たにえみ
教科書問題も含めて、今、日本は ヤバイ方向にむかっていると感じています。
表現者として、人の心に訴えることを通して、今の私に出来ることをしたいという思いで、この作品も発表していきたいと考えています。
年明け、定時制高校時代の女友達と数年ぶりに飲んだとき、そんな思いを語ったところ、鼻で笑われました。「あんた考えは立派だけどさ、どれだけむずかしいことやろうとしているか、わかってんの」と。
「みすゞの方はさ、今 教科書にも載ってるし、興味持ってくれる人いるだろうけど、そんな戦争の暗~い話なんて、聴きたいと思う人なんていないよ。現に、私、全然聴きたいと思わないもん。うちの子供達だってそうだと思うよ」
ショックでした。でも、彼女の言っていることが、現実なんだとも思いました。
しかし!そこで引き下がる私ではありません。私の意地に火を付けてくれた彼女に感謝しています。
この記事は、私の意地の証です(笑)
私は、金子みすゞの生涯を描いたひとり芝居をライフワークにしております。もう一つの活動の柱は、沖縄戦・集団自決で息子を我が手にかけた母親の語り「ウンジュよ」です。
初めて展示館を訪れたのは、昨夏行われた黒田征太郎さんの「PIKADON展」の時でした。というのも、展覧会の会期中に「ウンジュよ」をやれないかと思ったからです。船との出会いは、鮮烈でした。その存在感に圧倒されました。この船が背負っている、歴史の重さなのでしょう。残念ながら、私の持ち込んだ企画は実現できませんでしたが、「この船の前で語りたい」という思いは募るばかり。聞けば、第五福龍丸は、マグロを捕る前はカツオ漁をしていたとか。「ウンジュよ」の中にも、慶良間のカツオ漁の話が出てくるのです。もう、運命の出会いとしか思えません(笑)!
戦争がどういうものなのか・・・。生のステージには、人の心にダイレクトに訴える力があります。戦争や平和に無関心な層を振り向かせ、他人事ではないのだと実感させるには、生の芸術の力が必要だと私は信じています。頭で理解するのではなく、心で感じることが大切です。心が動かなければ、大衆というマグマは動きません。第五福龍丸が、芸術を介して多くの出会いを生み、平和へのうねりが太く太く育ってゆくことを願っています!
都立第五福龍丸展示館 開館30周年記念誌
(財団法人 第五福竜丸平和協会 発行 2006.6)
"30年のあゆみ"より抜粋
7月27日~31日、浦和駅西口前、コルソ7Fで戦争展開催。29日土曜日、【ウンジュよ】朗読、無事終了。ありがとうございました。
"九条の会"に懸ける男たちの純情と、女たちの真心に満ちた熱い一日でした。
ウンジュよ朗読。乾いた大地に雨が沁みこむように私の言葉が届き、客席の【満たされた思い】が私を満たす。会場全体が静かなエネルギーに包まれ、守られているような・・・これは、【ウンジュよ】主人公の【祈り】だったのかもしれません。
講演会のタイトルは【戦争をする国は、人間をふみにじる】。かなりキョーレツ(--; それと講師・坂本 修 先生の肩書き、【自由法曹団団長】。きっと"鬼瓦権造"(笑)みたいな人だろうなと想像。ところが当日お会いしてみたら、澄んだ瞳に少年のような笑顔、ヨレヨレのコートに鞄代わりの紙袋・・・およそ弁護士らしからぬいでたち。ひそかに(お金にならない仕事ばかり引き受けていらっしゃるのだろうなあ)とか思ってしまいました。講演内容は推して知るべし。とても魅力的な方で、もっとお話ししてみたかったです。
このような集会で難しいのは集客。タイトルに見向きもしない層に足を運ばせるには"仕掛け"が必要だと感じました。【なんか面白そう!】と感じさせる【何か】。良いアイディアはないものか・・・。
講演付き、モトイ、朗読付き(笑)講演会がメインです。
この物語の主人公と同じ様に、私にも一人、息子がいます。私は器の小さい人間なので、戦争を天下国家レベルでは引き受けられません。でも、自衛隊が自衛軍になろうとしている今、息子のために何かせずにはいられないのです。
