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…コラム…

  2021年 観た映画 1月

「真夏の夜のジャズ」(1959/米/バート・スターン、アラム・アヴァキアン/ルイ・アームストロング、セロニアス・モンク、アニタ・オデイ、他)
その昔ビデオでは観ていたが、映画館での鑑賞は初。勿論それなりの迫力は有ったし珍しいミュージシャンの貴重な映像も観られたが、ジャズのドキュメンタリーとしては程遠く、セレブが集う海岸沿いのお洒落な避暑地での夏フェスとして観れば楽しめる作品であろう作品。

「ハウス・ジャック・ビルト」(2018/デンマーク、仏、独/ラース・フォン・トリアー/マット・ディロン、ブルーノ・ガンツ、他)
初めて観た彼の監督作品は1984年の「エレメント・オブ・クライム」。何とも言えぬ独特の救いのない作品ではあったが、妙に惹かれる部分もあり。その後「ダンサー・イン・ザ・ダーク」「メランコリア」なども観てはいるが、確かに何れも正直心から共感できる作品ではない。今回の「ハウス・・・」も狂気に満ちた殺人鬼の不快なモノローグと共に5つの出来事が描かれているのだが、目を背けたくなるシーンもあれば強迫性障害のせいで何度も殺人現場に舞い戻って来たり、独自の突き抜けた芸術論を語らせたりと、殺人鬼の心の奥底に眠る深層心理を徹底的に描く手法にはしてやられたものである。私見だが、ブルーノ・ガンツ演ずるヴァージという謎の男はまさにジャックの心に宿るもう一人の自分であろう。面白かった。

「聖なる犯罪者」(2019/ポーランド、仏/ヤン・コマサ/バルトシュ・ビィエレニア、他)
聖と俗が共存し、真の救いとは?と考えさせられる作品。クリストファー・ウォーケン似の主人公の澄んだ眼差しと美しい映像は一見の価値はあるが、もう少しテンポ感を出してストーリー展開しても良かったのではないかとも思った。
竹下景子が初マドンナ役を務めた「男はつらいよ 口笛を吹く寅次郎」で寅次郎が、住職である彼女の父に変わって法事を勤める抱腹絶倒シーンや笑いあり泣き有りの第32作とは勿論比べられはしないのだが、過去を偽り聖職者として生きる今作は微塵の笑いもない重い作品だった。

「かくも長き不在」(1960/アンリ・コルビ/仏/アリダ・ヴァリ、ジョルジュ・ウィルソン、他)
脚本が「二十四時間の情事」「雨のしのび逢い」そして彼女の自伝的小説でもある「愛人(ラマン)」のマルグリッド・デュラス。監督は上記の「二十四時間の情事」「去年マリエンバートで」などアラン・レネ作品他、寺山さんの「上海異人娼館/チャイナ・ドール」など編集技師で名高いアンリ・コルビ。コラ・ヴォケールの唄う「三つの小さな音符」を耳にする度、悲しくて切なくて泣いてしまうと判っているのだが観てしまう好きな映画。

「サウンド・オブ・サイレンス」(2001/米/ゲイリー・フレダー/マイケル・ダグラス、ブリタニー・マーフィ、ショーン・ビーン、他)
全米探偵作家協会賞を2度受賞した作家アンドリュー・クラヴァンの「秘密の友人」を元に、精神科医の主人公家族と悲痛な過去を持つ多重人格を演じている少女をメインとしたサスペンス映画。
原作はきっと面白いのだろうが読んでおらず比較出来ないが、脚本はじめ、展開やディテールがあまりにもお粗末な作りだったのが残念。余談だが、娘役のスカイ・マッコール・バートシアクは21歳、事件の鍵を握る少女役のブリタニー・マーフィは32歳でそれぞれ亡くなっているのは哀しい。

「ロスト・ボディ」(2012/スペイン/オスカルファウラ/フォセ・コロラド、ホワン・パブロ・シューク、他)
消えた死体にまつわる人々をめぐる謎が謎を呼ぶスペイン発サスペンス映画。監督・脚本は「ロスト・アイズ」の脚本家オリカル・パウロ。登場人物の細部にわたる内面描写と伏線がもう少しあればなぁなんて観ていたのだが、その謎はラスト間近に明かされた。う〜ん、これは完璧に騙されましたなぁ。面白かった。詳細を知らずの鑑賞をお薦めです。

