「赤い殺意」(1964/日/今村昌平) 藤原審爾の原作を「にっぽん昆虫記」でコンビの長谷部慶治と今村昌平が共同で脚色。今村昌平が監督した社会ドラマで撮影もコンビの姫田真佐久。今平さんは抑圧された人間の情念を描かしたらピカイチですな。 この作品では、春川ますみ演ずる貞子が、芋虫のような蚕へ嫌悪を感じながらも振り払うことなく、同時に内股を這う性的快楽から逃れられぬシーンに集約されているように思った。それは妾腹として生まれ扱われてきた彼女の原体験であり、したたかな逞しさでもある。何度か観ているが素晴らしい作品。
「虎狼の血」(2018/日/白石和彌) 1970年代初頭、当時の東映で辣腕を振るっていたワンマン社長の岡田茂氏が言い放ったキャッチフレーズが”不良性感度”。約50年の時を経て今まさに甦った東映イズム色濃い、暴力的でアンチモラル、アナーキーな作品。 |