私は、息子を戦争で死なせるのも、人殺しをさせるのも絶対に嫌です。人は殺し合うために生まれて来たんじゃない。一人のため=みんなのため と信じて、ステージを私物化させていただきます。
私にとって、みすゞも【ウンジュよ】も同じこと。伝えたいのは愛だけです。しかも、きれいごとではない本物の愛。【空のかあさま】の作者であり、芝居の師でもある宮武 侚史先生はおっしゃいました。
「生きるための汚物は、全て劇的で美しい」
【ウンジュよ】朗読。
対象は在校の1年生320名。高校の体育館ですから、設備の充実などは望むべくもありません。だがしかし!在るものでなんとかする!が『アローン・シアター』のポリシー。
音響、照明、リレーション、ステージング、スタッフは全て有志生徒で レディース軍団。やはり男性に縁の無い私です(笑)事前に打ち合わせをし、【きっかけ】確認の稽古はしたものの、当日はぶっつけ本番、一発勝負。
さて本番。スタッフ全員、お見事!素晴らしいの一言に尽きます。音、明かり、リレーション、ステージングと、キッカケばっちり、客席の反応もイイ感じ。皆で一つのモノを作り上げた喜びに浸りました v(^^)
そして講演。
私が芝居を始めたのは、みんなと同じ16歳の時だということ。結婚して子供を産んで離婚して・・・紆余曲折。 それでも、16の時の夢を今も追いかけているということ。有名でもない、お金もない、ないないづくしだけれど、好きなことを続けていられて幸せだということ。
あきらめない限り、可能性はゼロではない。あきらめたらゼロ。夢あきらめずにしつこく行け・・・と自分に言い聞かせる日々であること。
締めは、レディース軍団紹介(笑)みんな、イイ顔してました!!
講演の反応はイマイチで(静かにしてなきゃ怒られるのかな?)伝わってるかしらとちょっぴり心配してましたが、杞憂と判明。全て終わって先生方と雑談中、「一緒に話した~い」とレディース軍団が押しかけて来、帰り際には、校舎から男子も手を振ってくれて・・・うれしかった!!
先生経由で届いた、みんなの声。「先生、いい話だったよ」「また、あの人呼んでよ」・・・良かったぁぁぁ。反応が地味だったのは、恥かしがりやさんなだけだったのね (*^^*)
みんな、ありがとう! また、会おうね!!
県立川越南高校の文化祭で、新聞部が、他校の生徒を招いて「憲法改正に賛成?反対?」と言う討論会を開きました。
2005年9月17日土曜日
13:00~15:00
ホームルーム棟5階 図書室
その討論会に、この沖縄戦の語りを引っさげて、飛び入り参加
率直な意見が活発に飛び交う、充実した討論会でした。最後に「ウンジュよ」の朗読タイム。
女子なら、ある程度食いついてくることはよめるのですが、息子を手にかけた母親の思いが男子にどこまで伝わるか(男子ばっかりでした)・・・正直、ちょっと不安でした。
でもみんなは、私の直球勝負をど真ん中で受け止めてくれた。
「知識として、知ったつもりになっていました」
「薄っぺらく聞こえるかもしれないけど、愛するっていうこととか、命とか、生きるとか…いろんなことが浮かんできて、うまく言葉にならない」
みんなの感想は、私の宝物となりました。 私自身、気持ちが走りそうになるぐらい苦しかった。
「ステージは、発信する側と受け取る側、同じ空間、同じ時間を共有する全ての者達で創るもの」という、生の芸術の力を信じられる一日となりました。
「戦争」というものを、理屈ではなく、頭ではなく、ハートで感じてほしい、心でわかってほしいという思いが届いて、とてもうれしかったです。
本当に、行ってよかったと思っています。
若い男を泣かせるなんて、女冥利に尽きます(笑)!
下は文化祭でお祭り騒ぎのなか、5階の図書室だけ別世界で…ほんとうだったら「どうしたら女の子にモテるのか」ということで頭がいっぱいでもおかしくないお年頃なのに、こんなに地味なことを一生懸命やっている新聞部に幸あれ!!