たにえみ

あろーん・しあたー高階

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藤袴 実香 末摘花

らん丸

姫だるま

川越市高階公民館の朗読講座を経て 2005年4月スタートのサークル
毎月第1・第3金曜日
13:30~15:30活動中

撫子 常岡ほたる キャノンボール ゆめ子

第1金曜日

みすゞ以外のモノに挑戦

みすゞじゃなきゃ駄目!なんて枷はありません。気持ちが動く、気持ちを動かす。何かを感じるモノをよんでみましょう。

現在は、川上弘美さんの作品、先生の鞄。この小説の主人公は、月子さんという一風変わった妙齢の女性。先生との間を行き交うというには、あまりにも淡い想い・・・。不器用な二人が織りなす、じれったい世界。

月に一度、とってもチャーミングな月子さんになれる日を、一同楽しみにしている・・ハズです、多分(笑)

月子さんになりたいと熱望しているのは、私自身(てへっ;;)私利私欲で作品を選んでます(笑)どなたか私と、先生の鞄リーディング上演やりませんか~?

第3金曜日

みすゞの詩で、心の垢を落す日

サークル発足当初は、季節に沿った詩を取り上げていました。2005年秋、初めての発表会以降は、みすゞの人生に沿った詩をPick Up。そして2006年、2度目の発表会以降は、全集読破に挑戦!もちろん、詩の背景となる生涯を学ぶ“みすゞ豆知識”は継続です。

**** 活動日誌 ****

11年1月21日

200.【闇夜の星】201.【おてんとさんの唄】202.【海の色】203.【ひろいお空】204.【七夕のころ】

3年半ぶりの活動日誌です。この間、メンバーの入れ替わりもあり、藤袴さん・姫だるまさん・末摘花さん・ゆめ子さんがお辞めになり、新たに3名の方が加わりました。黒一点の男性も含む新しい方は、ハンドルネームが決まり次第upします。が…このペースだと、いつになることやら(苦笑)。

金子みすゞ全集、512編の詩を読み通す朗読は、更新を滞らせている間に、47番から200番まで進みました。詩集も第一集の【美しい町】から、第2集【空のかあさま】に進み、発足当初のメンバー5人の力量の進歩も、著しいものがあります。

いつも5編ずつ進み、うち好きな2編をそれぞれ練習しています。この回は欠席が3人で人数が少なかったので、2編の他に【闇夜の星】を全員で朗読。聞き比べしたいという声がメンバーから出たもので。その意欲やよし!人数が少ないと時間をたっぷり使えるので、たまには良いかも。

【闇夜の星】
闇夜に迷子の
星ひとつ。
あの子は
女の子でせうか。

私のやうに
ひとりぼっちの
あの子は
女の子でせうか。

----【空のかあさま】

子どもの頃に叱られた時の心細さ…という世界で朗読された方が4名。その中でも、<大人になった自分としての思い出><子どもに返った気持ちで>等、表現は分かれました。ほたるさんの切ない心の震えは、聴いていて抱きしめてあげたくなるようでした。

それを受けて新メンバーのOさん「私には絶対できない」。一同うなずく(笑)。彼女は、ハキハキ・サバサバした性格なのです。朗読もやはりそうでした。もう一度読む時「今度は、ほたるさんみたいな世界でやってみます。どこまで可愛くやれるかな」。成果は、もちろん一度目のよみとは違った良さがありました。本人曰く「これが私の精一杯です」。一同うなずく(笑)。性格は変えられませんから、良いのですよ。充分可愛かったです^v^

この詩は、心細い世界でも、また一つ星の輝かしい意思でもやれる。言葉が少ない分、いかようにも解釈できる。自由な分、難しい。最初練習をためらっていたメンバーも、一人手を挙げ、二人やり…するうちに「全員のを聞きたい」という声があがりました。終了後は「同じ詩が、こんなにも人によって変わるものか!」と、それぞれの気付きがあったようです。自由の楽しさを知るひとときでありました。

******2011年******
8月24日

41.【草原】 42.【晝の花火】 43.【山いくつ】 44.【光る髪】 45.【七夕の笹】 46.【紋付き】 47.【噴水の亀】

*薄字は学習済

【晝の花火】
線香花火を
買つた日に、

夜があんまり
待ちどほで、
納屋にかくれて
たきました。

すすき、から松、
ちやかちやかと、
花火はもえて
いつたけど、

私はさみしく
なりました。

----【美しい町】

この"ちやかちやか"という表現、線香花火にぴったりだと思います。そして"納屋にかくれて"というフレーズ、今も子供ゴコロ満載(ただのガキ?w)な私は、非常にそそられるものがありますすまいるまーく

私は子供の頃、母の留守に口紅を悪戯して、鏡の中の自分にぎょっとしたことがあります。自分のイメージと現実の落差がショックでした。かくれて、こっそり***する。たあいの無い好奇心、見つかったら・・・と、こっそり隠れて。その結果は満足じゃない子供ゴコロ。

語彙を持たない子供は、自分の気持ちを言い表す言葉を知らない。でも、語彙を持つオトナになると、子供ゴコロを忘れてしまう。メンバーの朗読や如何に。

ゆめ子さん:納屋にかくれて たきましたを、"イ・ケ・ナ・イあそび"にして欲しいとリクエストしたところ、"真昼の情事"になってしまいました(笑)昼メロにしたいわけではないので、もう少し あっけらかんといきましょう。

姫だるまさん:私は さみしくなりました・・・このさみしさは、さみしいというよりは、納屋で線香花火なんかしたら怒られるのに、我慢できずにやってしまったという後ろめたさなのでしょう。「お母さん、ごめんなさい」という言葉が聞こえて来るようなよみでした。訊けば、そっくりな体験があるとか。お母さんの留守に、ワクワクしながらマッチで火遊び、でも昼間だから炎がちっともきれいじゃなくてガッカリ。それと罪悪感・・・。

どおりで実感がこもっているはずです。でも不思議ですね・・・どうしてこんな風に「ごめんなさい」という時に口をついて出て来るのは"お母さん"であって、"お父さん"ではないんでしょう? そんなことを ふと思いました。

8月3日

【先生の鞄】最終章。泣けます。とうとう、と言うかやはりと言うか、先生が死んでしまいます。一番難しいところに当たったのはゆめ子さん。まずは、易しい箇所のダメ出しから。

一度だけ、センセイが携帯電話をかけてきたときの話をしようか。

----- 川上弘美 【先生の鞄】

ここは、先生が死んでしまったことの布石になっています。深くやる必要はないが、匂わせる表現を探しましょう。

先生が月子さんに携帯電話で電話をかけてきました。先生が携帯でかけてくるなんて晴天の霹靂。月子さんは"すわ、何事か!!"と緊張して受話器を握りしめます。「ツキコさんは、ほんとうに、いい子ですね」と言って、電話は切れてしまいました。折り返してもつながらず、2時間後、家に電話してみた月子さん。

(月子)どこから電話なさってたんですか
(先生)駅前の八百屋の横です
(月子)やおや?

ゆめ子さん、この"やおや?"の一言がフツー過ぎます。月子さんは、大根や白菜を売っている八百屋を、全くイメージできていません。スペイン語でも聞くように"やおや"という言葉をおうむ返ししています。ポカンとしたニュアンス、もしくは素っ頓狂な感じを、この一言に込めたい。

はじめて わたしは センセイに、強く激しく抱かれた。

ゆめ子さん、ここで逃げちゃ駄目ですよー、気持ちはわかるけど(笑)。"抱かれた"という一言、自分が抱かれているイメージを身体感覚で捉えて、どこまで音に乗せられるかが勝負です。しかもたった一言ですから、一瞬の勝負。(朗読とは、頭脳ではなく、肉体に拠るものなのですね(笑))だからといって、しつこくやると、ヤらしくなる。品良くやりつつも、聞いている人にはアレコレ妄想させたい。"そんな難しいこと出来るかよ!!" というお気持ちはよーくわかりますが、Let's try.

--->>Ok Ok !! ここが良くなると連動していき、その後の月子さんの言葉も俄然生き生きしてきます。表現って、そんなふうにつながってゆくものなのです。一つ一つ丁寧にやっていきましょう。すまいるまーく

先生とあまり似ていない息子さんから、月子さんは形見に鞄をもらいます。ふと恋しくなると、鞄を開けて中を覗いてみる月子さん。

鞄の中には、からっぽの、何もない空間が、広がっている。ただ儚々とした空間ばかりが、広がっているのである。

川上弘美 【先生の鞄】 高階朗読ヴァージョン 完。

7月6日

【センセイの鞄】公園で。初めてデートする、先生と月子さん。美術館で書を見た後、公園へ。ベンチに腰掛けると、先生は唐突に切り出します。

「ツキコさん、ワタクシはいったいあと、どのくらい生きられるでしょう」
「ずっと、ずっとです」
「ずっとでなければ、ツキコさんは満足しませんでしょうか」

----- 川上弘美 【先生の鞄】

え、と言ったきり、半開きの口のまま絶句するツキコさん。その半開きの口にセンセイは、ひとさし指を差し入れます。

「何するんですかっ」

と叫ぶツキコさん。

ここにあたったのは、夢子さん。声が裏返るぐらいのショーゲキが欲しい。イメージは、やすきよのやすし師匠。ひとさし指がひらひらと飛び回って、声が裏がえっちゃう感じ(笑)。ガンバリましょう!!