「セールスマン」(2016/イラン、仏/アスガー・ファルハディー/シャハブ・ホセイニ、タラネ・アリシュスティ、他)
ハリウッド映画好きな方には退屈な映画と言えよう。性暴力を題材にした作品なのだが、イスラム教国家イランならではのそういった描写は一切描かず、被害女性ですら事件を恥とし公にも出来ぬ立場の弱さ、生活の貧困さを如実に描いている。いや、描きたくても描けないのであろう。だからか、全篇通して何だかしがらみに包まれた重〜い空気感が漂う。劇中A・ミラーの「セールスマンの死」が暗喩的に演じられるが家族の不条理をリンクさせたかったのかなぁ。
約90分の尺で良かったかも。

「ゴーン・ガール」(2014/米/デヴィッド・フィンチャー/ベン・アフレック、ロザムンド・パイク、他)
これは最高楽しめた!デヴィッド・フィンチャー、ハラハラ、ウェ〜ッ!?が上手い!脚本も演出も良く、幼少の時から厳格な両親に育てられ、優等生を演じ続けて来た彼女自身が唯一心を許した夫の裏切りに対する用意周到な復讐劇。何と言っても美しくて頭が良く、そして冷酷な役はロザムンド・パイクにぴったり。
見応え充分!

2021/01/20(Wed) 00:05


  2020年 観た映画 12月

「からみ合い」(1962/日/小林正樹)
遺産相続を巡って殺人事件までも起きるドロドロのからみ合い。金が絡むと恐ろしいですなぁ。クールな映像にジャズがよく合う。撮影は「黒い雨」(同監督)、「わるいやつら」「鬼畜」「砂の器」など、野村組でお馴染みの、巨匠 川又昴。再鑑賞。

「アンロック 陰謀のコード」(2017/英/マイケル・アプテッド)
オチと黒幕は判ってはいるのだが、結構面白かった!

「シチリアーノ 裏切りの美学」(2019/伊、仏、伯、独/マルコ・ベロッキオ)
「夜よ、こんにちは」「肉体の悪魔」などで知られるイタリアの巨匠マルコ・ベロッキオがイタリアマフィア史上最大のミステリーを映画化。多くの登場人物の背景が淡々と描かれているのと、イタリア名がまずややこしく覚えられず、コーザ・ノストラ下にもコルレオーネ派とパレルモ派があり両者入り乱れての報復シーンでは、あれっ、この人さっき殺られたんじゃなかったの?なんてなかなか付いて行けず。。。
フランチェスコ・ロージ監督の「コーザ・ノストラ」(1973年製作)では、アメリカにおけるイタリア系犯罪組織の頂点に君臨したラッキー・ルチアーノを本国イタリアに強制送還後に焦点を当てて描いた実録マフィア映画もあったが、こちらは解りやすかったなぁ、なんて比べてみたり。
しかし、日本の今の政府はじめ、やくざの世界も利権や名誉を巡り、国民を巻き込んでは騙し合いと裏切りが平然と行われているんだろうなぁ。

2020/12/06(Sun) 18:11


  2020年 観た映画 11月

「赤い殺意」(1964/日/今村昌平)
藤原審爾の原作を「にっぽん昆虫記」でコンビの長谷部慶治と今村昌平が共同で脚色。今村昌平が監督した社会ドラマで撮影もコンビの姫田真佐久。今平さんは抑圧された人間の情念を描かしたらピカイチですな。
この作品では、春川ますみ演ずる貞子が、芋虫のような蚕へ嫌悪を感じながらも振り払うことなく、同時に内股を這う性的快楽から逃れられぬシーンに集約されているように思った。それは妾腹として生まれ扱われてきた彼女の原体験であり、したたかな逞しさでもある。何度か観ているが素晴らしい作品。

「虎狼の血」(2018/日/白石和彌)
1970年代初頭、当時の東映で辣腕を振るっていたワンマン社長の岡田茂氏が言い放ったキャッチフレーズが”不良性感度”。約50年の時を経て今まさに甦った東映イズム色濃い、暴力的でアンチモラル、アナーキーな作品。

