シュタイナー教育を実践するということ
シュタイナー教育を体験して、そこからなにを学んだか
確認してみたくてこのページを作りました。
私は、啓蒙家ではありません。
ですから、シュタイナー教育に接すると必ず出てくるキーワード、
「意・情・知」「4つの気質」「肉体・エーテル体・アストラル体・自我」
などの用語の説明文は書きません。(詳しく知りたい方はリンクページからどうぞ)
なぜなら、百科事典的に右から左に書き写すくらいしか私にはできないからです。
そんな私の心の入らない文章を読んで、心を打つ人はいないでしょう。
ここでは、頭で考えたことではなく
自分の心が動いた体験だけを述べていこうと思います。
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私がいつも感心するお母さんがいます。Aさんと言います。
彼女が読んだ育児書は「あた天」です。
シュタイナーの本を読んだ様子はありません。
家に遊びに行くと、シュタイナー風なおもちゃはどこにも見つかりません。
ですが、彼女の子育ては、とってもシュタイナー的なのです。
逆に、シュタイナーの本をたくさん読んでいて、シュタイナー風なおもちゃがいっぱいあるのに、
ちっともシュタイナー的な子育てをしているように見えない人というのもいます。
最近の親たちは子どものためにいいことをいっぱい知っています。
でも「子どものために」という下心で子育てするのは、あまりよくないように思います。
以前の私がそうだったから、そう思うのです。
Aさんは、「子どものため」という大義名分や下心からではなく、
彼女の価値観、彼女の生き様そのもので子育てしています。
そして、彼女自身が子どもの立派な手本となっているのです。
彼女こそ、シュタイナー教育の実践者だと私は常々思っています。
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子どもがまだ2歳くらいだった頃でしょうか。
Aさんちに遊びに行くと、ぬりえがありました。
ぐちゃぐちゃに描きなぐった子どもの作品に混じって、美しくぬられたページが何枚かありました。
Aさんは、恥ずかしそうに「私、ぬりえ、好きだから、つい、自分がぬっちゃうのよね。」と、言いました。
子どもたちの間でアイロンビーズがはやり始めた頃もそうでした。
3歳児たちの作品は、色合いに気をつけたりしません。
ところが、これまた、美しい模様の作品を私はAさんちで見つけました。
Aさん自身の作品でした。
Aさんは、子育てしながら、子どもと一緒に遊んでいるのです。
子どものためになるからといった下心からではなく、自分が心から楽しんでやっているのです。
Aさんは、料理やお菓子作りも得意です。子どもの服などもマメに手作りしていました。
それらのことを「子どものためになるから」やっているのではなく、そうしたいからやっているのです。
暇があれば、ちょっこっと外へ出て、子どもと一緒に遊んでいます。
Aさんちの近くを通りがかったとき、
彼女が子どもたちと楽しそうに遊ぶ姿をよく見かけます。
早寝早起きは当たり前です。
夏休みのラジオ体操は毎年皆勤賞をもらっています。
Aさんが、子育てでイライラしているのを見たことがありません。
過剰な期待や熱心さがなく、とっても気楽に生きているように見えます。
夫婦仲もよく、子どもたちはお父さんが大好きです。
日曜日、外に出て、Aさんちの父子に会わないことはないと言っていいくらいです。
遠出はしないけれど、近所で仲良く遊んでいるのです。
Aさんの偉いところはまだあります。
お父さんの唯一の楽しみはTVゲームです。オセロも超得意です。
お父さんは週1回、日曜日だけTVゲームをします。
その日は子どもたちもお父さんと一緒にTVゲームができる日です。
それも1時間だけです。
それ以外の日は、タンスの上にゲーム機をあげてしまって絶対やりません。
そんなけじめのある生活をしています。
下の子がなにか言って泣いていました。
Aさんは、全くたじろくことなく、「それは、○○のわがままだから。」と言って応じません。
応じないけど、その他の言わなくていいことは一切言いません。
そんなきっぱりした態度なのに威圧的でないお人柄。
本当に、シュタイナー教育を地でいく人と私は呼びたい。
彼女にそれを言うと、いつも笑ってこう答えるのです。
「私、田舎者だから。」
と。そんな謙虚さもすてきなのです。
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シュタイナー教育を実践するにはどうしたらいいのかと聞かれたことがあります。
それは、単に、ペンタトニックにこだわることや蜜蝋粘土で遊ばせることや
ライゲンをさせることやヴォルドルフ人形を作ることではないのです。
それは、単なる手段です。
そんなものなんにもなくたって、シュタイナー的な生き方をしている人はたくさんいます。
だから、だれでも、どこでも、いつからでも実践できるはずなのです。
私はそんな風に思います。