森林随想 「高齢者のやる気」
最近、所沢市の高齢者大学卒業生の同期会(28期)の皆さんに招かれ、2時間ほど講演させていただいた。
たまたま同期会の会長である安藤輝一さんが長年にわたる友人ということでお引き受けしたものである。
28期ということから想像されるように、30年も前から続いている伝統のある大学(講座)であることがわかる。
聞くところでは、人口31万人を背景に、毎年定員160名(未習者のみ)、毎月2〜3回開講ということでかなりの高密度である。
開講の目的は、生涯学習の一環として学習の機会を行政側が提供し、社会環境の変化に対応する能力と心身の健康を培うとともに、健全で豊かな生活を送るためとなっている。
授業内容として、健康・福祉・一般教養・時事問題・政治・経済・身近な法律・スポーツ・レクリェーション・趣味などの学習というこみとで大変幅の広いものとなっている。
学習会場は、市役所会議室のほか、保健センター、生涯学習センター等既存の施設が活用されている。
受講料は年間5千円で交通費、クラブ活動費などは受講生負担としているが、回数も多いのでかなり低廉といえる。
ところで、高齢者大学というからには、高齢者の定義があると思い、聞いてみると60歳以上とのことで、30年前だと妥当な年齢かも知れない。
今では高齢者の幅も広がってきているのではないかと思ったところ、別に高齢者リーダー養成講座も開かれているとのことである。この講座は、高齢者大学卒業生並びに長生クラブの会員のうち希望者20名以内を選考し、地域活動及びボランティア活動に必要な知識を習得するためのリーダー養成講座であるとのことで、時代に適合したものと思う。
前置きが長くなったが、私が一番感心したのは、皆さんの受講終了後の活動である。
同期会ごとに役員や世話役がおられ、諸活動が行われている。
したがって私がよばれたのも、「温暖化防止時代における我々個人は何をなすべきか」というテーマで具体的行動・活動について話して欲しいということであった。
そこで、「地球温暖化とは何か、その及ぼす影響とは」、「地球の緑が失われて温暖化が加速している」、「世界や日本の各地で進む森づくり運動」、「温暖化防止の主役は誰か」、「炭酸ガスを減らす生活とは」、「外国の森づくりと森活かし」、「エコヴィレッジ運動の提唱」などについて極力、具体的に自ら参加可能な方法論を取り入れて話をさせていただいた。
また、講演に先立って行われた、「歌の集い」も、巧みな司会ぶりの女性(もちろん大学修了者)の進行で、サラリーマン出身であるが、本格的な歌手として修行を積まれた、岡野屋
正男さんの堂々としたリサイタルが、概ね同世代の人たちに元気を与えてくれる歌唱力と声量で会場を湧かせた。
講演終了後の懇親パーティの場でいろいろな方と意見交換を行ったが、具体的な活動についてのお話を聞き、参加者のやる気を十分に感じ取ることが出来た。
以下に、数日後届いた安藤会長からの手紙の一部をご紹介させていただくことにする。
「略、当日は会員約70名の外に、他の会や一般市民の方々を含め110名の多きにわたる方々に参加していただきましたことは主催者としましては本当に望外の数であり、心から有難く感謝しております。
参加者の声によりますと、講演は内容が難しくなり勝ちになるところを、我々のレベルに合わせて分かりやすく、努めて具体的な事例を示してお話しいただき有難かったとのことです。
あわせて、定年後も前向きにここまで真剣に、如何にすべきか模索しておられる姿勢に感動し、自分自身のこれからの生活の参考にしたいとの感想も聞かれました。
今回のお話を通じて、テレビや新聞、ラジオで最近しきりに取り上げられる温暖化防止の問題がこれまでよりも身近なものとして認識できたとの声もあります。特に温暖化防止の具体策は各地域毎に独自の方策を考え出し、いわゆる所沢流の方策を市民が考え出さねば効果がないということは大きな市民運動としての示唆を頂きました。
皆さんがここまで興味を持って頂ければ正に主催者冥利に尽きる気持で御座います。略」
講演終了後は、いつも、あそこはこう話せば良かった。ここはしゃべり過ぎたというような反省点が多く、所沢での講演でも同じような思いはあったが、高齢者のやる気を感じ取ることが出来たことと同時に自分自身のエネルギーも高めていただいたことに感謝したい。(2007年3月20日 小澤普照 記)