2020/11/04(Wed) 15:06


  2020年 観た映画 10月

「十九歳の地図」(1979/日/柳町光男)
原作は戦後生まれで初めての芥川賞作家の中上健次。同氏とは同郷で高校の先輩。中上氏原作×柳町氏監督3作品はじめ、中上氏原作の映画化された作品はほとんど全て観ているが、やはりどの作品も忘れ難い。好き嫌い、賛否は当然あって然りだろうが、私の生まれ育った紀州熊野という風土、氏のいうところの隠国の熱くてどろどろとした独特の風を背負った町を知る者としては、この若者の満たされる事のない孤独と絶望からくる心の屈折はよく解る。しかし、中上作品は実に重い。紺野役の蟹江敬三が良い。「どういう具合に生きて行ったら良いのかわからないなぁ」この台詞は本作を象徴している。それから、沖山秀子も良い。この方の唄う「Summer・Time」はヒシヒシと胸に響いてきた記憶がある。確か’77年(この映画の2年前)実際にビルの8階から飛び降りて足に障害が残っているのだが、そのままの役どころとして出演されているのには観ていて胸が痛かった。2度目の鑑賞。

「奴隷の島、消えた人々」(2015/韓/イ・ジスン)
2014年、韓国社内に大きな波紋を投げかけた実在の出来事、新安塩田奴隷事件にヒントを得て製作された社会派ドラマ。世の中には、まだまだ闇に葬り去られている本当に悲惨な事件がいっぱいなんだなぁ。えっ!という展開にはビックリした。

「異端の鳥」(2019/チェコ、スロバキア、ウクライナ/イェジー・コシンスキ)
ナチスのホロコーストから逃れるために両親と離れて田舎に疎開した少年が、差別や迫害に抗いながらも強く生き抜く姿を短編形式で綴った心に突き刺さる作品。予告編を観てビビッ!と直感し観に行ったのだが、これ程までにガツンとやられるとは思わなかった。自分よりも常に弱い立場の者を傍に置く事によっての勝手な優越感と安心感。こういった人間の小さなエゴがやがて戦争にも発展していくのだろうと痛感。確かに痛々しい描写もそうだが、コントラストが効いたモノクロ映像は実に美しい。ハーヴェイ・カイテル、バリー・ペッパーも良い。懐かしいところでジュリアン・サンズも出てきた。百聞は一見に如かずですな。

2020/10/11(Sun) 22:51


  2020年 観た映画 9月

「キラー・インサイド・ミー」(2010/米、スウェーデン、英、カナダ/マイケル・ウィンターボトム)
原作はジム・トンプスン「おれの中の殺し屋」。まぁ、何と言うか、後味の悪いサイコ・キラー・サスペンスとでも言うのか。。。腑に落ちぬ脚本ではあるが、このルーを演じるケイシー・アフレック(兄はベン・アフレック)のヘラヘラと笑いながらの冷淡な狂気は尋常ではなく、暫く脳裏に焼き付いて離れない。うぅ〜っ!

「パリのランデブー」(1994/仏/エリック・ロメール)
「モード家の一夜」「満月の夜」などで知られるヌーヴェル・バーグの巨匠エリック・ロメール監督がパリを舞台に若い男女の恋愛をテーマにそれぞれ3つの物語を描いたオムニバス映画。3話とも淡々としているストーリーなんだけれど、その中に大人のユーモアと切なさがたくさん詰まっていて素敵です。いつもロメール作品を観て思うことだが、女性の描き方が実に上手い。ちょっとした仕草や表情、台詞まわし、細か〜いところまで眼が行き届いているんでしょうね。
また、パリを知り尽くしているロメールだからこそ、普段あまり観たことのない観光地ではないパリの路地裏や小さな公園、古い建物など、その少しくたびれたシャンソンが聴こえてきそうな街並みを案内してもらっている様な気持ちになる洒落た映画。それにしてもランデブーって妙に不思議な響きを持った単語ですなぁ。

「新しき世界」(2013/韓/パク・フンジョン)
韓国最大の犯罪組織への潜入モノ映画。今までいくつかの潜入モノ映画も観てきたがこの作品は面白かった。チョンチョンという組織のナンバー2を演じていたファン・ジョンミンがもの凄く良かった。

