たにえみ
飯田真季(新進の小説家)は、ある夏、エイズに関するエッセーの依頼を受け、体験取材として気軽に検査を受けるが、思いもかけない陽性の診断を下されます。HIV感染者と宣告された彼女はその日から差別と偏見の中で絶望の淵をさまよいます。
しかし、医師やカウンセラー、そして恋人の支えにより、力強く生き抜くことを誓います。恋人との結婚、妊娠、出産、やがて抵抗力の落ちた彼女にAIDSは容赦なく襲いかかります。そしてついに発病・・・。
感染から夭折するまでのわずか2年間、エイズと闘いながら人生を精一杯生き抜いた一人の女性の闘病生活を通して、AIDSとは一体どんな病気なのか!そしてAIDSは決して差別される病気ではないことをドラマティックに、けれど淡々と描いて深い感動を誘います。
篠原 章夫
昭和40(1965)年秋田県生まれ シノハラステージング主催
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これまでいくつものエイズ関連の映画、TV、演劇を見てきました
いずれも興昧深く、感動的でしたが、あるエイズ患者の闘病手記の衝撃を越えるものではありませんでした。
これまで抱いていたエイズに対するイメージのいかに薄っぺらなものだったか、という思いで一杯になりました。
現在一般の人々の知識が乏しい段階で、エイズをビジュアル化するのは、かえってこの病気のイメージをミスリードする危険性があるのではないかと思い、以来、思考錯誤の中で、辿り着いたのが“朗読劇"だった訳です。
人々に静かに考えてもらうためには、とにかく出来るだけシンプルで嘘のない表現スタイルが望ましい。
舞台と向き合う観客のイマジネーションをいかに掻き立てていくか、今までの朗読劇の概念を打ち破るパワフルな作品にしたいと願っています。
構成・演出 篠原章夫
前略
初舞台で御一緒させていただいた方が、10年前、50歳を過ぎてから「トマト座」という学校廻りの劇団を、借金背負ってまで旗揚げなさいました。
なんとも無茶な話なのですが、ご夫妻は、聞くも涙、語るも涙の御苦労をなさって、あまたの劇団が淘汰されていくなか、生き残っていらっしゃいます。子供達のために、良質な作品を送り出し続けてらした結果なのだと思います。
年明けに、スケジュールが合えば「今は・・・」に出演してほしいと連絡を頂き、とりあえず台本を受け取りがてら何年ぶりかでお会いしました。帰りの電車の中で、ぐちゃぐちゃに泣きながら一気に読了、いい脚本です。
エイズ啓蒙などという小賢しいものではなく、愛の物語です。
日本でもエイズ感染者が急増し、5万人ともいわれています。性体験も低年齢化している昨今、きれいごとではない「愛」を子供達に伝え得る素晴らしい作品です。
公演数は非常に少ないのですが、ぽつり、ぽつりと秋からのツアーに出させていただくことになりました。みすゞと違って自殺はしませんが、やはり一生懸命 生きて死んでゆく主人公の役です。
9月北海道・山形、10月愛知(もしかしたら群馬・千葉も)、11月大阪・・・と、地元・さいたま公演はなく残念ですが、久し振りに共演者のいる舞台を楽しみたいと思っております。
この作品の素晴らしさを一人でも多くの方に伝えたいと思い、
「トマト座」さんからパンフレットを預かり、機会あるごとに配らせていただいております。自分の一人芝居の営業が先だろうに・・・我ながら馬鹿だなあ(笑)と思うのですが、ほうっておけないのです。
クオリティが高くても、権カの無い者(有名でない者)は、ひとえにクチコミが頼りです。どうか、力をお貸し下さい。何かの折に、ご推薦いただければ幸甚の極みです。何卒、よろしくお願い申し上げます。
谷 英美