Z80系の高速バージョンが川崎マイクロエレクトロニクス(株)より開発製品化されていますが,シリーズの一つでKL5C80A16というワンチップCPUを使用しZ80汎用ボードとして試作/学習用にアレンジしましたのでご紹介申し上げます。(→KL5C80A16は生産中止となりました)
ワンチップCPU登載の汎用ボードは小型化が可能なため,名刺サイズ位のタイプが多く見られます。けれどもインターフェースを増設しようとすると,別基板が必要となったりして小型化のメリットを必ずしも活かせるとは限りません。組込み用としては少し大きめですがハード拡張性を重視し,FX-Z80には十分な追加エリアを設けました。 基板の1/3がユニバーサルエリアになっていますのでCPU部分と追加回路を一枚の基板に納められ,コネクタなども必要としません。
プログラムの開発手順にはいくつかの工程がありますが,中でもプログラムの動作確認作業には効率の良いデバッグツールが欠かせません。安くて基本的な操作だけでOKとされるユーザ向けにオプションでマシン語モニタユニットを用意しています。このユニットではプログラムのステップ実行やダンプなど基本的な機能に限定されますが,初心者がスタートアップ時に作るごく短いプログラムの動作/確認には十分です。
また,ROMを交換する必要がありますが,WindowsXPまで標準搭載の‘ハイパーターミナル’,もしくは他のターミナルソフトを利用した簡易リモートモニタ,‘ハイパーZ80’をオプションで用意しています。HEXファイルのロード,プログラムの実行,ブレーク,ステップ実行,ダンプ表示,メモリライト,レジスタ操作,I/Oポートの入出力など,通常必要とするデバッグ機能のほとんどを使用することができます。
パラレルポートは入出力切り換え可能なポートが3つ(24ビット),入出力固定のポートが各4ビット,各々30/10ピンコネクタで接続することができます。いずれもプルアップなど,インターフェースを配慮した処理がなされています。また,シリアルポートはRS232Cレベルで2ポート用意されており,25ピンD-Subコネクタが取り付けられています(但しポート1は一部パラレルポートと兼用)。市販のモデムケーブル(ストレートケーブル)で接続できます。
拡張性を考慮した広いユニバーサルエリア,快適なソフト開発環境など,汎用ボードとして要求される機能がもり込まれたFX-Z80により,試作小量生産の能率アップ,効率の良いマイコン学習が可能になります。更にオリジナル回路やオプションキットの組み合わせにより色々なテーマや用途に学習や応用の範囲を広げていけるのではないでしょうか。
FX-Z80はZ80互換CPUを核に周辺デバイスを組み合せたワンチップCPU(KL5C80A16/川崎マイクロエレクトロニクス)をアレンジした汎用マイコンボードです。クロックは10MHzですが,命令処理に要するクロック数は従来の1/4で済み実質40MHzの能力があります。従って,高速性が要求される処理,例えば,10μ秒サンプリングのA/D変換の入力等にも悠々対応できます。又,Z80とマシン後レベルでの互換性により今までのZ80ソフト資産の活用やプログラミングテクニックの継承が可能です。
CPUに内蔵されているデバッグ機能により,バグファインダと呼ばれるハードユニットを接続しパソコンとバグファインダをRS-232Cケーブルでつなぐことで,リモートデバッガ同様にスクリーン上でデバッグができます。このツールの利点は,RS-232Cポートが2チャンネルともアプリケーションで使用可能になる,またメモリの全空間が使用可能となることです(前述のリモートデバッガではモニタがメモリの一部に常駐する)。FX-Z80にはBF-002(田中電子)に適合するコネクタが取り付られています。(バグファインダは弊社では扱っておりません)
通常,回路の増設には追加基板を必要としますが,FX-Z80には広いユニバーサルエリアが設けられていますので,追加基板がいりません。又,このエリア近くにCPUからのI/Oリード・ライト信号およびデータバスが配置されているため追加回路との結線が短くてすみ間違いのない作業が可能です。更に,同じ場所に8つの選択信号(E0h〜FFhを8分割)も用意されているのでデバイスの増設が楽にできます。これらの信号は34ピンコネクタで取り出すことも可能です。
FX-Z80にはRS232Cポートが2つ用意されています。各ポートともパソコンと市販のモデムケーブル(ストレートケーブル)で接続できます。コネクタはD-Sub25ピンが装着されています。