センセイは、切り出しにくそうに咳払いを繰り返し・・・

「ワタクシと、恋愛を前提としたおつきあいをして、いただけますでしょうか」「はあ?」

・・・今更何を言っているんだか、このオヤジは!!という第二のショーゲキを乗り越え、ツキコさんはセンセイの胸の中で、恋愛を前提としたおつきあいをしてあげることにします。次のデートの相談をする二人。

ディズニーランドなんか、いいですね。
デズニー、ですか。
ディズニー、です、センセイ。
ツキコさん、あなたなかなか厳しいんですね。

ここに当たったらん丸ちゃん御自身、"ディズニー"と"デズニー"が怪しいところが、妙なアジになっています(笑)。二人のぎこちなくあたたかい空気感 はなまる 先生のキャラクター造形も はなまる。よくできました すまいるまーく

6月15日

31.【麥藁編む子の唄】32.【もくせい】33.【睫毛の虹】34.【洋燈】(らんぷ)35.【どんぐり】

【もくせい】
もくせいのにほいが
庭いっぱい。

表の風が、
御門のとこで、
はいるか、やめよか、
相談してた。

----【美しい町】

「この詩、難しいよね」ということで、みんなの意見が一致。短い詩なので、素敵さを表現できないうちに終わっちゃうんです(笑)身体中、木犀の金色に染まりそうなほどのにおいは、"いっぱい"という言葉に力を込めれば伝わるというものではありません。風を人に例えた面白さも、伝えきれないうちによみ終わってしまうのです。

この詩の難しさを、共有できるようになったのですね・・・。なんだか、しみじみしてしまいます。1年前なら「この詩難しいよね」と言っても、「これだけじゃなくて、みんな難しいです」という返事が返って来たことでしょう(笑)ということでみんな尻込みしてしまい、この詩は、全員パス・・・かと思いきや、ほたるさんが「やっぱり、これを稽古したいです」と!!

一見、おとなしそうな ほたるさん。こういうところがスゴイスマイルマーク 「だって、どれも難しいんだったら、一番難しいのに挑戦してみようと思って」・・・その心意気が素晴らしい!!では、いざ、お稽古。

1回目:前半が、ちょっと暗いです。フワーッとした空気感は素晴らしいので、それはそのまま、音色を明るくすることを心掛けてみましょう。2回目:・・・金木犀のにおいの甘さが伝わって来るようなよみでしたはなまるマーク

6月1日

第1金曜日は【センセイの鞄】。今回は "こおろぎ"の章。・・・が、健忘症のため(!)稽古風景を全く思い出せません。ごめんなさい。あらすじのみでご容赦下さい

前回の章、干潟での夢は、死の匂いが濃厚でした。話の続きを知らなければ、"アレッ・・・先生、死んでしまったのかナ・・・と受け取れてしまうような場面でした。月子さんは、向き合いたくない現実を避けるかのように、先生を避けまくります。先生に会わないでいれば、先生の死にも会わずにすむかのように・・・。

先生と会わない時間を埋められず、月子さんは、久しぶりに小島孝に会ってみます。しかし、どうしようもない違和感の確認となるばかり。

行きつけのサトルさんの店で、先生が最近来ていないことや、最後に来たときは風邪をひいている様子だったことを聞いて、血がカーッと逆流するようなざわめきを覚える月子さん。居てもたってもいられず、先生の家を訪ねます。先生が生きていたというだけで、あたたかい安心感が胸いっぱいに広がります・・・。

もう、どうでもいや。恋情とかなんとか。どっちでもいいや。ほんとうに、どちらでもよかった。センセイが、元気でいてくれれば、よかった。
もういい。もう、センセイに、何かを望むのはやめる。そう思いながら、わたしは川沿いの道を歩いた。

----- 川上弘美 【先生の鞄】

5月18日

今回は、みすゞが通っていた大津高等女学校の校友誌『ミサヲ』に載っている、作文3種をテキストとしました。【ゆき】【我が家の庭】【さみだれ】

【我が家の庭】大津高女 校友誌 ミサヲ 第4号

 私の家のにはは、極めてせまいものである。けれども此のせまい所にも、
日光は同じやうにさしこんで、四季をりをりの花を咲かせてゐる。此頃は花
盛りである。正面に女王のやうな、大きなばらの花が高からぬ木一ぱいに咲
きほこつてゐる。其のとなりには、上品な芍薬が最早終りごろのしほらしい
姿を見せてゐる。こちらには白や赤の可愛らしい石竹が今を盛りと咲きみだ
れ、金銀草までがまけぬ気になつて、小さな白い花を開いた。夏になると蝉
の宿になる高い木も生々した青葉になつて、初夏らしい気分を見せてゐる。
私はヘやでぬひ物をしながら、庭を眺めて、国語の吾が家の富といふ課を思
ひ出してゐた。

みすゞはたくさんの花をうたっていますが、あやめと藤の詩は一遍もありません。5月半ば(新暦)、あやめや藤の季節です。私は大好きな花なので、何か不思議な気持ちになります。

そんな話を狭山のサークルでした時に、「年齢を重ねて抵抗がなくなったけれど、若い頃は近づかない色でした。」とおっしゃる方がありました。・・・そういえば、私は紫という色が好きなので、濃淡にかかわらず、割と身につけて来ました。時には男性に、「紫、好きなの?」とヤラシー感じで聞かれたり、「色情狂の色だよね」というセクハラまがいの発言を受けたりしたことを思い出し・・・なるほど、そういう感覚も世間には存在しているのだなと、改めて目から鱗だったのです。

そんな狭山サークルの話(あろーん・しあたー狭山 4/25 )をしたところ、高階のメンバーからも多彩な意見が。

  • キャノンボール:「紫って、外国では"仏"の色なので、アレンジメントでは使わない色なんです。」
  • 撫子:「日本では、高貴な色とされたりしてますよね。下々の者が身に着けてはいけない時代とか、ありませんでしたっけ?」
  • キャノンボール:「紫は、さびしい色だから、みすゞは避けたのかな・・・」
  • らん丸:「えっ、紫ってさびしい?!私は、派手な色だと思う。私は水色とかブルーがさびしい感じがする。」
  • キャノンボール:「外国では、ブルーはおめでたい色なので、受けるんです。」

キャノンボールさんは、古流花道の先生。さすが、専門的な意見が出て来ます。色談義に花が咲いた一日でしたスマイルマーク

5月11日

【センセイの鞄】 --- 干潟一夢 ---

今回は、月子さんの夢の中のお話なのでしょうか・・・。飲んでも飲んでも湧いて来るカップ酒・・・意味なく、完璧な自然さで三点倒立をする先生・・・先生の息子の幼い頃や、亡くなった奥さんの意識にリンクしてしまう不思議な干潟。先生が時々、無性に来たくなるという、何かの中間のような場所に居る先生と月子さん。

「ちょっと」とセンセイが言った。言いながら、センセイの輪郭がぼやけ始めた。
「どうしたんですか」と聞くと、センセイは悲しそうな表情になった。

担当は撫子さん。「ちょっと」:平和過ぎます。自分の輪郭がぼやけ始めているのです。もっと切羽詰まって欲しいです。;「どうしたんですか」:これも平和過ぎます。お腹が痛い人に"大丈夫?"と聞いているのとワケが違います。非常事態を表出できるようガンバりましょうスマイルマーク

かき消えてしまった先生は、何時の間にか現われ、岩場で三点倒立をしながら潮干狩りの人々を眺めています。みんな同じ方角を向いて、尻から短い影を生やし、一心に掘っています。

先生:「何が面白いんでしょうね、あの人たち」
月子:「何がって」
先生:「貝なんか掘って」

担当はゆめ子さん。谷:「世話っぽいオバチャンの立ち話になってしまっています。お釈迦さまがおっしゃるようなイメージを欲しい」;ゆめ子:「お釈迦さまと話したことがないから、わかりません」;谷:「ですよね」(爆);

感情を越えたいのです。今のよみだと、色があり過ぎるのでしょう。ここを"オバチャンの立ち話"にしてしまうと、このシーンの奇怪さが際立たなくなってしまいます。

会ったこともない先生の奥さんを、アリアリと思い出す月子さん。夫人は手品を能(よ)くした。あるとき街中で、先生は夫人とそっくりの女性とすれ違う。肩をむき出しにしたけばけばしいワンピースを着て、派手な背広を着た髭の男と腕を組んでいる。夫人そっくりの女は、髭の男と一緒に、ずんずん近づいて来る。その女は笑っていた。夫人とそっくりに笑っていた。笑いながらポケットから鳩を取り出し、センセイの肩に止まらせた。次に、胸元からウサギを出して、反対の肩に止まらせた。最後は、スカートから猿を引っ張り出して、センセイの背中にしょわせた。

