子づれDE海外滞在記 2 | スウェーデンその2 |
---|
子づれに最適ファームステイ スウェーデンでの最初の滞在先である友人シーラ宅を出て、日本から予約していたファームステイ先に向かった。ファームステイとは、農場を持つ一般家庭が部屋を提供してくれる、ホームステイのような制度である。お客専用キッチンがあり、子どものいる家庭を選んで予約しておいた。一週間朝食付きで約4万円とホテルより格安で、子づれには有り難い宿である。農場のどっしり母さんという雰囲気のオーナーがとても優しくもてなしてくれた。着いてみると、今すぐに子牛が産まれそうだという。燎平は、早速牛、馬、ニワトリを見て大喜びである。10分もすると、本当に目の前で子牛が出てきた!初めての体験である。3人の子供たちは、言葉は通じなくても毎日燎平の手をひいて牛舎に連れていって遊んでくれた。 家は立派で、裏庭はサッカー場が入る程の広さの芝生敷きであった。スウェーデンの10月は初冬であり、辺り一面メープルの黄色い葉で埋め尽くされていた。客室は大きな建物の2階半分で、2ベットルームにバス・トイレ・キッチン付きで、しばらく住み着きたい程の設備である。2組の客でシェアするのだが、ここは「ベッド&ブレックファースト(寝床と朝食)」と広告されているので、多くの客は夜中にやってきて朝早く出ていく。そのため、1週間連泊した私達が、ほとんど全てを独占してしまった。冷蔵庫には食材を買い込み、北欧の白い木目調のキッチンで自炊した。味噌・昆布・鰹節・いりこ・そば・お好み焼きソースは日本から持参しており、米と醤油はスーパーで手に入った。肉もハムもチーズも嫌いな燎平は、醤油の味が一番好きといった様子で、久々のそばつゆをゴクゴクと飲んだ。 夜は大変冷えるが、全て二重窓で気密性が高く、昼は温室効果で暖かいし、暖房は夕方時間が来れば自動的に入る仕組みである。全室温水暖房で、さわっても火傷しない温かさのヒーターが壁に備え付けてある。効率よく全体が常に一定の温度に保たれており、本当に快適であった。日本の冬にもこのシステムを取り入れられないものだろうか。 小学校での講演 3人の子どもたちが通学する村唯一の小学校で、村に滞在する始めての日本人として、日本について講演することになった。全校生徒約50人の小さな学校で、この日は花を植える野外活動を行っていた。日本地図、箸、浮世絵、折り紙を見せながら、日本の小学生は塾やお稽古事で忙しいこと、中・高校生は制服があることを話すと、「Poor Japanese children(かわいそうな日本の子どもたち)」という声が出る。上級生のクラスでは折り紙を教え、開いて箱になった途端奇跡でも起こったかのように喜んでくれた。学校に「SADAKO」という広島の原爆についての絵本があり、それを読んで皆で泣いたそうだ。見よう見まねで作った太めの鶴がたくさん飾ってあった。日本に戻ってからこの時の写真を送ったら、下級生全員が描いた絵を送ってくれて感激した。絵にはスウェーデンと日本の旗がたくさん出てきた。 滞在初日、私はオーナーに、燎平がスモール電池を飲み込んでしまった可能性があることを相談した。しかし、病院は車で1時間半かかる町にしかない。電話して医者に相談してくれたが、医者が言うには、2〜3日すれば便と一緒に出て気が付かないことが多い、今不快感を訴えないで元気なら大丈夫ではないか、ということだった。確かに燎平はずっと元気であった。それに、レントゲンを撮るのに外国人は3万円かかるという。結局、しばらく様子を見ることにした。 |