、地下に封印された。

(2)   地球温暖化のしくみ

  産業革命以降、人間は地下に封印された化石燃料を際限なく使い、大気中のCO2を増やしてきた。太陽からの日射のエネルギーは地球を暖めるとともに一部は反射される。地球から反射されたエネルギーは大気のCO2やメタンなどにより再び地球に反射され熱が溜まることになる。これが「温室効果」と呼ばれ地球温暖化の原因。

(3)   森林がなぜ温暖化を防ぐのか

  植物は空気中の2を吸収して炭素を体に蓄える。植物による生産量の多い森林は巨大な炭素の貯蔵庫。地球規模では土壌に6,600億トン、植生として3,300億トンの炭素が蓄えられている。木材でつくった家や家具もまた大切な炭素の貯蔵庫。広大な生産力の高い森林に地球温暖化防止の期待は大きい。しかし、森林も呼吸や有機物の分解で2を放出しており、実際どのくらいC2を減らすのかははっきり分かっていない。

(4)   地球温暖化を防ぐために

  「地球サミット」で、世界中の森林の持続可能な経営のための原則を示した世界的な合意が採択された。ここではCO2排出量削減にむけて各国が協力することが決められた。「京都会議」で各国のCO2排出削減目標がさだめられ、化石燃料から再生可能な木材資源の利用と育成が掲げられた。

 


質問 5 
今学校で、調べ学習をしています。
それで私は、森林のことを調べています。
そこで教えて下さい。
「森林を守り、育てる努力や工夫」のことを、なるべくいっぱい教えて下さい。
あと、なるべく速く(2月3日〜2月5日)送って下さい。
そうしないと勉強の資料につかえないので・・・・・・・。
よろしくお願いします。

小5  猪岡 純子より☆

森林博士の答え

猪岡 純子さんへ

森林を守るということは、大人も小学生もできます。
森林にとってこわいことは、山火事です。
山火事の発生は、たき火の不始末やたばこの投げ捨てなどが原因で起きることが多いのです。
そこで、森林の中で、作業をするときやキャンプをするときに火を使うには注意が必要です。
風が強いときや、乾燥する春先などはよく注意してください。
また火災を発見したら、消防署や市役所、役場、森林管理署などに知らせてください。
また樹木や森林は、病気になったり、動物や昆虫から害を受けることがあります。
これを防ぐには、よく観察をして被害が起きているかどうかを確かめ、市役所などに知らせましょう。
また最近は、森林にゴミをすてる人が増えています。
ゴミをなるべく出さないように工夫をしましょう。
またゴミは森林にすてたりしないように、よいマナーを身につけるようにしましょう。
子供の時から、リサイクルやゴミの分別について勉強しましょう。

次に森を育てるには多くの人が協力することが必要です。
緑の少年団のようなグループに入って、活動する方法もあります。
またドングリの実をひろって、ドングリ銀行に届けることも良いことです。

また学校や家族で木の種から苗木を実際に作って見たり、作った苗木を植えて育てることも良い経験になるでしょう。
市役所や役場などの主催で、植樹祭などがおこなわれていますのでニュースや広報誌に注意して、植樹の行事に参加することも良いと思います。

このほかにも、いろいろな方法がありますので、自分で調べて見てください。
小学校高学年向きでは、「図説−木のすべて」(大日本図書)という5冊シリーズの本が出版されています。
この本には詳しいことが書かれいますので、学校の図書室や近くの図書館で読んでみてください。


質問 4 

こんにちは、今学校で、森林について、調べているんですけど、教えてほしいことがあります。木は、どんなものになるのか、教えてくだえてください。なるべくたくさん、教えてください。お願いします。

例えば、木は紙になったり、家の木材として利用されますが、ほかにもありますか。

よろしくお願いします。

浦和市立原山小学校 

5年斉藤広明

森林博士の答え
 
木から作られるものは沢山あります。
 
家やいろいろな建築物があります。
書籍や新聞などに使われる紙があります。
タンス、机、いす、書棚などの家具があります。
おわん、はちなどの食器があります。
木のおひつ、すし桶などもあります。
風呂桶などもあります。
箸もそうです。
洋服ハンガーもそうです。
各種の道具があります。カンナや金づちの柄などがあります。
木のおもちゃがあります。
バイオリンなどの楽器があります。
炭も木から作られます。
コルクの栓やコルクの床板もコルクガシ(コルクノキ)から作られます。
 
 
昔は、船や仏像などの彫刻なども木から作られていました。
鉄道の枕木や電柱、鉱山の坑木も木でした。
 
このほか樹木からとれる成分を使うこともあります。
 
樹液を飲料として使います。 例、シラカバ樹液など。
甘味料も作られます。
香料も作られます。
ゴムもそうです。
炭を作るときにできる木酢液もあります。
ウルシもとれます。
キハダの木からダラニスケなどと呼ばれる薬品もとれます。
 
最近は、木を接着して出雲ドームなどの大型建築物や木の橋
なども作られています。
 
 
このほかにもいろいろあるでしょう。
皆で考えてください。
 
 

