「火口の二人」(2019/日/荒井晴彦監督、脚本/柄本祐、瀧本公美、他) 直木賞作家、白石一文が男と女の極限の愛を描いた小説「火口のふたり」を「赫い髪の女」「もどり川」などの名脚本家、荒井晴彦が手がけた監督第3作目作品。いやぁ〜、隅から隅まで荒井ワールド全開。何だか ただただダラダラ感が続くのだが、主演二人の台詞と芝居がとても自然で、うん、抑えきれない衝動ってあるよなぁ〜って思ってしまった。
「グリーン・ブック」(2018/米/ピーター・ファレリー監督/ヴィゴ・モーテンセン、マハーシャリ・アリ、リンダ・カーデリニ、他) 人種差別が色濃く残る1960年代のアメリカ南部を舞台に、黒人ジャズピアニストとイタリア系白人運転手の2人が旅を続ける中で友情を深めていく実話を基にしたロード・ムービー。 まず、今だに人種差別が公けに蔓延るこの国で、アカデミー作品賞を受賞した史実に乾杯!だからと言ってすぐに問題が解決できる訳でもないのだが、片寄ったヘイト発言なんかよりも説得力は充分である。V・モーテンセン、「イースタン・プロミス」また観たくなった。ラスト、奥さん素敵ですな!
「本当の目的」(2015/ダリアン・ペヨフスキ監督/北マケドニア、コソボ/イレーネ・リスティッチ、カムカ・トチノフスキ、他) 地味で淡々として静かな作品なんだけれど、この独特の空気感がたまりません。悲しいかなこの辺りの地域にもヘイトは色濃く残っているんだなぁ。
「ライ麦畑の反逆児 独りぼっちのサリンジャー」(2017/米/ダニー・ストロング監督/ニコラス・ホルト、ケビン・スペイシー、ゾーイ・ドゥイッチ、他) 「ライ麦畑でつかまえて」の著者J・D・サリンジャーの知られざる半生を描いた伝記ドラマ。この書物に至っては、あまりにも有名で少なからず一度は読んでいる作品ではあるが、サリンジャー自身の事はあまり知らなかったので興味深く観られた。
「ファーザー」(2020/英、仏/フローリアン・ゼリール監督/アンソニー・ホプキンス、オリヴィア・コールマン、イモージェン・プーツ、オリヴィア・ウィリアムス、他) A・ホプキンスが見事な名演でアカデミー賞主演男優賞に輝いた、重度の認知症を患った老いた父と娘の葛藤を描いた重厚で怖くて感動の物語。これは決して絵空事ではなく、誰もが経験するかも知れぬドキュメンタリーでもある。 |