「あなた、どうですか」女は晴れやかに言った。
「それでは、おまえは、スミヨなのか」

----- 川上弘美 【先生の鞄】

らん丸ちゃん、最高!!ほんとうに晴れやかでGOODはなまるマーク ここは晴れやかにやらないと、奥さんはヤな女になってしまいます。この人は困った人だけど、ヤな女じゃない。らん丸ちゃんのよみ、私のイメージにぴったり!!こういう風にやりたいと思ったのだけれど、自分では出来ませんでした。今回のトップ賞ですスマイルマーク

4月20日

みすゞに関して知り得た新事実をメンバーに伝えるべく、皆さんの了承を得、稽古冒頭に"ミニ講演"をしました。・・・ということで、通常のお稽古は1時間に短縮。三篇の範囲から、好きな一篇のみという練習プログラムに変更。23.【箱のお家】24.【栗】25.【さかむけ】

【箱のお家】
箱のお家が出來ました。

もう、石鹸の箱でもないし、
お菓子箱でもありません。
それは私のお家です。

表に白い石の門、
裏にはきれいな花畠、
お部屋はみんなで十一間
とてもきれいなお家です。

そして私はそこに住む、
小(ち)さいかはいいお嬢さま。

きれいなお家がこはされて
かさねた箱になつたとき、
私は、古びた、かたむいた、
お部屋の柱を拭いてます。

----【美しい町】

ほたるさん、すんごーくいい!!何かあったのでしょうか?ヒミツの特訓でも編み出したのでしょうか?!・・・そういえば、ここ3回くらいのお稽古で、変化のきざしはありましたが、こんなに劇的に変化するものなのでしょうか。仲間からも賞賛の拍手が起こりました。

3月頃、「生きた間(ま)を探すために、可能な限りの早口でやってみましょう」というお稽古をしたあたりから、"何かをつかんだかな"という感触はありました。ほたるさん曰く、「狭山の発表会を見て、私なりに思うところがあったんです」。オォーッ、姉妹サークルの交流に、そんな効果があったとは!!あんまりうれしくて、その"思うところ"とは何ぞやと尋ねるのを忘れてしまいました。次回、乞うご期待。

それにしても、扉が開く時というのは、こんな風に訪れるものなのですね・・・こんな瞬間に立ち会えるのは、望外の喜び。"やってて良かった"と思えるひとときでしたスマイルマーク

4月6日

第一金曜日はみすゞ以外の作品を稽古する日。【先生の鞄】-島へ- その2

行きつけの飲み屋でよく一緒になる客が、高校時代の恩師と判明。以来、月子さんはセンセイと、ビミョーな距離感の時を重ねます。バッタリ再会した高校時代のクラスメート、小島孝とも淡い"呑み"を重ねるうち、月子さんは小島孝に旅行に誘われます。その時初めて自分の本心に気付いた月子さんは、酔った勢いで「センセイと二人だけで、どこかに行きたい」と駄々をこね、島への旅行を勝ち取ります。以前、センセイがちょくちょく出かけたという島へ・・・。が、断固とした先生の提言により、部屋は別々、だけど食事は一緒。

自ら望んで旅行には来たものの、慣れないシチュエーションに緊張したのか、飲み過ぎてしまう月子さん。食事処から先生の部屋の前まで一緒に戻って来たものの、酔いでゆらゆらしている月子さんを残して先生は中に消え、ドアがピシャリと閉まります。月子さんは一人、ゆらゆらしつつ自分の部屋へ入ると、部屋の真ん中に布団がひと組敷いてある。

この件に当たったのは実香さん。一緒に旅行に来ているのに、一人の部屋の真ん中に、ひと組の布団が敷いてあるという、笑うしかないような女の侘しさを、どうやったら出せるのか・・・。・研究。

物語の進行につれ、デリケートな難しいシーンが増えています。アドバイスの仕様がない領域は、自分のイメージにぴったりの表現が見つかるまで、やってやってやり倒すしかありません。わたしが今まで出会った演出家たち、「違う」というダメ出ししかしない、感じの悪い演出家たち。彼らの誠実さがやっとわかりました(笑)やってもやっても出来ない自分に耐え、根気良く、原始的に探し続けていきましょう!!・・・なんでか、自分自身に言ってるような気になります。

月子さんはその後、一人で温泉に入り、おそるおそる先生の部屋を訪ね、中に招じ入れてはもらったものの・・・「静かですね」と言い合うしかない二人。

「眠りますか、もう」センセイが静かに言った。
「はい」とわたしは答えた。

ここの担当は、姫だるまさん。"眠りますか?"を親切に深く聞くと、"あなた眠くないですか?大丈夫ですか?"というニュアンスになってしまいます。ここはそうではなく、取りつく島もないという言い方・・・目を伏せて"はい"というしかない言い方を探しましょう。ああーッ、ムズカシイですねぇ(笑)!!

その後、一眠りして、夜中にぽっかりと目が覚めた月子さん。闇の向こうから先生が呼んでいるような気分に囚われ、先生の部屋の前まで忍んでいきます(谷:女にこんなことさせるなよ!!)。眠っているのとは違う気配に、思わず声をかけます。

「センセイ、どうしたんですか。だいじょうぶですか。
苦しいことなんかありませんか。そこに行きましょうか。」

なんと先生は俳句を作っていました。午前2時、一緒に俳句を作る事になった月子さんは、ヘボな句をひねりまくり、疲れはて、センセイの布団の上で行き倒れます。朝、目を覚ますと隣に先生が・・・。ギョーテンした月子さんは自分の部屋に逃げ帰り、歩き回り、再び先生の部屋へ。

ここもまた難所です。ここに当たったのは撫子さん。先生が隣で寝ていた事に対するショーゲキを欲しい。でないと、月子さんは逃げ帰りません。どうしたら音声だけでそのショーゲキを表現できるのか。・・・ああー、ほんとにムズカシイ!!ガンバろうね、みんなスマイルマーク

再び先生の腕の中で、幼子の様に眠る月子さん。・・・これで良かったんだか悪かったんだか、女心が切ないです。それにしても、先生のわからんちんのバカバカバカッ!!【先生の鞄】も、残すところあと4回のお稽古で終了。名残惜しいです。

3月16日

年度末ということで、役員の引き継ぎと総括のための話し合いを持ちました。ですので、稽古は1時間に短縮。20.【小さなうたがひ】21.【にはとり】22.【夕顔】

【にはとり】
お年をとつた
にはとりは、
荒れた畑に
立つてゐる。

わかれたひよこは
どうしたか、
畑に立つて
おもつてる。

草のしげつた、
畑には、
葱の坊主が
三四本。

よごれた、白い
にはとりは
荒れた畑に
立つてゐる。

----【美しい町】

明るい作品ではないですが、私は、この詩が大好きです。女性の凛とした愛し方を感じるから。[ にはとり=みすゞ / わかれたひよこ=弟の正祐 ] と考えていたのですが、らん丸ちゃんが新解釈を披露。[ にはとり=みすゞの母 / わかれたひよこ=みすゞ ] ・・・昔は、家族の生活のため、身売りの様にお金持ちと再婚するということが、多々あったそうです。家を出て、再婚した母の気持ちは、こうであったろうと思って書いた詩なのではないか・・・。オォーッ!!なるほど、みすゞは、母に見捨てられたような寂しさを胸の奥にしまい込んだ事でしょう。だからこそ、お母さんは [ 別れたひよこ=私 ] を思ってくれているという詩を書きたかったのかもしれません。

らん丸ちゃんのよみには "人生なんて辛くてあたりまえよ"という明るいたくましさ、そして秘めた切なさを感じました。カッコ良かったです。また皆さんそれぞれ、ご自分の愛を表現していて、素敵なよみでしたスマイルマーク

3月2日

第一金曜日は、みすゞ以外の作品を稽古する日。【先生の鞄】-島へ- その1

行きつけの飲み屋でよく一緒になる客が、高校時代の恩師と判明。以来、月子さんはセンセイと、ビミョーな距離感の時を重ねます。バッタリ再会した高校時代のクラスメート、小島孝とも淡い"呑み"を重ねるうち、月子さんは小島孝に旅行に誘われます。その時初めて自分の本心に気付いた月子さんは、酔った勢いで「センセイと二人だけで、どこかに行きたい」と駄々をこね、島への旅行を勝ち取ります。以前、センセイがちょくちょく出かけたという島へ・・・。

が、断固とした先生の提言により、部屋は別々。月子さんは、割り振られた海側の部屋の床の間に自分の荷物を置くやいなや、センセイの部屋をノックします。

とんとん。とんとん。おかあさんですよ。
子山羊たちや、扉をお開けなさい。狼なんかじゃありませんよ。
ほらまえあしもこんなに白いでしょう。

----- 川上弘美 【先生の鞄】

では稽古。ゆめ子さん、この月子さんの台詞、惜しいというかおかしいというか、全然駄目。テレかくしなのですから、もっとふざけて言ってねスマイルマーク「ゆめ子弱冠4?才。恥かしながら、赤ずきんちゃんやりまーす!!」というノリで、お遊戯にしてしまいましょう。・・・・・・・・うーん、そのよみでは、日常生活のナマな"お母さん"そのままです(笑)もうひとこえ!!

