在英国、佐藤さんからのお便り、木造校舎のリニューアル関連


佐藤万理
mariko-konmari-sato@msn.com
http://www.asahi-net.or.jp/~fc8m-stu/


森林塾 小澤様、
こんにちは、佐藤です。本年もよろしくお願い致します。
貴サイトの表紙に、私からの提案をフィーチャーしていただき、大変恐縮しております。有り難うございます。
御参考までに、私のコメントに出てくるGilbert Whiteの家(現在博物館)の内部と庭の写真をお送り致します。貴サイトに掲載いただいても、いただかなくても結構です。
画像:

01:G.Whiteの家のキッチン。素朴でつつましい18世紀の田舎の厨房。これでもWhite家は地元の名家。普通の農家の更に簡素な厨房と食事がしのばれます。

02:G.Whiteの家の前庭。White家はSelborne村の教区牧師の家柄。日本で言えば村のお寺の住職に相当します。牧場や農場を含め村一番の広大な敷地を有していたことがうかがえます。

03:Whiteの家の敷地内の一角に、ワイルドライフ・ガーデンが作られていました。Whiteの生前にはこのような庭はありませんでしたが、「エコロジーの父」と呼ばれる彼にちなんで、蝶や蜂、爬虫類や両生類、野鳥を呼ぶ庭を作ったのだと思われます。イギリスのワイルドライフ・ガーデンには、通常次のようなアイテムが盛り込まれます:
(1)蝶や蜂をひきつける野草が咲く草地(蜜を多く出す在来種の花々)
(2)両生類やトンボに欠かせない池(日本の場合は田んぼも素敵!)
(3)野鳥を惹きつける果樹、水浴びや水飲み場となるような浅い碗方の容器や瓶など
(4)トカゲなど爬虫類が日光浴したり、かくれることができる日だまりの石(石垣などもチャーミング)。
(5)小型野鳥の隠れ家や営巣場所になる生け垣(イギリスでは在来種セイヨウサンザシがよく使われる)
(6)注意点:植える植物はできるだけその土地の在来種(昆虫や動物が長年食べなれているもの)にする。
(7)ワイルドライフ・ガーデンの手入れは、ふつうの園芸庭園と同じくらい手間がかかるといわれています。動植物の繁殖時期や冬眠時期を妨げない手入れのタイミングや方法が必要。
(8)イギリスと違い、日本の場合は多様な動植物がいるので、蜜蜂や蝶の他にもカブトムシやクワガタ、セミ、カマキリなども主役になりそうなので(クワガタはイギリスにもいます)、更に多様な植物を考慮に入れる必要がありそうです。
(9)イギリスのワイルドライフ・ガーデンでは、小動物までは考慮に入れていないようです。
(10)農業などに伝わるその土地の伝統的な自然との付き合い方を基礎に、その土地の動植物のための環境を作るというのが、基本的なコンセプトです。

廃校の改造時等に、隣接する敷地内にその土地の動植物が観察できるワイルドライフ ガーデン(日本語で何かいい訳語がないでしょうか?)があったら、訪れる人々の目を楽しませてくれると同時に、その土地の野生生物への理解を深める手助けになるかもしれないと思いました。



写真01



写真02



写真03


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