『一度も撃ってません』(2020/日/阪本順治監督/石橋蓮司、大楠道代、岸部一徳、桃井かおり、他) まったく冴えない小説家と伝説の殺し屋という2つの顔を持つ主人公。「夜は酒がつれてくる」なんて、R・チャンドラー風ハードボイルドの世界なんだが、これがまぁ、ニソッと笑ってしまうシーン満載で、蓮司さんはじめ、役者陣も一癖も二癖もある豪華な顔ぶれに拍手。 ★★★☆☆
『囚われの美女』(1983/仏/アラン・ロブ=グリエ監督/ダニエル・メグイシュ、ガブリエル・ラズール、シリエル・クレール、他) フランスで第2次大戦後に巻き起こった文学界のムーブメント「ヌーヴォー・ロマン」の旗手といわれる作家アラン・ロブ=グリエが監督・脚本を手がけ、シュルレアリスム画家ルネ・マグリットの多数の絵画をモチーフに描いた不条理サスペンス。「去年マリエンバードで」「ヨーロッパ横断特急」に比べると格段につまらない。 ★★☆☆☆
『9人の翻訳家 囚われたベストセラー』(2019/仏、ベルギー/レジス・ロワンサル監督/アレックス・ロウザー、ランヴェール・ウィルソン、マリア・レイチ、オルガ・キュリレンコ、パトリック・ボーショー、他) ダンブラウンの「インフェルノ」出版時に内容流出を恐れた出版社が翻訳家を集めて地下室に監禁して翻訳させた・・・という「実話」が元になっているサスペンス映画。こういう作品はネタバレになるので余計な事は書きません。 ★★★☆☆
『アウトサイダー』(1981/ハンガリー/タル・ベーラ監督/サボー・アンドラーシュ、フォドル・ヨラーン、ドンコー・イムレ、他) この頃のハンガリーは比較的穏健なグヤーシュ共産主義の中にあり、資本の多くを西側に由来しており、文化的な面でもかなり影響をうけていたのだろう。社会に適合しようとするも出来ないミュージシャンの現実、葛藤、苦悩する姿を手持ちカメラで淡々と追う画が痛々しい。ちょうど80年前後、私も含め周りにも沢山こういう奴等は居たし、どんなに能天気、楽観的に生きていながらも、それぞれ現実とのギャップに葛藤していたなぁ。 ラスト、「ハンガリー狂詩曲」が耳に残る。タル・ベーラ初のカラー作品。 ★★★☆☆
『名付けようのない踊り』(2021/犬童一心監督/田中泯、他) 時代に翻弄されず、妥協を許さず、己の感性を奥の奥まで研ぎ澄ませ、身ひとつ、心のままに生きる姿は美しい。 ★★★★☆
『ともしび』(2017/仏、伊、ベルギー/アンドレア・ストゥコビッツ監督/シャーロット・ランプリング、アンドレ・ウィルム、ステファニー・バン・ビーブ、他) 少しでも目を離すと筋が判らなくなる程、極端に無駄を省いた削り取られた台詞と映像。圧倒的な存在感のS・ランプリング演ずるアンナを静かに追って移動するカメラ。彼女の冷たく人を射抜くブルーの眼差しにとてつもない孤立感とさもしさが映る。それは長年連れ添った夫の児童(息子も含め?)への虐待の罪も知っていて見て見ぬふりをして来た自責の念からの虚無感からではないのか。いろいろと考えさせられる作品。邦題の「ともしび」は違和感があるなぁ。 ★★★★☆ |