『瞳をとじて』(2023/スペイン/ビクトル・エリセ/マノロ・ソロ、ホセ・コロナド、アナ・トレント、ペトラ・マルティナス、他) Xエリセ、実に31年振りの新作。冒頭に時間の神"ヤヌス像"も出て来るが、過去、現在(未来)を交差させ、余計なものを削ぎ落として描くのが上手い。エリセ自身の過去や作品、影響を受けたと思われる映画へのオマージュであろう、関連する名称がふんだんに引用されているのが興味深く、今作品は彼の集大成でも有るんだろう(『ミツバチのささやき』のアナも出ている)。 ガルデルが持っていたという備品の中に"ホテル◯◯"と漢字で書かれたマッチが入っていたのには驚いた!(笑) お気に入りの”下高井戸シネマ”にて。 ★★★★☆
『枯れ葉』(2023/フィンランド/アキ・カウリスマキ/アルマ・ポウリスティ、ユッシ・バタネン、ヤンネ・フーティアネン、ヌップ・コイブ、他) 2017年に引退宣言したカウリスマキ監督が6年ぶりに復帰した映画愛あふれる話題作。ヘルシンキを舞台に孤独を抱えて生きる男と女が、人生における最初で最後のかけがえのないパートナーを見つけようとする、ユーモアとペーソスの効いた心優しいラブストーリー。青と赤の使い方も実に上手い!”下高井戸シネマ”にて。 ★★★★★
『エルスール』(1983/スペイン、仏/ビクトル・エリセ/オメロ・アントヌッティ、ソンソレス・アラングーレン、イシアル・ポジャイン、ロラ・カルドナ、他) 「ミツバチのささやき」から10年を経た1983年に発表された長編監督第2作。 実際に娘を持つ親として、娘と父の距離感の描き方が娘の成長と共に細かくよく描かれ、身に沁みる素晴らしい作品。どのシーンも光と影の陰影が美しく、静寂の中に響く音の使い方も重厚さを際立たせている。 再々鑑賞。下高井戸シネマにて。 ★★★★☆
『ブラック・デイ 父を想う日』(2021/米/ショーン・ペン/ディラン・ペン、ショーン・ペン、ジョシュ・ブローリン、ノーバート・レオ・バッツ、他) 名優S・ペンが実話を元に初めて自身の監督作に出演し、実娘Ⅾ・ペンと父娘役を演じた人間ドラマ。本当にどうしようもない親父なんだけれど、いい映画! ★★★★☆
『街のあかり』(2006/フィンランド/アキ・カウリスマキ/ヤンネ・フーティアイネン、マリヤ・ヤルベンヘルミ、イルッカ・コイブラ、マリア・ヘイスカネン、他) フィンランドの名匠アキ・カウリスマキによる“敗者3部作”の最終章となる人間ドラマ。世渡りも下手で孤独な男が転落を辿るそのゆく末は。。。無駄無き演出、削りに削った台詞にキャメラワーク。救いのない作品だが、引き込まれて観てしまう。流石です。酒が進む、進む。 ★★★★☆ |