『男と女 人生最良の日々』(2019/仏/クロード・ルルーシュ監督/ジャン=ルイ・トランティニアン、アヌーク・エーメ、モニカ・ベルッチ、他) 1966年の『男と女』初鑑賞は小学生の頃。卒業文集の質問コーナーで”将来の夢は?”にカー・レーサーと答えているので、確実に影響を受けた作品である。あれから50年。惜しくも音楽のF・レイは亡くなったが、監督、スタッフはじめ A・エーメ(87歳)、J=R・トランティニアン(89歳)、そして当時の子役も同じ役柄を演じているという奇跡にまず驚きと喜びを隠せない。一人田舎に暮らす94歳の母の姿や、若き日の自分自身の姿やらが映像と重なり、正月早々恥ずかしくも号泣しながら観てしまった。こういう風に年齢を重ねて生きていきたいものである。素晴らしい映画! ★★★★★
『アナタハン』(1953/日/ジョセフ・フォン・スタンバーグ監督/根岸明美、菅沼正、中山昭二、近藤宏、宮下昭三、他) 太平洋戦争末期に太平洋マリアナ諸島のアナタハン島で起こった「アナタハンの女王事件」をもとにした作品で、監督はディートリッヒを主演にした『モロッコ』『上海特急』『間諜X27』などのハリウッド作品で知られるJ・V・スタンバーグ。興味深い映画だったのだが、DVDの画質がとにかく悪いとのコメントを多数目にしていたので躊躇うこと数年が経ったある日、アマゾンプライムに出ていたので迷わず鑑賞。水面の揺れに合わせたオープニング・クレジットは面白いのだがローマ字で読みづらく、唐突な話の展開もいまいちで、劇中 役者の台詞にかぶさる監督自身の英語での説明もやたら気になった。残念ながら作品としては可も無く不可も無くといったところ。スタンバーグ監督も今作が遺作となった。桐野夏生の小説「東京島」は、このアナタハンの女王事件がモデルに創作されている。 ★★☆☆☆
『ファンタスティック・プラネット』(1973/仏、チェコ/ルネ・ラルー、ローラン・トポール、監督、脚本/ステファン・ウル原作) アニメーション作品として史上初めてカンヌ国際映画祭で審査員特別賞を受賞したSFアニメ。シュールだけどある種現実的。角度を変えて観ると実に恐ろしい。イラストレーターのR・トポールが4年の歳月をかけて描いた幻想的な原画を、さらに長い年月をかけて1枚1枚の切り絵をコマ撮りして制作した作品というだけでも監督、スタッフに恐れ入る。 私の大好きなW・ヘルツォーク監督『ノスフェラトゥ』での怪演も印象に残るR・トポールだが、ブラック・ユーモアたっぷりの気持ち悪〜いイラストも外せない。 ★★★★☆
『村の秘密』(2015/オーストリア/アンドレアス・プロハスカ監督/ゲアハート・リーブマン、ジーモン・ハッツル、他) とある閉鎖された鉱山で地元議員の娘の死をきっかけに、次々と隠しがたい秘密が明らかになっていくサスペンス映画。事件の解明にあたる地元出身の警官がもう良い人過ぎてついつい応援したくなる作品。余談だが、警官ハネスがシンガー・ソング・ピアノ・手品マンのS久保さんにソックリ! ★★★☆☆
『ジャズ・ロフト』(2015/米/サラ・フィシュコ監督/ユージン・スミス、セロニアス・モンク、ズート・シムズ、ホール・オーバートン、他) 1950年代半ば、マンハッタンのとあるロフトで気鋭のジャズミュージシャンたちが繰り広げた伝説のセッションを、写真家ユージン・スミスが記録した録音テープと写真をもとに構成したドキュメンタリー。E・スミスは心からこのロフトとここに集まる人間が心底好きだったんだなぁ。良い作品! ★★★★☆ |