月子さんがいそいそと入れたお茶など飲み、その後散歩へ。センセイが月子さんを連れて行ったのは、なんと妻の墓!!ぬけぬけと、奔放だった妻の来し方を語り、あろうことか"今でも妻が気になる"と言い放つセンセイ。渡世の義理で妻の墓に手を合わせたものの、月子さんは段々ムカムカしてきます。

何をこのひとは呑気そうに笑っているんだか。

姫だるまさん、巧いというか、リアルに生過ぎる(爆)。台詞の向こう側にご主人が見えてしまったのは、私の錯覚でしょうか(笑)

宿へ帰ります

----- 川上弘美 【先生の鞄】

と、きびすを返した月子さん。口から火を噴きそうな勢いで、宿への道を辿ります。このシーンをよんだのは、実香さん。中原淳一のイラスト的女の子な世界が得意。彼女へのアドバイスは「ドスを効かせるぐらいのつもりで、可能な限り低い音でやってみましょう」。なんたって月子さんは、怒り狂っているのです。宿へ帰ったら、一人で露天風呂に入り、酒を飲み、名物のあわびを山ほど食ってやろうと息巻いています。食べてやろうではなく"食ってやろう"です!!ここはひとつ、ステゴザウルスになったぐらいのつもりで、どうぞー。・・・・おお!花丸マーク 作品及びシーンによっては、この音も使っていきましょう。ぐっと世界が広がります。

2月16日

14.【雀のおやど -おはなしのうたの五-】15.【月日貝】16.【まつりの頃】17.【雀のかあさん】18.【月と雲】

一番人気は【月日貝】。10人中9人が練習を希望。キャノンボールさんのよみを聞いていて、ふと感じたのは・・・この方、詩の世界を作品そのものに問う(訊く)力があるような気がしました。詩に忠実であろうとする清冽な誠意を感じます。それは、古流花道の師範である事と無関係ではないように思います。花道は門外漢ですので、トンチンカンな事を言っているかもしれませんが、花道は"どう活けて欲しいか"を、花に問う(訊く)ところから始まるのじゃないかしら。でないと、"活け花"ならぬ"死に花"になってしまう。何事も道を極めていくと一つの処にたどり着くのかもしれません。

【雀のかあさん】
子供が
子雀
つかまへた。

その子の
かあさん
笑つてた。

雀の
かあさん
それみてた。

お屋根で
鳴かずに
それ見てた。

----【美しい町】

みすゞはこの子雀に、自分を重ねているだろう・・・という詩の背景と私の解釈を話したら、あまりの重さにみんな腰が引けてしまいました。そりゃ"詩の世界・みすゞの心情を表現するのは手に余る"という皆の気持ちもわかります。そんな中でただ一人「やってみます」と手を挙げたのは、ほたるさん。やっぱりこの方、爪を隠しているチャレンジャーですスマイルマーク

ほたるさんのよみは、重い詩を沈め過ぎずでGood。重さを深く受け留めていながら、暗くならないバランスが良いです。感情に流されない淡々としたそのよみは、"これは、自然界の掟(おきて)なんだ" という、ある意味当たり前のことを気付かせてくれました。ありがとうございました。

【月と雲】の練習中、はっぴぃぼおるさんは"空オタク"だと判明。空の事だったら、何時間でも喋っていそうな勢いです(笑)空もそうですが、花とか自然界のものって、どれだけ見ていても飽きません。移ろふからでしょうか・・・。みすゞの詩は、自然をよんだものが多いです。普遍の世界、人気の秘密は、そのあたりにもあるのかもしれません。

2月2日

第一金曜日は月子さんになる日。【先生の鞄】- 梅雨の雷 - 。今週は・・・先生に誘われ、断り切れずに付いて行ったお花見の宴。母校前の土手で、毎年繰り広げられる光景。ツキコさんは、旧友・小島孝とバッタリ再会、以来、デートとも呼べないほどの"呑み"を重ねる二人。"バーまえだ"のカウンターで、ツキコさんは小島孝から旅行に誘われます。さて朗読朗読。

ゆめ子さん:小島孝の台詞、口説き文句が思いっきり下手(笑)女性だから仕方ないっちゃ仕方ない。下心があるからこそ、さりげなく、お天気の話でもするように旅行に誘いましょう。ベタベタと熱心な口説き文句じゃコワイでしょ?カウンターに並んで座っていても、ツキコさんを見るでもなく独り言と思えるほどにサラッと・・・。ごめんね、欲深い注文でスマイルマーク 小島孝の台詞を3本含むシーンを、小返ししてお稽古。成果は、右のマークの通り。大健闘!!

「うまい料理を食わせてくれる旅館があってね」はなまるマーク
「今の季節だったら、そろそろ鮎がいいはずだよ」「梅雨に入る前に、ふらっと行ってみない?」

----- 川上弘美 【先生の鞄】

ここで、らん丸ちゃんからモノ言いが。「はぐらかされているからこそ、熱を入れて口説くのかと思ってました」・・・小島孝のキャラクター検討のため、ツキコさんと出会った花見のシーンを思い返してみましょう。

;お花見の宴を抜け出し呑みに行く二人。店を出たものの、どこにも行けない二人は、深夜、誰も居なくなった桜の土手を、手をつないで何往復も歩きます。歩いても歩いても何処にも辿りつけず、「帰ろうか」と切り出したツキコさんに「そうだね」と小島孝。タクシーを止めて、ツキコさんだけを乗せて見送ります。;・・・こういうシャイな男は、熱を入れて誘わないでしょう。らん丸ちゃん「よみが浅かったです」と納得して下さいました。

さて、お話は続きます:しばらく後、ツキコさんは先生に、鮎は好きかとしつこくからんで酔い潰れてしまいます。先生の家で介抱されながら"小島孝とは旅行に行きたくない"という本心と、不用意に直面。血迷って、先生に気持ちをぶつけます。大っ嫌いな雷が近づいて来る気配に急き立てられるように・・・。

「どこかに二人だけで行きましょう」

女の口からは、あまり出ない台詞です。男に言わせるように仕向ける事はあってもね(笑)

姫だるまさん:衝撃的に照れ臭いのはよーくわかりますが、ジョークにしてはいけません。ここは真剣に、全身全霊を傾けて、切羽詰まった叫びにしましょう。この時のツキコさんの目には、きっと涙の玉が盛り上がっているはずです。さぁやってみょー!!---> が、あえなく玉砕。ハードルは高かった。越えてしまえば何でもない、この"壁"が、一番手強いのです。懲りずに挑みましょう。

1月19日

お一人様、見学・・・と思ったのですが、その方、朗読「の」会ではなく、「朗読会」と思いこんでいらしたようです。「朗読の練習をするサークルなんですよ」と言ったら、帰ってしまいました。ここで ほたるさんが出動。何も言わずに部屋を飛び出し、連れ戻してくれました。どうやら、事前に会長に問い合わせをしていた方だったようです。事情がわからなかったもので、ごめんなさい。常は控えめな ほたるさん、やはり爪は隠しているだけ、のようです。助かりましたスマイルマーク

連れ戻された見学者、小学校で読み聞かせをなさっているそうです。下のお子さんは小1。「子供が帰って来るので」と途中でお帰りに。仲間になってくれたらうれしいのですが、「朗読を聞かせる会だと思ったので・・・」とおっしゃっていたので、入会は?。でも束の間とはいえ、新鮮な空気は良い刺激となりました。

今回の範囲は 9.【雛まつり】10.【こぶとり -お話のうたの一-】11.【かぐやひめ -おはなしのうたの二-】12.【一寸法師 -おはなしのうたの三-】13.【海のお宮 -おはなしのうたの四-】

書きたいことは山ほどあるのですが、限りなく長くなるので、エッセンスをチョイス。

【打出の小槌】:ゆめ子さん、前回の喝采 で"女"になれたので、今回は"ブリっ子の松田聖子"というキャラに挑んで頂きました。明るく楽しく可愛くよんでほしかったのですが、今ひとつ羞恥心を捨て切れなかった模様(笑)

【かぐやひめ】:この詩、狭山のサークルでは不人気で、練習者ゼロ。詩中の"ばかな人たち"というキョーレツな言葉への拒否反応の感あり。でも、ここ高階では、4,5人がお稽古。所変われば品変わる、人違えばサークルカラーも変わるのですね。

