子づれDE海外滞在記 3 イギリスその1


イギリスのジェーンの家で

1週間のファームステイの後、スウェーデンを飛び立ち、イギリスのジェーンに会いに行った。ジェーンの家は広大な農場で、牛500頭に小麦畑をいくつも持つ。迎えの車の中から「ここは全部夫の農場よ」と説明され、家はどこにあるのかと思うと、刈り入れの終わったコッツウォーズ地方のなだらかな小麦畑の先に見えてきた小さな村から離れた所にぽつんとあるのがそうだと言う。
ジェーンが3年前に東京で1年間英語を教えていた時に、偶然、伊豆のユースホステルに泊まった私達夫婦は、婚約者ギャレスと一緒だった彼女と友達になった。次の日には露天風呂に4人で入った仲である。日本人は仕事が忙しく、高級な短期の旅を好むのと比較して、欧米人は安くて長期の旅をするのが上手である。私達夫婦は安くて短い旅を数多くすることにしているが、そのおかげで彼らと知り合うことができた。その後彼女はイギリスに帰って彼と結婚し、燎平の2カ月後に男の子を、そのちょうど1年後に女の子を産んだ。
どこが牧場か庭かわからない位広い土地には、リンゴ・胡桃が植わっていて食べ放題である。「やめられない」と言いながらジェーンは胡桃を拾って指で器用に割り、ポリポリ食べる。その木にはブランコが下がっていて、燎平はこれを気に入って降りようとしない。見渡す限り牛・牛・牛、そしてそこら中では本物のピーターラビットが走り回っている。
巨大な牧草の丸い束の間からギャレスが現れた。ファーマーウエア(農夫が着ているつなぎ)も似合っていて素敵である。イギリスでは、ファーマーは子どもにとって「大きなトラクターに乗ってかっこいい」職業なんだそうだ。そういえば農場やファーマーが題材になった子ども向けの本や歌も多いし、牛や羊を型どったインテリアやグッズも至る所で売っている。燎平もトラクターの本を買った。

燎平、初レントゲンを英国で

着いてすぐに、燎平の電池飲み込み疑惑について相談すると、次の日、4カ月の娘ケイラを5種混合(破傷風、百日ぜき、ポリオ、髄膜炎、ジフテリア)の予防接種のために病院へ連れていくというので、一緒に連れて行ってもらうことになった。レントゲンを撮った結果、体には何も残っていなかった。結局本当に飲み込んだのか、最初から飲んでいなかったかは不明であるが、胃や腸で引っかかっている危険がないことを確認して、やっと安堵できた。その上、旅行者でも医療費は無料であった。何日か後のニュースで、バーミンガムに住むインド系の10カ月位の子どもが安全ピンを飲み込んだ可能性があるので病院へ行った際に、レントゲンを撮らずに様子を見て大丈夫と診断され、後に別の病院で検査したところ喉に針が刺さっていたことがわかり、子どもの両親が最初にかかった医者を訴えることになったと報道されていた。やはり、万全を期すに越したことはないと思い知らされた。