質問 3 

今学校で日本の森林について調べているのですが、日本で森林の豊かなところといえばどこですか。
3つぐらい答えてほしいのですが。

堺市立赤坂台小学校五年 庄野洋平より

森林博士の答え

日本は森林が豊かな国といわれますが、それは日本の国土の67パーセントが森林に覆われているからです。
そこで都道府県別に森林の比率の高いほうから順番に並べてみますと、
一位は高知県の84パーセントです。
二位は岐阜県の82パーセントです。
三位は山梨県、長野県、島根県の3県が78パーセントで並んでいます。

(参考)


質問その2の中の未回答部分

森林も大切なんだけど、動物も大切だと思ったのでこんなことから環境問題の森林に目をつけて、こういう事を聞きたくなりました。
そして森林を救えなくても日ごろでいろんなことをかんがえていきたいです。
僕たちにもできることがあるでしょうか。小さいことでもいいのですが。
いろんなことの質問をきいてくれてありがとうございました。


八田小学校6年2組
 牧山優亮・森山央貴

森林博士の答え
 
すっかり返事が遅くなってしまい、いつの間にか今年も終わりに近づいています。
11月に森林博士は、中国の内蒙古自治区のハイラル市に植林のボランティアに行って来ました。
中国の小学校を訪問したところ、中国の小学生も一生懸命勉強していました。
パソコンのほか英語や日本語も勉強していました。
来年は校庭に大きな花壇を作るとのことです。
私達日本人の植林ボランティアグループも花壇づくりのお手伝いをするつもりです。
その時に、中国の小学生が、植林のための苗木作りができるように応援をしようと相談をしているところです。
ところで皆さんの質問の「僕たちにできることがあるでしょうか」ということについて考えてみたのですが、これにはいろい  ろあると思います。
直接森林を増やすための、植林の催しに参加する。これには県庁や市役所などが行う植樹祭やイベントがあります。
またドングリの実を集めてドングリ銀行を作ったり、苗木を作って植林をすることもできるでしょう。
また直接森林を増やさなくても、例えばゴミを出さないことや、ゴミを少なくすることは、森林を守ると同じ効果があります。
ゴミが森林に捨てられれば森林は破壊されます。ゴミを処理する場合炭酸ガスが排出されますから、ゴミを減らすことは地球環境を守るために大切です。
小学生の皆さんも、どうしたらゴミを減らすことができるか、アイデアを出してください。
またエネルギーのむだづかいをしないことも大切です。
このほかリサイクルのお手伝いもできると思います。
また木炭を作ってみたりするのも良いことです。木炭などはバイオマスエネルギーの一種で、石油を燃やすよりも、環境に対する影響は軽くてすみます。
このほか、ビオトープを作ることも良いことですね。
このように皆さんができることは沢山ありますから、お互いに意見を出し合って、できることから実行してみてはどうでしょうか。


質問その2

  僕たちは森林のことが好きで僕たちは今まで調べてきました。 そして、今まで調べて、分かったことや、分からなかったことがあったのでこんどは、原因じゃなく森林を守っている人の話など聞いてそんなことをいかして学習でやろうとおもいました。
今まで調べた事はこんなことです。
 南アメリカの熱帯雨林がせまくなりそこに住んでいる動物たちが住めなくなりそんなのが原因で動物たちが減っていくんじゃないかと思いました。
これも調べた事なんですけど外国では、毎日毎分のようにフットボールの競技場の200倍の広さの熱帯林が破壊されていたことなども調べていました。
そこで僕たちの考えでこんなことをするのはたぶん人間の生活のためにやっていることと思いました。
でも僕たちは、そんなことがおかしいと思いました。なぜかというと、人間の生活もあるけど、動物にも生活があるのでそんなことも考えてほしいと思いました。 
聞きたいことがあるんですけど、外国と日本はどちらが森林が減っていて危ないかしりたいのでぜひよければそんなことも教えてください。
森林も大切なんだけど、動物も大切だと思ったのでこんなことから環境問題の森林に目をつけて、こういう事を聞きたくなりました。
そして森林を救えなくても日ごろでいろんなことをかんがえていきたいです。
僕たちにもできることがあるでしょうか。小さいことでもいいのですが。
いろんなことの質問をきいてくれてありがとうございました。


八田小学校6年2組
 牧山優亮・森山央貴

森林博士の答え

世界の森林面積の変化についてのもっとも新しい統計は、FAO(国際連合食料農業機関)が発表した「世界森林白書 1997」です。
この森林白書は、1990年から1995年までの5年間の森林面積の変化を示しています。
1990年の世界全体の森林面積は35億1千百万ヘクタールでしたが、5年後の1995年には34億5千4百万ヘクタールに減少しています。
したがって、5年間の減少面積は5千7百ヘクタールで、1年間では約千百万ヘクタールということになります。
1日あたりでは3万ヘクタールということになります。これはフットボール競技場何個分にあたるか皆で計算してみてください。
さて、このような森林の減少が世界のどの地域で起きているのかを調べてみましょう。
一番減少が激しいのは、中南米で1年間で581万ヘクタール、次いでアフリカでは375万ヘクタール、アジアでは333万ヘクタール、オセアニアで9万ヘクタールです。