【一寸法師】:藤袴さん、タイトルのよみがズバッとしていてカッコいい!!水戸黄門みたいでした(笑)

【海のお宮】:この詩は、乙姫さまの気持ちをうたっています。姫だるまさんって、いい人なのですね。陸(をか)へ帰ってしまった浦島さんを、ちっとも恨みに思っていない。なので"思いっきり恨み節のドロドロな女"というキャラに挑戦していただきました。・・・が、やはり無い袖は振れない模様。でもね、変なところにあるスイッチを入れる勇気があなたを変える!!その快楽を知ると、もう一皮むけるのですが・・・。チャレンジ精神でいきましょう。

1月12日

久しぶりに"歌の朗読"・・・っていうか、一年ぶり。丁度昨年も"朗読新年会"という遊び心での試みでした。上をむいて歩こう 作詞:永 六輔 / 作曲:中村 八大 喝采 作詞:吉田 央 / 作曲:中村 泰士 --- この2曲、フルコーラスを全員でやる時間はないので、1.1コーラスずつ両方の曲を練習 2.好きな1曲だけにして、フルコーラスじっくり取り組む 1 or 2、希望するやり方を選んでもらいました。

歌の朗読で何が難しいって・・・フツーによむと、思いっきり曲が余っちゃうんです(笑) しっかりメロディを聞いて、たっぷり間を取る必要があります。伴奏を置いてきぼりにして歌詞をよみ終えちゃうと、延々と伴奏だけが虚しく・・・。普段控えめな"ほたる"さん、この点において秀でています。初めてやった時から、ちゃんと伴奏を捉えていました。能ある鷹は爪を隠すスマイルマーク

藤袴さんは最初、曲がムチャムチャ余っていました(笑)が、朗読しながら修整を加え、最後はバシッと決めてくれました!!曲と嵌まった時の気持ちよさを実感した模様。このツボは言葉で教えられないモノなのです。みんなもガンバって探してね。

"時代劇" "書生さん" "宝塚" と、私から様々に呼ばれているゆめ子さん。呼び名のイメージ通り、スカッとした男らしさ(?)がウリ。だがしかし!「喝采」を朗読したときは"女" ゆめ子 でした!!

みんなも、もっと自分の中のナマな"女"を楽しんで欲しいです。昨年の「愛の讃歌」の時は、それが出来ていたんだから!楽曲の違いもあるでしょうし、経験を積んだことで出て来た、表現欲が邪魔しているのかも知れません。でも、それは良いことです。"シロートだからこそ出来た領域"の先には、まだまだ進むべき道がある。共に歩んでいきましょう。本年もよろしくお願いします。

12月15日

皆さん私の、教材を準備する手間を減らすべく、狭山方式を採用して下さいました。今後は全集に沿ってお稽古していきます。詩を選ぶ作業は楽しいものですが、大変なのも事実。感謝ですスマイルマーク

とりあえず狭山と同じ様に、これまでに練習済みの詩を除いて5篇ずつ進む。その中で、各自好きな作品を2篇選び、お稽古というやり方にしました。そんなに進まなくてよいから今迄通り、2篇の詩を全員で稽古したいという声があれば、又みんなで相談ということでやってみましょう!!して、今回の範囲は・・・1.障子 3.雲 4.芝居小屋 6.空のあちら 7.樂隊 ---- 美しい町。

表記が異なる詩、【空のあちら】。みすゞが雑誌に投稿して掲載された作品と、自死の前年に清書した遺稿集の二種類。ちなみに、メンバーがこの度買い求めた「新」全集は、遺稿の表記に拠ってい、廃刊の「旧」全集は発表作品のみ雑誌の表記に拠ります。* 詳細は、リンク先 みすゞ塾ページ 3/27付 記事参照

こういう場合、私は「どちらの詩で稽古してもいいですよ」と言っています。「新」全集と表記が違っていても、発表作品は既にオフィシャルなものだからです。でも、どういうわけか・・・"やっぱり"というべきでしょうね、"遺稿"の表記でなさる方が多いです。珍しく発表作品で稽古なさった末摘花さんがぼやく「なんで新全集は、当用漢字で新仮名遣いなんだろう・・・これって"みすゞっぽく"ない・・・」ですよね!!これまでは、私の手書きによる旧漢字・旧仮名遣いの原稿でお稽古していたので、新しい表記に違和感を覚えるのでしょう。末摘花さんの気持ちは、よーくわかります。

みすゞの詩は、子供にもわかる言葉でありながら、人生を重ねた者には奥深い世界を感じさせる厚みがあります。出版元であるJULA出版は「三世代で共有するために、子供に照準を合わせた表記にした」と言っています。この理論は理解できます。でも、どうなんだろう?私は、せっかく三世代で共有できる詩なのであれば、お婆ちゃんが孫を膝に乗せて「昔はね、"ちょうちょう"を"てふてふ"って書いたんだよ」と教えて上げる事の方が大切だと考えています。親切が仇となって、温もりによる文化伝達の機会を奪ってしまっている。

ましてや全集というモノは、よっぽど好きな人でないと手にしないものです。子供向けの者も含めて、取っ付き易い詩集は他にいくらでもあるのだから、全集では"みすゞの世界"を大切にして欲しかった。それが"全集"の仕事ではないだろうか。

もっと言えば、なぜ「旧」全集を廃刊にしてしまったのだろう。発表作品の扱い方の違いによって、もはや同じ作品とは思えないほど表記の異なる全集が出回っている。この珍妙さ、私には度し難い現象である。

12月1日

久しぶりに【先生の鞄】大好きな大好きな月子さんとの再会、とてもうれしいです!!ストーリーは・・・先般のお花見(6/22日誌)以来、わざとではないが、すれ違いの続く二人。小島孝との映画デートの前日、髪を切ろうと家を出た月子さんは、バッタリ先生と出くわします。ぎくしゃくした二人が向かったのは、なぜかパチンコ屋。そこで先生は大当たり!!

「132番のお客さま、ラッキーチャンススタートしましたぁ。おめでとうございます」

この台詞、善良な奥様には敷居が高いようで、イマイチ羞恥心を捨て切れない。が、姫だるまさん「全く私のキャラではありませんが」とギャグをかましつつ果敢にチャレンジ。・・・上出来上出来!!染之介・染太郎にはまだまだ足りないけどはなまるマークです

"大当たり"は、一気に二人の距離を縮め・・・

石野先生ともパチンコしたんですか
え?
月子さんこそ、あの時の男子とどこかに行ったんですか。

いきなり核心を突く月子さんの質問に、たじろぎつつも切り返してくる先生。このシーンで、みちガエルさん"男子"を"オトコ"と口走ってしまった!!気持ちはわかるが、落ち着きましょう(爆)先生は紳士なので、そんな言い方はしません。

ずーっと言えなかった言葉を吐き出し、すっきりした二人。久しぶりにサトルさんの店へ向かいます。雨はもう止みかけているのに一つの傘で‥。

先生の腕がわたしの肩にときおり触れる。

こういうシーンは、動詞が命。相手の指先が自分の唇に触れる・・・そういう心でよんで欲しい。またまた善良な奥様に、イケナイコトを教えてしまった私ですハート

11月17日

この日は、一篇だけの短縮稽古 & 打ち上げ。まずはお稽古【かくれんぼ】---美しい町

昨年、12/26(旧)NHK文化センターの講座でこの詩を稽古したときは、ボサノバをイメージするだけでしたが、今回は実際に曲をかけてお稽古。・・・発表会で、曲にのせて朗読できるのは数名。殆どの人は素よみです。素よみの面々、きっと曲と絡む人を「羨ましい」と思っているだろうなあと拝察。さて実際に曲をかけてお稽古してみたら・・・大成功!!みすゞの世界が、トレンディードラマに変身スマイルマーク

稽古も良いけど、打ち上げ打ち上げ!!(笑)藤袴さんが、菊と胡瓜の酢の物を作って下さいました。確か、以前も煎り胡麻を振り掛けたほうれん草の辛子和えを作って下さって・・・和え物名人だったとは!!らん丸ちゃんは二種のおはぎ持参。皆さん主婦のプロ。我が身を省みると、へこみそうになるけど、そこはプロとしてのジャンルが違うということで(笑)

サークルに限らず、人間関係というのは、本当に難しいですね。複数の人間が関わる以上、意見や考えの違いは有って当たり前。今年後半、私たちは一つの問題にぶち当たり、皆で解決しました。この問題の屈託を抱えていて、日誌の筆が進まなかった、書くに書けなかったと白状します。

私たちのサークルはまだ若いです。"自分たちのスタイル"というものは、確立されていません。でも、みすゞの詩が大好きで、朗読が好き。そして人間が好き。ここがブレなければ大丈夫だと楽観しています。なんせB型なもんで(爆)右往左往、ウロウロ、オロオロ、ヨロヨロしながら共に歩んでゆきます。