「メイキング・オブ・モータウン(米、英/ベンジャミン・ターナー、ゲイブ・ターナー)
スティービー・ワンダー、マーヴィン・ゲイ、スプリームス、ジャクソン5など、数多くのスターを輩出し、ソウルやR&Bの名曲の数々を世に送り出した音楽レーベル「モータウン」。その創設者であるベリー・ゴーディーを中心に親交の深かったスモーキー・ロビンソンなどの証言や貴重な映像を元に作られたドキュメンタリー。
初っ端、テンプスの「Get・Ready」が流れた瞬間からワクワク、おぉ〜っ!ですな。デヴュー当時のスティービーやマイケルの天才ぶりには圧巻され、ダイアナ・ロスなどの珍しい映像も嬉しかった。また、「What’s・Going・on」のリリースを巡ってのモータウン首脳陣とマーヴィン・ゲイのやり取りのエピソードには感慨深いものがあった。まぁ、こういう作品はまずは体験しないと!

2020/09/22(Tue) 14:08


  2020年 観た映画 8月

「光」(2017/日/大森立嗣)
まぁ、えらい暗くどろどろした愛憎劇ですな。余談だが、最近こういった傾向の作品ばかりを選んで観ている私も何処か病んでいるのかなぁ。

「白い闇の女」(2016/米/ブライアン・デキュベリス)
原作はコリン・ハリソンのミステリー小説「マンハッタン夜想曲」を「戦場のピアニスト」のエイドリアン・ブロディ主演で実写映画化。妖艶な美女が仕掛けた罠にはまっていく男を描いた官能サスペンス。
哀しい過去を持つ美しい未亡人役のイボンヌ・ストラノフスキーも、ギャングのボス役 スティーブン・バーコフも良い味を出しているのだが、ストーリー展開にいまいち入り込めず残念。口直しに「白いドレスの女」が観たくなった。
あぁ、そうそう、「フラッシュ・ダンス」(’84)のジェニファー・ビールスも出ているが、実に良い歳の取り方をしている!

2020/09/07(Mon) 14:22


  2020年 観た映画 7月

「羊の木」(2018/日/吉田大八)
富山県の寂れた港町を舞台に、6人の元殺人犯の身元引受人となり過疎問題を解決するという国家の極秘プロジェクトの中、担当する市役所職員はじめ町の住人との運命が交錯する人間ドラマ。”どこまで他人を信じられるか?”面白かった。

「そこのみにて光輝く」(2013/日/呉美保)
う〜ん、作品としてはもひとつ。役者陣はそれぞれのキャラクターを見事に演じていますね。特に池脇千鶴は良い。

2020/08/12(Wed) 15:19


  2020年 観た映画 6月

「凶悪」(2013/日/白石和彌)
2度目の鑑賞。実際に起こった事件を元にしているだけに、まぁそれなりに生々しい映画ですなぁ。こういう映画を観ていると、自分の身の回りが、いかに普通で平和な暮らしぶりというのを実感し、改めて有難いと感謝をするのでした。

「淵に立つ」(2016/日、仏/深田晃司」
はっきり言って、何度も観ようとは思わないが、こういう作品は嫌いではない。しかし、まぁ、救いも無く不条理ですわ。

2020/06/12(Fri) 13:39


  2020年 観た映画 5月

「三文役者」(2000/日/新藤兼人)
生涯300本もの作品に出演した日本屈指のバイプレイヤー殿山泰司の半生を描いた感動作。封切り当時の映画館で観て以来、何度か観ているがまったく色褪せる事なく今回も十分に楽しめた。愛すべき”泰ちゃん”を演ずる竹中直人はじめ、荻野目慶子の体当たり演技も見応え十分。「仕事行ってくるで〜、ほんまに仕事行ってくるで〜」の件には何度観ても大笑いしてしまう。もう一回観よう!

「哭声/コクソン」(2016/韓/ナ・ホンジン)
もう少しサスペンス風な作品だと思って観たのだが、私の苦手なオカルト・ゾンビ的要素がたっぷりでちとビックリ。謎の日本人(ネタバレになるので秘密)を演ずる國村隼は怖いぞ〜!

