「シュトロツェクの不思議な旅」 ベルリンの刑務所を出所したシュトロツェクは、寝る場所も無いやくざの情婦だった エーファを誘いシャイツ老人と共にアパートで暮らすが、理不尽をこえた暴力と虐めを、やくざ達から容赦なく受ける。 「誰でも金持ちになれるアメリカ」に夢と希望を持ち異郷の地アメリカへと渡る。しかし、ウィスコンシンの片田舎に移り住んだ3人には、新たな苦難が待ち受け、それぞれの人生を狂わせてゆく。 「カスパー・ハウザーの謎」のカスパー然り、今回のシュトロツェクを演じる ブルーノ・S はまさに適役。純粋過ぎて 、やがて全てを喪失する男を まるで彼本人の自伝映画を撮ったかの様な錯覚に陥ってしまう。 ヘルツォーク作品 常連のクレメンス・シャイツも良い味を出している。 「小人の饗宴」のオマージュとも取れるカットにはクスッとしてしまったが、とてつもなく哀しい、暗澹たるロード・ムービーである。 でも、大好きな映画だなぁ。
「アギーレ/神の怒り」 今回で観るのは数回目。 16世紀、アマゾンの奥地に黄金郷エルドラドを求めたスペイン探検隊の実話が原作。 アンデス山脈の最後の峠を越えたところで、厳しい自然に阻まれ食料も底をついてしまい、探検隊は内部崩壊してゆく。。。浅慮無謀な遠征と極限状況に置かれた人間の野望と狂気。どんなにのた打ち回っても大自然の前ではなす術もない。「キンスキー わが最愛の敵」でも語られてはいるが、この撮影がどれほど苛酷な状況下で行われたかが手に取る様に解るシーンの数々。 ヘルツォークもクラウス・キンスキーも崇敬の念を込めて、やはり狂っている。凄い映画だ。 ポポル・ヴーの音楽も素敵。 |