10月22日

あぁ~~~自分の舞台より緊張する・・・もう心配で、心配で(笑)。お蔭様で、無事終えることができました。成長を実感できる今日の出来、私は満足ですスマイルマーク終盤、客席の空気が動く瞬間がありました!!吹き抜けた風を心に刻んだ発表会でした。

水泳や自転車と同じく・・・身体で覚えたことは忘れません。詩も同じこと。耳で聞き、声に出して詠んだ言葉は、自分の血となり肉となる。朗読という"体験"は、時に磨かれ"経験"という宝になる。そしていつか、思わぬところで心の花を開かせる・・・かもしれない(笑)

10月20日

少し忙しすぎたので、この2ヵ月、日誌をさぼってしまいました。ごめんなさい。ということで、発表会前の最終稽古。各々方、出陣前の今のご気分をスマイルマーク

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藤袴
みすゞの詩を読みながら、子供の頃を思い出しています
テレジア
年輪だけを重ねてまいりました
みちガエル
あの日あの時赤とんぼ。ふるさとを忘れない朗読の会
ゆめ子
心は女優・・・で迎えた二度目の発表会。お胸はドキドキと。
末摘花
子供だったとき --- それは遠くへいってしまった。けれども通り過ぎていった大切な思い出は、すぐに蘇ってくる。みすゞの詩にのって、昨日のことのように。
らん丸ちゃん
朗読のこわさを知りはじめた二年目です。
ほたる
みすゞの詩の世界へ・・・。詩の朗読って難しいものですね。でも、もう少し頑張ってみようかしら。
キャノンボール
みすゞの詩は、読めば読むほど心が伝わって来て現代に欠けている「ぬくもり」を感じます
河原撫子
みすゞさん、そのさびしさは何処から。気になる秋
実香
一年分、成長できたでしょうか・・・
姫だるま
詩の心を、とらえるのが難しい!
心を声にすること、難しいけれど楽しい時間です
新井
「よい季節になりました」けふも一寸また伸びる!!
愛こそすべて・・・なんちゃって(笑)
8月18日

発表会に向けて、決めていかなければならないことが多過ぎる。構成・演出のみならず、チラシ、ポスター、当日のパンフレット、衣裳、etc....。昨年は、お盆過ぎに突然降って湧いた"文化祭参加"。本番まで2ヵ月足らずで、我ながら、よくやれたなと感心。"初めて"の勢いってコワイですね(笑)。今年は時間があるからまだましかな・・・と、思いきや、メンバーの常態は、おんぶにだっこ。昨年、時間の無い中で結果を出さなければならないために、私が全て背負って仕切ってしまったことがあだになってしまっています。

ここは一つ、"自主サークルとして自立"を促さなければ。朗読指導以外の仕事は、みんなで分担するのが、本来あるべき姿ですよね。

さてお稽古。倫さんが、発表会に出られないとのこと。残念。でも「稽古には来ます」と、うれしいお言葉。そう、目標は詩の世界を、思う通りに表現すること・・・発表会そのものは通過儀式。倫さんが今、ぶちあたっているのは異次元への壁、【美しい町】--- 美しい町。

【美しい町】
ふと思ひだす、あの町の、
川のほとりの赤い屋根。

さうして、青い大川の
水のうへには白い帆が、
靜かに、靜かに、動いてた。

さうして、川岸の草のうへ、
若い繪描きの小父さんが、
ぼんやり水をみつめてた。

さうして、私は何してた。
おもひ出せぬとおもつたら、
それは誰かに借りてゐた、
御本の挿繪でありました。

----美しい町

この詩、"異次元の世界"にしたいんですよね・・・。私の「宇宙人のスローモーションで」という要求に、「?○×□△?」な倫さん(笑)。

"宇宙人のスローモーション"を感覚でつかまえるために、"ウォーキング"というレッスンにトライ。高階のメンバーは初めてです。可能な限り、体内時間を引き伸ばして歩く・・・。やっぱ、これ相当難しいんですね。みんなの"ウォーキング"を見守りつつ、経験を積み重ねていけば・・・と。頑張ろうね、みんな!!

8月4日

発表会の構成・・・。昨年は同じ詩が重ならないよう、希望がタブッている時は譲り合って調整。今年は重なった場合、それぞれの"持ち味"を聴き比べて欲しいという状況。ですので、状況に素直な構成にすることにしました。

が、・・・希望がダブッていても、一人しか採用したくない場合はどうすりゃいいのさこのあたし!!プロの世界であれば話は簡単。でも相手は "嬉し恥かし" 胸トキめかせているお姉様達なのです。しかし客様に観て頂く以上、最優先はステージの仕上がり。出演者の気持ちは後回し。情に流されていては良いステージを創れません。

指導者としての立場と構成の板挟み。心を鬼にして一人に決めたのに、落ちた方から"お願いビーム"炸裂(笑)わかりました、そこまで(どこだよw)やりたいのなら、聴き比べ組に復活、その情熱が信じられないほどのパワーを産む!(ことに期待!!)

7月21日

のっけから説教、もとい、お願い(笑)になってしまいました。

発表会で朗読したい詩を、各自"ペーパー"で提出してもらって稽古をしているのですが、!!誤字脱字、句読点の打ち間違い、果ては勝手に改行、どこが連がえなのか判らない表記。そんなもの見ながら稽古できるか!!指導もへったくれもあったもんじゃない。自分のカンパニーだったら、「書き直してこい」と突き返してる。だが、私は単なる指導者。サークルは、みんなのもの。ここでキレてはいけません。

表記そのものに関しては、色々な出版社から、色々な詩集が出ています。旧漢字か当用漢字か、旧仮名づかいか新仮名づかいか。子供向けの本など、漢字が平仮名になっているものもあります。そこまでは理解できる範疇。が、あり得ない間違いが多すぎる!!これは、詩の朗読をする者として、言葉に対して不真面目過ぎる!!

一人5遍提出したとして、13人で65遍。実際は、それ以上の詩数になります。家で表記のチェックをしていて、泣きたくなりました。私は、これを我慢して続けること出来ない・・・。

ということで、説教、もとい"お願い"と相なった次第。発表作品と遺稿の表記の違い等、私は丁寧にやって来ました。詩にとって、コトバは生命線だから。それなのに、このアリサマはとても腹立たしく悲しかった。冗談みたいなギャラで指導を引き受けている私へのせめてもの誠意として、もっと意識を高く持って欲しい。うるさい先生が嫌なら、指導者を変えてくれてかまわない。私は、この点を妥協して続けていくことはできない。やめたいのじゃない。みすゞが悩み抜いた表記の奥にある世界に、一緒に行きたいのだという気持ちをわかって欲しい・・・と、お願いしました。

みんな真剣に受けとめてくれたのはうれしいのですが・・・その後の稽古、予測通り、よみが固くなってしまいました。そこで登場"女優Magic"。「私は女優」・・・となえた途端にガラッと空気が変わりました。おまじないが、ここまで効くとは(笑) これが高階の個性。頑張ろうね、みんな *smile*

本日の教訓:発表会、今度やる時は、原典をコピーして提出してもらおう。そうすればストレスが一つ減る!!

7月7日
--process steps--

七夕さま。準備運動で、声帯ウォーミングアップのツボをマッサージしながら、「発表会が成功しますように!」とみんなでお願いしました

今年はパスしたいという方がお二人いらしたことですし、【今回は裏方に回る人がいるというのもアリ】と、話し合う予定でいたところが、お二人とも発表会でやりたい詩を準備して下さっていました!!すんなり全員参加に決定 *smile*

それぞれの【やりたい詩】を5遍ずつ読み合わせ。人気上位ランクは【たもと】【あるとき】【舟のお家】---- 空のかあさま。最初の二つは、いかにも"みすゞらしい女の子な世界"なので想定の範囲内。【舟のお家】は意外でした。

【舟のお家】
お父さんに
お母さん、
それから私と、
兄さんと。
舟のお家はたのしいな。

荷役がすんで、日がくれて、
となりの舟の帆柱に、
宵の明星のかかるころ、
あかいたき火に、父さんの、
おはなしきいて、ねんねして。

あけの明星のしらむころ、
朝風小風に帆をあげて、
港を出ればひろい海、
靄(もや)がはれれば、島がみえ、
波が光れば、魚が飛ぶ。

おひるすぎから風が出て、
波はむくむくたちあがる、
とほいはるかな海の果、
金の入日がしづむとき、
海は花よりうつくしい。

汐で炊(かし)いだ飯たべて、
舟いつぱいに陽をうけて、
帆にいつぱいの風うけて、
ひろい大海旅をする、
舟のお家はうれしいな。

----空のかあさま

希望者複数のため よみあわせ。藤袴さん、よみダントツ! 希望が重なっていた らん丸ちゃんとゆめ子さん、「参りました」と取り下げ。

藤袴さん、こんなに素敵なのに、「発表会、いやだ」なんて・・・。理由を尋ねたところ 「すんごい あがり性なので、プレッシャーなんです」とのこと。・・・そういえば、この日練習する前もすんごい緊張した顔なさってました。「今からそんなに緊張せんでも(笑)」

ドキドキできる場があるって素敵なことだと思うから、頑張りましょう、みんな!!