「誰よりも狙われた男」(2013/米/英/独/アントン・コービン)
スパイ小説の巨匠ジョン・ル・カレの同名小説を「ナイロビの蜂」「裏切りのサーカス」でも知られるアントン・カービンが映画化。ひたすら地味でリアルなストーリー展開だけど、飽きさせないのは流石です。フィリップ・S・ホフマン渋いですなぁ。

「ゴッド・タウン 神なきレクイエム」(2013/米/ジョン・スラットリー)
1980年代のフィラデルフィア郊外の労働者階級が大勢住む閉鎖的な街、”ゴッド・ポケット”。このどうしようもない閉鎖的な街のどうしようもない住人達の犯罪ドラマ。好き嫌いのハッキリ分かれる作品であろう、イライラするシーンも多々有るが最後まで引き込まれて観てしまった。「バートン・フィンク」のジョン・タトゥーロも良し。2014年、自宅のトイレで薬物過剰摂取によって倒れ遺体で発見されたフィリップ・シーモア・ホフマン最後の主演作。好きな役者だっただけに非常に残念。

「哀しき獣」(2010/韓/ナ・ホンジン)
「哭声/コクソン」を撮った監督という事もあり鑑賞。まぁ、登場人物が入りに入り乱れて絡み合い、少し戸惑いながらも、一気に観てしまった。しかし、テーマはえらい切ない物語ですなぁ。

「飢餓海峡」(1964/日/内田吐夢)
数度目の鑑賞。長くて重厚感があって、左幸子演ずる杉戸八重が健気で儚くて、と判っていてもつい観てしまう作品。伴淳も三国連太郎も沢村貞子も良い。内田吐夢晩年の代表作!観て損はなし。

「止められるか、俺たちを」(2018/日/白石和彌)
2度目の鑑賞。良き時代、映画製作に情熱の限りを注いだ若者たちの生々しい群像劇。ガイラさんには本当にお世話になったし、足立さんとは今もadd9thで時々トーク・ライブをやって頂いている関係もあり、どうしても客観的には観られない、私にとっては特別な作品なのです。

2020/05/05(Tue) 11:46


  2020年 観た映画 4月

「トレイン・ミッション」(2018/米、英/ジャウマ・コレット=セラ)
まず、このパターンは「フライト・ゲーム」と同じ。真剣に観るとしんどい作品。

「アトミック・ブロンド」(2017/米、独、スウェーデン/デヴィッド・リーチ)
1989年 冷戦末期、ベルリンの壁崩壊直前のベルリンを舞台に、腕利きのスパイが奪還を命じられた最高機密のリストをめぐってし烈な戦いを繰り広げるというストーリー。さすがにスパイものだけあって展開も複雑で混乱させられるが、あっという間の2時間。女スパイを演ずるスタイリッシュで美人のシャーリーズ・セロンのアクションも凄い。挿入音楽も懐かしく面白かった。

「黒い家」(1999/日/森田芳光)
第4回日本ホラー小説大賞を受賞した貴志祐介の同名小説を森田芳光監督が映画化。ちょっと期待をして観たのだが、
う〜ん、単なる明るいサイコパス映画だった。大竹しのぶ、西村雅彦の怪演は楽しめた。

「殺しの烙印」(1967/日/鈴木清順)
突っ込みどころ満載のスタイリッシュなコメディー映画。鈴木清順なので仕方ありません。この作品で日活をクビになったのは有名な話です。

「アレックス」(2002/仏/ギャスパー・ノエ)
「時は全てを破壊する」というのがテーマなのか、時間軸を逆にした「メメント」に似た手法で撮られた作品なんですね。ところどころに”死”を予言する台詞が物語の伏線として出てきたが、逆行しているので観ている側には後の祭り。また、これでもか!という奇をてらった斬新な映像(?)を狙ったカメラワークには鬱陶しさを覚えた。ヴァンサン・カッセルもイイ役者なんだけど、もったいないなぁ。

「月影の下で」(2019/米/ジム・ミックル)
9年に一度起こる不可思議な殺人事件。真相に囚われ、執念に駆られた男の行く末を追うSFサスペンス。可もなく不可もなく。

