『笛を吹く男』(2015/韓/キム・グァンテ監督/リュ・スンリョン、イ・ソンミン、チョン・ウヒ、イ・ジュン、イ・ミンジ、他) 実際に起きた差別による事件と「ハーメルンの笛吹き男」が下敷きになっている不条理極まりない何とも後味の悪い作品。不気味な胸騒ぎ感が好きな方にはハマる映画。 ★★★☆☆
『殺人者の記憶法』(2017/韓/ウォン・シニョン監督/ソル・ギョング、キム・ナムギョル、キム・ソリョン、オ・ダルス、他) アルツハイマーの為に記憶があいまいな元連続殺人犯が、ふとした不注意から追突事故を起こしてしまった相手も連続殺人犯であった。記憶が薄れゆく中での殺人犯同志の対決を描いたミステリーサスペンス。どこまでが現実で妄想か、はたまた歪曲された記憶が入り交じり、よく観ていないと頭がこんがらがる。 ★★★☆☆
『福田村事件』(2023/日/森達也監督/井浦新、田中麗奈、永山瑛多、コムアイ、豊原功補、水道橋博士、柄本明、他) 「A」「A2」など数々のドキュメンタリー作品を手がけてきた森達也が、ちょうど100年の節目となる関東大震災直後の混乱の中で実際に起こった虐殺事件”福田村事件”を題材にメガホンを取った初の劇映画。 大正デモクラシーの喧騒の裏で、マスコミは、政府の失政を隠すようにこぞって「…いずれは社会主義者か鮮人か、はたまた不逞の輩の仕業か」と世論を煽り、市民の不安と恐怖心は徐々に高まっている折、関東大震災が起こる。事実とは異なる報道や内務省の企てたデマが導火線となり、負の連鎖から群集心理が暴走し”朝鮮人狩り”が行われ、間違われ犠牲になったのは中国人も日本人も、讃岐の被差別部落から薬の行商に来ていた一行も含まれていた。そして社会主義を提唱した大杉栄も権力により虐殺される。 あまり公に語られることのなかった”福田村事件”をここまで掘り下げ、丁寧に作られた監督、スタッフの熱量と執念に敬意を表すると共に、以前読んだ森監督の著書「すべての戦争は自意識から始まる」を思い出した。 ★★★★★
『マスター』(2016/韓/チョ・ウィソク/イ・ビョンホン、カン、ドンウォン、キム・ウビン、オ、ダルス、、オム・ジウォン、他) 韓国犯罪史上最大規模の金融投資詐欺事件と言われる実在の”チョ・ヒパル詐欺事件”を題材に、「監視者たち」のチョ・ウィソク監督がメガホンをとった、イ・ビョンホンが極悪非道なカリスマ詐欺師役を演じたクライムアクション。 ★★★☆☆ |