6月16日

・・・突然【発表会】の文字が頭をよぎりました。そ、そうだ!昨年と同じように10月の文化祭に参加するなら、今動き始めないと間に合わない!!

と、いうことで、やりたい人やりたくない人、遠慮せずざっくばらんに思うところを話し合い。気が進まないという方がお二人。私も、できればパスしたい(ごめんね;;)だって、ついこの間(3月)狭山の発表会が終わったばかりみたいな気がするんです。年中発表会に追われているようで気持ちが休まらない・・・が、しかし。

  • 普段のお稽古では1回こっきりで通り過ぎてしまうが、発表会となると、2~3ヵ月じっくり同じ詩と向き合えるのでやりたい。
  • 昨年と同じ詩に、再挑戦したい。今度は、もっと巧くやれそうな気がしている。(← その心意気や!ヨシ!)
  • 私には、来年も生きているという保証はございませんので、出来る時にやっておきたいです。(最年長のお姉様の弁)

・・・というお声の数々。素直に嬉しかったです。まして、命を盾に脅されたのでは、やらないわけにはいきません(笑)今年も10月の文化祭で発表会、決定。その稽古のため、愛しい月子さんともしばしの別れ。頑張れ私達、エイ・エイ・オー!!

話し合いも終了し、さて稽古。今回は、仙崎の自然の中で過ごした、みすゞの幼い頃を彷彿とさせる詩。【空の色】、【草原】 共に"美しい町"

【空の色】
海は、海は、なぜ青い。
それはお空が映るから。

空のくもつてゐるときは、
海もくもつてみえるもの。

夕焼、夕焼、なぜあかい。
それは夕日があかいから。

だけどお晝のお日さまは、
青がないのに、なぜ青い。

空は、空は、なぜ青い。

----美しい町

海や空が、なぜ青いか・・・夕焼けが、なぜ赤いのか・・・みなさん考えたことがありますか?大人になってから、なぜこんな詩を書けるのでしょう・・・!!みすゞの【不思議】という詩(私は不思議でたまらない・・・で始まるアレです)に感じたのと同じ思いがします。

6月2日

第一金曜日、【先生の鞄】 --- 花見 その2 --- その1の日誌を飛ばしてますので、まずは、およそのストーリーを。

月子さん、貞操の危機!毎年恒例、学校前の土手でお花見。元教師、OBを含む大々的な催し。センセイに誘われた月子さんは、断るタイミングを失い、参加することに。月子さんは、およそ宴会の似合わないタイプなのに・・・

美術の石野先生と仲良さげなセンセイ・・・退屈している月子さんに、かつて1度だけデートした同級生、小島孝が話しかけます。お花見の輪から抜け出し、小島孝と呑みにいくことに。宵が訪れる頃、酔いも訪れ・・・店を出て土手を散歩する二人。ふと、月子さんはキスされて・・・あわや、この二人はなるようになってしまうのか?!

この流れを、辛くも止めた月子さん。なるようになっても構わないようなものだが・・・そうなったら、もう二度と同級生としての無邪気な笑顔では会えない・・・。思い出を濁らせるよりは このままでいることを選んだ二人は、学校前の土手を歩きます。何往復も、何往復も、手をつないだまま・・・。良いシーンです。

帰ろうかと切り出す月子さん。一瞬 無言の後、すっ・・・と手を離し、「帰ろうね」と小島孝。止めたタクシーに月子さんを乗せ、「送っていくと、またいろいろ考えちゃいそうだから」「そうだね」それぞれの場所へ帰っていく【大人な】二人・・・。

微妙にドキドキするとはいえ、地味なシーン。今回のテーマは【誘惑の匂い】。みんな大健闘!!地味なシーンを沈ませないポイントを前回伝授したのですが、それが功を奏したのでしょうか*smile* 出色の出来は、ラストシーンをよんだ姫だるまさん。私、初めて彼女に色気を感じました(笑)だって、だって、姫だるまさんの得意分野は【田舎のおばちゃん】キャラ。この素朴な武器が、年明けの朗読新年会で私を泣かせたのですから。

月子さんが、タクシーの外にいる小島孝に掛けた 最後の言葉、「そうだね」。私は、こんなに優しさのこもった言葉を、かつて聞いたことがありません。Show劇的な言葉でした。姫だるまさんは、本当に、とってもとっても優しい人なのでしょう*smile*

5月19日

今回は、お父さんが本屋の仕事をしていたことを窺わせる唯一の詩。

系図

みすゞの父、庄之助は、荷役のための渡海船という舟で、仕事をしていました。舟を降りた後、フジ叔母さんの嫁ぎ先である"上山文英堂"(下関の大きな本屋)の仕事を手伝うようになりました。大陸に支店を出すことになり、清国の営口に単身赴任していた際、反日気運の高まる中、暴漢に襲われて死んだ・・・というのが通説になっていました。ところが、実は病死であったと判明。

事故死にせよ、病死にせよ、父・庄之助はみすゞが三歳になる頃に亡くなっています。

【御本】
さびしいときは、父さんの、
お留守の部屋で、本棚の、
御本の背の金文字を、
ぢつと眺めて立つてるの。

ときにや、こつそり背のびして、
重たい御本をぬき出して、
人形のやうに、抱つこして、
明るいお縁へ出てゆくの。

なかは横文字ばかしなの、
カナはひとつもないけれど、
もやうみたいで、きれいなの。
それに、ふしぎな香がするの。

お指なめなめ、つぎつぎに、
しろい、頁をくりながら、
そこにかかれたお噺を、
つぎからつぎへとこさへるの。

若葉のかげの文字にさす、
五月のお縁で父さんの、
大きな御本よむことが、
私ほんとに好きなのよ。

----空のかあさま

高階メンバーは、既にお父さんを亡くしていらっしゃる年代の方が殆どです。早くに亡くした方、複雑な家庭環境で育った方、「父の顔を知らずに育ちました」「故郷は嫌いです」・・・等々、話に花が咲きまくり、稽古する時間がなくなりそうな勢い(笑)

課題は、「それぞれの【父への思い】でよんで下さい。」

この詩に込めるそれぞれの想い・・・。人によっては、恨み・憎い・酷い・情けない・・・等々、いろいろあるでしょう。懐かしむ=良い思い出ばかりとは限りません。そして、まだお父さんが生きている方や、自分の父を他人の目で見た場合 etc...本当に想いはさまざまです。

それぞれの想いが私の中に流れ込んで来て、ちょっとヘヴィでした。けっして嫌なヘヴィさではないのですが・・・。その想いの深さとリンクして、この詩に込められたみすゞの声なき声が聞こえたような気がしています。

お父さん、恋しいよぉ・・・なんで死んじゃったの・・・さびしいよぉ・・・

みすゞの詩には、どうしようもなく懐かしいものが いっぱい詰まっています。そして【懐かしい世界には、人の心を慰める力がある】・・・そんな気がします。

4月21日

仙崎の潮の香りのする詩を二遍。美しい町より、【魚賣りの小母さんに】【光る髪】

みすゞの詩は、決して笑える詩ではないと思うのですが、この日の私たち、めっちゃ笑って過ごしていました。なぜあんなに笑えたのか・・・今 思い返してみても、さっぱりわからないのです(笑)

【魚賣りの小母さんに】
魚賣りさん、
あっち向いてね、
いま、あたし、
花を挿すのよ、
さくらの花を。

だって小母さん、あなたの髪にや、
花かんざしも
星のよなピンも、
なんにもないもの、さびしいもの。

----美しい町(抜粋)

「イメージは松田聖子。ブリブリブリッ子、Rock'n Rollでやってみましょう」と言ったのが、そんなに可笑しかったのかしら?

【光る髪】
沈む、沈むよ、
濱に出てみれば、
赤い大きな
夕日の毬が。

光る、光るよ、
金色の絲が、
入り日みてゐる
光ちゃんの髪が。

----美しい町(抜粋)

こっちは、浪人姿が似合いそうな"時代劇・ゆめ子"さんに、「光ちゃんに恋をしている書生でやるとどうなるか、袴を着けている気持ちで朗読してみましょう」と・・・。あんまりにもハマリ過ぎていたせいなのか、とにかく笑いまくり。お箸が転げても可笑しいお年頃・・・なわけないか(笑)

4月7日

第1金曜日、【先生の鞄】--- 多生 ---

尻を痛めた先生は、店主に心配されながら酒を呑むのは本意ではないと、行きつけの飲み屋を避け、月子さんと初めての居酒屋へ。カウンターに落ち着き睦まじく呑み始めた二人に、深酔いしている若い男がからみ出しします。

「歳も離れてるんだろうのに、いちゃいちゃしちゃってさ」
(中略)
「このじいさん、あんたとヤッてるの」
(中略)
「月何回ぐらいヤッてるんだよ、えぇ」

----- 川上弘美 【先生の鞄】

貞淑な人妻達に、昼日中、こんな言葉をいわせていいのだろうか・・・。私の方がドキドキ(笑)14ページの章を分けて朗読するので、誰がこのシーンに当たるかは、当日の出欠状況と順番次第。あぁ心配。

当たりを引いたのは、ゆめ子さん。大安心の私。なぜって、ゆめ子さんは、書生袴や浪人姿が似合いそうな、中性的な魅力の持ち主。私が【時代劇】というサブネームを奉った人だから!!