「リマスター ロバート・ジョンソン」(2019/米/ブライアン・オークス)
”十字路で悪魔に魂を売り渡して、その引き換えにギターのテクニックを身につけた”という伝説を持つ彼の生い立ちや、毒を盛られ27歳で亡くなるまでを、タジ・マハールやキ−ス・リチャーズなどのインタヴューを交えたドキュメンタリー。謎に満ちた彼の僅かに残された2枚の写真とレコーディングされた29曲。彼が後世のブルーズマンやロック・ミュージシャンに与えた影響たるや、その功績は計り知れない。

「湿地」(2006/アイスランド、独、デンマーク/バルタザール・コルマウクル)
北欧アイスランドが舞台のミステリー・サスペンス。派手なドンパチやアクションも無く、アイスランド(レイキャビクかな?)独特の湿った空気感漂う風景に映像が上手く融合し、静かな不気味さの中に数十年前の事件の真相が暴かれていく。テンポが少し気にはなるが、結構こういう風な映画は好き。登場人物の名前がどれも舌を噛みそうで判りづらいのが、ちと残念。

「リマスター ボブ・マーリー」(2018/米/キーフ・デヴィッドソン)
平和を希求し続け、ミュージシャンとしても偉大で多大な影響力のあったボブ・マ−リー。1976年当時のジャマイカ内部では対立する2代政党の選挙をめぐり、彼の暗殺未遂事件に発展していく。結局、裏でアメリカが関与していたらしいが、その後もコンサートにレコーディングにと命を危険に晒してもなお精力的にメッセージを伝え続けた彼の生き様は、これからも永遠に語り継がれていくだろう。

「ステイ」(2005/米/マーク・フォースター)
最後の最後に”あっ、夢落ちなんや”と納得したのはそこだけ。映像は美しく凝っている点は百歩譲ったとしても、何だかよく解らないつまらない作品(私の理解力がないだけかも知れぬが)。もう一度鑑賞すればもっと面白いのかも知れないが、その気も起こらぬ。

「フォーカス」(2015/米/グレン・フィカーラ)
ダメだこりぁ。前半はまぁまぁ面白かったのだが、その後の失速感たるや、笑っちゃいます。

「ザ・タウン」(2010/米/ベン・アフレック)
脚本、監督、主演はベン・アフレック。ディティールへのこだわりにマイケル・マンの「ヒート」を最高傑作と言うのはとてもよく解るのだが、残念ながら消化不良気味。実際に銀行強盗と現金輸送車襲撃の発生率が全米一のボストンを舞台に、そこに巣食うチンピラを描くのなら とことん救いようの無いもがく姿が観たかったなぁ。余談だがB・アフレックが元フランス代表、ジダンに見えて仕方なかった。

「隣人は静かに笑う」(1998/米/マーク・ペリントン)
おおぉ〜っ!これは何たる後味の悪い衝撃の結末。あんまり言うとネタバレになるのでシーッ!これは必見の価値あり!ジョン・キューザックの笑顔だけでもそら恐ろしい。。。

「ROMA/ローマ」(2018/メキシコ、米/アルフォンソ・キュアロン)
監督、脚本、そして撮影も兼ねたアルフォンソ・キュアロンの半自伝的な物語。緻密に計算され尽くした細部にまでこだわった長回しの水平移動で見せる美しいモノクロームの映像と音響効果。とても暖かくて切なくて郷愁を誘う素晴らしい映画。

「ふくろう」(2003/日/新藤兼人)
一幕一場の風刺を効かせた非常にシンプルなシニカル・コメディー舞台劇って感じ。大竹しのぶはじめ役者陣も味があって良い。当時、御年91歳の新藤兼人監督の新たな分野に挑む心持ちに頭が下がった。

「ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア」(1997/ベルギー、独/トーマス・ヤーン)
「天国じゃ、みんなが海の話をするんだぜ。」 医師から余命わずかと宣告されたふたりの男は、そう言って海を見るために旅に出る。 しかし、乗り込んだ車は、大金を積んだマフィアのものだったりと……。 海を見たことのない二人の男の、明るく切ないロードムービー。ラストの海のシーンもリアリティーありますなぁ。ルトガー・ハウアー、あぁ、懐かしい。