これを先進地域(ヨーロッパ、旧ソ連、北米、日本、ニュージーランド、オーストラリア)と開発途上地域とに分けてみますと、先進地域では1年間で176万ヘクタールの増加を示していますが、開発途上地域では1千3百3万ヘクタールの減少となっています。

ところでわが国の森林はどのようになっているでしょうか。
1990年のわが国の森林面積は、2千5百21万2千ヘクタールで、5年後の1995年では2千5百14万6千ヘクタールですから、5年間で6万6千ヘクタール、1年間では1万3千ヘクタールの減少ということになります。

したがって、わが国を含む先進地域では減少がおおむね停止するか、微増に転じてきています。

1千3百3万ヘクタールのうち1千2百59万ヘクタールは熱帯地域の森林ということですから、世界の森林減少のほとんどは熱帯地域で発生していることになります。熱帯地域とはどのような地域を指すか、もし知らなかったら調べてください。
このような状況ですから、世界的に見た森林の減少を止めるためには熱帯の森林の保護、育成や砂漠化地域での森林造成に努力をすることが必要になっています。


またわが国の森林は、盛んな生育を続けており、蓄積が年々増加しています。
すなわち1990年には、約31億3千7百万立方メートルであった森林蓄積が、1995年には約34億8千3百万立方メートルと増加しており、人工林では過密な森林が増加し、間伐などの手入れを促進する必要性が高まっています。


ところで僕たちに何ができるかというのは、ちょっと難しい質問ですね。小学生でもできることはいろいろあると思いますがそれは少し時間をかけて考えることにしましょう。

その前に森林とか環境問題について勉強や体験が必要と思います。例えば福岡県でしたら添田町に水土保全(すいどほぜん)のための複層林(ふくそうりん)のモデル森林がありますが、このような森林が何故必要かということを勉強してほしいのです。


質問その1

 はじめまして、こんにちわ。私たちは、八田小学校の6年生です。 私たちは今、総合の学習で森林保護について調べています。
 動物達が絶滅しそうなわけに環境問題がかかわっていました。 その中でも、森林のことがのっていました。              

 だから、森林について調べたくなりました。 学習を進めていくうちに、森林塾にのっている森林塾大学講座や、 ホームページのリンクを見て、人間が、森林を壊していることを知り、このままじゃいけないと思い、森林塾を見て調べました。
 たくさんの方々が森林を保護していることを知り大切なことだと思いました。このことが、森林塾にのっていて分かりやすかったです。
 森林塾を見て、疑問に思ったのですが、小澤さんが森林保護をしよう
と思ったきっかけはどんなことですか。
 よろしかったら、教えてください。
 このことを生かしてこれからもがんばります。
 福岡県福岡市立、八田小学校 六年
     楠本 拓海  小森 瞬  中野 真一  樋口 静香 
     瀧本 志保  楠 美紗子 
 

答え(森林博士・小澤)  今まで40年以上の期間、森林の仕事に関係してきましたが、森林の保護についてもっとも強く感じたのは何といっても、25年前に南米ブラジルのアマゾンのジャングルに1ヶ月間の調査に参加したことがきっかけになったと思います。
世界最大の熱帯雨林であるアマゾンのジャングルは、3千種類とも4千種類ともいわれる樹木が生い茂っています。
丁度そのころアマゾン横断道路が建設され、鉱山開発や農場開発など各種の開発がアマゾン地域で盛んに行われるようになりました。
私がジャングルの調査をしていて気がついたのは、ジャングルの中に点々と円形の草しか生えていない空き地が見られることでした。
このような空き地はカンポと呼ばれていますが、土壌の性格がどのようになっているのかということに興味をもちました。
早速調べてみましたところ、ph(酸性やアルカリ性の程度を示す尺度)は4.0から4.5程度の酸性(問題になっている酸性雨も似たようなphを示すことが多い)の土壌であることがわかりました。
その上、アルミとかマンガンなどの金属成分が検出されました。しかし窒素分や燐酸、カリウムなどの植物にとっての栄養分になるような物質は全くといって良いほど検出されません。
そこでジャングルの内部の土壌についても調査をしてみましたが、全体的に良い状態ではないということがわかりました。
このことは、アマゾンの森林は気温も高く、降雨量も多いことから簡単に大木が育つように思われますが、土壌の条件が悪いため、もし大量の樹木が伐採されたり、燃されたりして開発が急激に進みますと元の状態には戻りにくいということなのです。
つまり、森林の保護や育成を考える場合、科学的な調査や分析が重要です。
一方、樹木は大変丈夫な側面ももっており、零下30度、40度というような永久凍土の地域でも森林は育ちます。しかし乾燥状態が続いたり、土壌が合わなかったり、人間による急激な生態系に対する破壊が行われたりしますと回復が困難になります。
私たちはこのような実態をよく調べ、研究も深めて森林の保護や育成をしていく必要があります。


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