サバサバした気性で、思い切り良く、バッサリとやっつけてくれました、ありがとう、ゆめ子さん。おかげさまで助かりました*smile*

3月17日

稽古後、新旧役員へのねぎらいを込めてお茶会があるため、練習は一篇。

【内海外海】
内海さらさら
外海どうど、

内海砂原
外海石原、

内海こみどり
外海藍色、

内海いぢわる
外海おこりんぼ、

内海女の子
外海男の子、

瀬戸ぢゃけんくわの
渦が巻く。

----美しい町

一見、何とゆーこともなさそうな詩ですが、声に出してよんでみて下さい。読みました?ね、すんごい難しいでしょう?!

内海と外海の違いを聞いている人が実感・体感できるように朗読するのは至難の業。そして尚且つ最後の連は、

瀬戸ぢゃけんくわの 渦が巻く 柝。拍子木。<チョン

って柝の音が聞こえるような 終わり方にしたい。その方法を伝授いたしました。知りたい方はご入会下さい(笑)えっ、ケチ?ん~それじゃ、ちょっとだけ。長ドスを手に殴りこみに行く高倉 健になったつもりで読むといいかも。

お茶会は楽しく和やかに過ごせたのですが、一つ大反省。私はおしゃべりに夢中になってしまい、全員に気を配れなかったのです。ひとり つくねんとしていたメンバーに気付いたのは、閉会間際。ももも申し訳ない;;自分の未熟さを痛感です;;;

3月3日

第一金曜日なので、【先生の鞄】---お正月--- の章。

主人公の月子さんは 生きることの根源的な寂しさに耐えかね、一人暮らしの部屋を飛び出して 寒空をほっつき歩きます。そんな時に、都合良くバッタリ先生と会うなんて・・・二流のメロドラマみたいなことなど起こるはずがないと、月子さんは先生を前に、自分の頬っぺたをつねります。

センセイ。わたしは呼びかけた。少し離れたところから
静かに呼びかけた。
ツキコさん。センセイは答えた。わたしの名前だけを、
ただ口にした。

----- 川上弘美 【先生の鞄】

名前を呼ぶという行為にフェティシズムを持っている私は、このシーンにゾクゾクしてしまうのです。極上のラヴシーンにして欲しいという無茶な要求をしてしまう私って、やっぱり変かしら?(笑)

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この日は、泣く子も黙る役員決めがあり、稽古前に時間を下さいと、会長さんより申し入れを受けていました。思い起こせば一年前、サークルスタート初日に、私は宣言しました。「役員決めで揉めたら、私は即刻辞めます!!」別のサークルで経験した苦い思いを繰り返したくなかったのです。

一つの詩を朗読する。その達成感と充実感。共に分かち合う喜びと感謝。専業の朗読指導者ではない私は、二時間の講義の準備に二日かかります。作品の内容、意味、表現方法・・・と、メンバーひとりひとりの個性に合う教え方を検討し尽し・・・その見返りが、役員を押しつけ合う姿なんて、こんなに寂しく悲しいことはありません。

昔の丸○ハムのCMではありませんが、「下手でもイイ、仲良くさえあれば」(古っ)。それが私の素直な気持ちです。楽しいからこそ、長続きも上達もするのです。

会長さんの「皆さん、一年前に先生がおっしゃったこと憶えていますか」という言葉からスタートした話し合いは、つつがなく終了。

あぁ~、良かったぁスマイルマーク

2月3日

第一金曜日、みすゞ以外のものに挑戦の日。今日は、【先生の鞄】という小説から---キノコ狩り その2---。この小説は、月子さんの一人称で書かれています。

場面は、月子さんと先生が、行きつけの居酒屋の主人、その従兄弟と連れ立ってキノコ狩りに出かけた所。収穫あって、キノコ汁を作り、一杯やりながら皆で和んでいます。

タララララ、(引用注:鳥の声)が聞こえた。
敷いた新聞紙の下に、ときおり虫が入りこむ。
虫の動きを新聞紙越しに感じる。

----- 川上弘美 【先生の鞄】

なぁんてセクシーなシーンなんでしょう!!

私のリクエストは、「大地と愛し合うつもりで朗読してください、鍵を握るのは感じるという言葉です」というモノ。だがしかし、メンバーの反応は、「○△□!?」

ちょっと要求が高度すぎたのか、私が変なのか(笑)

1月6日

新年初の活動日は『朗読新年会という趣向で、歌の朗読をやろう』4日夜入浴中、唐突に思い立ちました(笑)

【歌の朗読】とは何ぞや?これは、カラオケ、つまり伴奏をバックに歌詞を朗読するというモノです。あくまでも【朗読する】のです。人に依っては、一部【歌う】こともありますが。

季節感もあって、新年会に相応しいものをと考え、題材は【手のひらを太陽に】【案山子 by さだまさし】【愛の讃歌 (Hymene a l'mour) by Edith Piaf】好きなものを選べるように3本立て。(どこが新年?!どこが季節感?!)

私の予想、一番人気は【手のひらを太陽に】。さて、メンバー各自、朗読練習したい曲を選び、グループに分けてみたら、愛の讃歌をやりたい方が一番多かったのにはびっくり!予想は大ハズレでした(笑)。愛の讃歌、難しいのに・・・本当に、【怖いもの知らず】な勇気が高階メンバーの良いところです(爆)

案山子 by さだまさし

寂しかないか~ ・・・すごく良かった・・・私、メンバーの一人に泣かされてしまいました。この問い掛けの歌詞に思わず「寂しいぃぃぃ」と、答えそうになったくらい。田舎のおばちゃんというキャラが武器の方なのですが、あったかくてほんわか、その優しさが胸にじ~んと来ました。

愛の讃歌 by Edith Piaf

『肉欲も性愛もリビドーも汚いものではない。だからこそ古今東西の芸術家が描き続けている。そこから目を背けず、照れずに自分の愛し方を表現してください』・・・あらかじめ逃げ道をふさいで、さあ練習スタート(笑)

みんな偉い!!聴いていて鳥肌が立つほど【女】だった。真っ直ぐに愛を表現していました。主婦の方が多いので、帰宅なさってからがちょっと心配(期待?)。御主人に「今日のおまえ、なんだか変だぞ」と言われてたりして・・・!御主人様、ゴメンナサイ、火を付けたのは私です(笑)。

そんなこんなで今年も幕開け。松の内に相応しい(爆)朗読新年会でございました。本年もどうぞ宜しくお願いいたします。

10月15日

反省会をかねて打ち上げ。

発表会当日は、メンバーのほとんどが【夕方はお家にいたい】という主婦の方が多いため、片付けのみで帰宅。後日、みんなでワイワイと、お茶とお菓子で健全な(笑)打ち上げをしました。

「人前に立つ」という発表会に、気後れを感じているメンバーもいたので、多少の心配もあったのですが…みんなの感想を聞いて、安心しました。

結果オーライ!!私たちは一つの事を成し遂げ、「一つ」になることができたと感じています。「部活みたいで、楽しかった」という声には、妙に納得してしまいました(笑)。

今、あらためて思っています。発表会を「やって良かった!」

そして、メンバーと出会い、このサークルを「やってて良かった!!」

メンバーのみなさんの、チラシ用一言コメントを読んだ時も そう思いましたが、今、あらためて、しみじみそう感じています。

自分を表現できる「場所」があると、眠っていたちからが呼び覚まされ、人は自ら輝き始める…そんな瞬間に立ち会えるのは、とてもうれしく幸せです。 この喜びを胸に、みんなと季節を重ねていきたいです。

合言葉は 「みんなちがって みんないい!!」

谷 英美

10月9日
発表会 vol.1
6月23日
沖縄戦慰霊の日。

埼玉新聞記事

この日の朗読作品

『ウンジュよ』(あなたさまよ)

作・宮里政充【元・県立伊那学園総合高等学校教諭/「たね」編集委員(プロテスタント文学集団)】

1945年@沖縄。記憶に留め、語り継ぐ事。川越市内での公開朗読は5年ぶり。


4月15日
みすゞの「極樂寺」という詩と歌の朗読・森進一の「襟裳岬」でした