2020/04/07(Tue) 20:15


  2020年 観た映画 3月

「シャッターアイランド」(2009/米/マーティン・スコセッシ)
2度目の鑑賞。最後は妙に切なくなるが、なかなか見ごたえのある作品。ここにもマックス・F・シドーが出てきますなぁ。

「フォックス・キャッチャー」(2014/米/ベネット・ミラー)
1996年に起きたデイヴ・シュルツ(ロス五輪のレスリング金メダル選手、マーク・シュルツの兄)殺害事件を題材にした伝記映画。映画では弟を中心に大富豪のレスリング・チームのオーナーでありコーチのジョン・デュポン氏の野望と母との確執が描かれている。お金では買えぬモノがあるのです。

「ヒットマン」(2007/米、仏/サヴィエ・ジャン)
2度目の鑑賞。気軽に楽しめるエンターテイメント映画。後頭部にバーコードって笑っちゃいますよ。

「ラッキー」(2017/米/ジョン・キャロル・リンチ)
目を覚ますとコーヒーを飲んでタバコをふかし、なじみのダイナーに出かけてはブラッディー・マリーを片手に風変りな常連客と無駄話をするという毎日を送る90歳の偏屈無神論者のラッキー。そんなある日、彼の身に起こった事をきっかけに”死”と向き合っていく姿を時にユーモアを交えて描いた作品。
大作でも特にこれといった展開もないが、妙に沁みる印象に残る映画である。一筋縄でいかぬ言葉のキャッチボールや実際にH・D・スタントンと仲の良かったらしいD・リンチが出てきたり、乾いた荒野を歩く姿に「パリ、テキサス」のトラヴィスが重なったり、時々クスッとしてしまった。

「草原の実験」(2014/露/アレクサンドル・コット)
2014年 東京国際映画祭で最優秀芸術貢献賞を受賞。広大な草原地帯を舞台に、平和な日々を送る父と美しく優しい娘、そして娘に恋をする2人の青年のエピソードを一切の台詞なしで描いた意欲作。ラストが痛ましい。旧ソ連のカザフスタンで実際に起こった核実験を元に作られたそうである。

「ストレイト・ストーリー」(1999/米、仏、英/デヴィッド・リンチ)
愛と許しのメッセージを軸に何とも暖かくて美しい物語。そして、アルヴィン役のリチャード・ファーンズワース、味が有って素晴らしい。彼自身もインタビューで答ていたが、ノミネートになったアカデミー主演男優賞を獲れなかったのは、普段のままの地で出ていただけで、演技などしていなかったから、あれは演技に対しての賞だからね、と。これまた粋な台詞をおっしゃる姿がカッコイイですな。
余談だが、途中の数シーンだけトレーラーに被せたシートの色が変わっていたのに気付きましたか?(笑)

「サタンタンゴ」(1994/ハンガリー、ドイツ、スイス/タル・ベーラ)
生涯忘れぬ作品になるでしょう。驚異的な長回しと美しいモノクロ映像。
伝説の7時間18分!

2020/03/05(Thu) 14:27


  2020年 観た映画 2月

「愛なき森で叫べ」(2019/日/園子温)
実際にあった北九州監禁殺人事件がベースになっている作品で、園子温得意のグロイ映像もチラホラと。決してつまらなくはないのだが少し長いせいか、あまり印象には残らず。

「アイリッシュマン」(2019/米/マーチン・スコセッシ)
少し長めだが一気に観てしまった。CG加工が気にならなくもないが、素晴らしい役者陣の中でも特にJ・ペシが良い!一見の価値あり。

「山中静夫氏の尊厳死」(2019/日/村橋明郎)
いろいろと死について考えさせられる素晴らしい映画でした。監督の村橋氏とは、お互い20歳台からの付き合いで、今も転がり続ける氏には勇気を頂いております。
https://songenshi-movie.com/

「ポーター狙われた暗殺者」(2019/米、独/ヨナス・アカーランド)
「007 カジノ・ロワイヤル」「ドクター・ストレンジ」のマッツ・ミケルセンが主演。命を狙われた殺し屋の孤独な戦いをスピード感溢れる映像で繰り広げるクライムアクション。R・ドレイファスが出ていてビックリ!

2020/03/01(Sun) 17:41


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