パラレルポートは8ビット×3,計24ビット。ビット毎に入出力の方向を設定できるので効率良い割り振りが可能です。又,プルアップ抵抗が付加されているので入力信号の処理が簡単です。その他に各4ビット の入出力ポートを備え,FX-Z80では4×4マトリックスのキー入力を想定しダイオードとプルアップ抵抗を付加していますが汎用ポートとしても使用可能です。
ROMは256K,512K,1Mビットいずれにも切り替えでき,RAMは1Mビットが実装されています。モニタではROMを論理アドレス0000h〜7FFFh番地,RAMを8000h〜FFFFh番地に割り付けていますがMMUの再設定により論理アドレスに割り付ける物理アドレス(最大1Mバイト空間)の変更が可能です。
割り込みは1つのNMI入力と,マスク可能な4つのINT入力を解放,モード2で使用。
基板寸法は148×105mm(A6判)の手の平サイズ。電源はオンボード低損失レギュレータにより市販のACアダプタ使用可(6〜12V,2.1φセンターマイナス)。Z80の学習教材,試作,小ロット生産に最適です。付属 の説明書にはキー入力やA/D変換などFX-Z80の応用例がいくつか記載されています。オプションには,I/Oトレーニングユニットの他,A/D変換,パワーコントローラ,RTC等の組立キットがあります。
CPU | KL5C80A16CFP(川崎マイクロエレクトロニクス株式会社) Z80互換ワンチップCPU(マシン語レベル) MMU,DMA,割り込みコントローラ,DMAコントローラ,タイマ/カウンタ,PIO,UART内蔵 |
クロック | 10MHz(最小命令実行時間:100ns) |
ROM | 32K,64K,128Kバイト(27C256,512,1001相当品) |
RAM | 128Kバイト |
シリアルポート | RS232C×2ポート,9600〜38400bps,モデムケーブル接続仕様 クロック同期SIO×2ポート(オプションのモニタユニットで使用) |
パラレルポート | 24ビット(各ビットごとに入出力指定可,一部兼用あり) |
キーボードインターフェース | 4×4マトリックスキーボード |
I/O拡張バス | 選択信号×8,EIORD,EIOWR,EIORQ,RESET,アドレスバス(A0〜A7),データバス(D0〜D7) |
バグファインダ | 5ピンコネクタ(B5B-EH-A,JST) BF-002(田中電子株式会社)に接続可能(弊社では扱っておりません) |
搭載モニタ | マシン語モニタユニット |
供給電源 | ACアダプタ(6〜12V,2.1φセンターマイナス) または,DC5V±10% |
付属品 | ジャンパピン×6,ゴム足×4 |
基板サイズ | 105×148o(A6版) |
ユニバーサルエリア | 40×80o |
動作周囲温度 | 0〜50℃ |
I/Oトレーニングユニットはマイコンの入出力制御命令の基本的な考え方を丁寧に要約した学習教材で,LEDとスイッチを混在させた基板と対話形式の解説書で構成されています。従ってビギナや独学で始められる方またI/O命令の実際的な使い方について詳しく知りたい方には手ごろな教材と言えます。また,多少の配線作業もありますのでハードの実習を兼ねた教材(部品込み)としても最適です。
このユニットはマイコンのインターフェース例を一枚の基板にまとめ部品キットにしたもので,6つのテーマについて応用レベルのハード,ソフトの学習ができます。テーマはA/D変換と平均化処理,位相制御によるACパワー制御,学習型の赤外リモコン,プリンター制御,RTCを応用したカレンダー&タイマー,ダイナミック制御によるキー&LED表示で,回路的には各々独立しています。キット部品をプリント基板にハンダ付けするだけで部品同士の配線作業はありません。
8桁の7セグメントLEDと16進キーボードを使用したマシン語専用モニタです。パソコンがなくても,プログラムの入力,実行,ダンプなど,マシン語レベルでの基本的な操作ができます。また,パソコンからHEXファイルをロードすることもできます。
ACアダプタ(\2,200-/本体価格\2,000-,消費税\200-)
RS232Cケーブル(\2,310-/本体価格\2,100-,消費税\210-)等
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