「ZOO」(1985/英/ピーター・グリーナウェイ) グリーナウェイほど、極端に好き嫌いの分かれる監督は居ないと云われるが、賛否両論は別として、構図や色使い、カメラ移動などはかなり興味深い。今回の作品においては、随分と遊びや工夫、シンメトリーの多様が目立つ。(写真家:ダイアン・アーバスを思い出した)私の好きなヴェルナー・ヘルツォークも普通の人間をあまり描かぬ作品が多いが、ある意味でグリーナウェイも似ている気がする。 交通事故を起こしたアルバの主治医の名前メーヘレンは、フェルメールの贋作で有名な実在の人物と同じ。その愛人カテリーナとはフェルメール夫人の名前だし、「赤い帽子の女」のファッションで登場。アルバにも「ヴァージルの練習」のポーズをとらせるという徹底ぶりには笑ってしまった。
「コックと泥棒、その妻と愛人」(1989/英、仏/ピーター・グリーナウェイ) 大人の人間の持つ醜い欲望を描いた、これまた内容はかなりグロテスクな賛否両論のハッキリ分かれる作品ですな。幼少期から画家を目指し美術学校に通ったというグリーナウェイだけあって、その美しい映像美には感心しかり。ヘレン・ミレンも体当たりの演技でよい。ただ、食事をしながら観る映画ではありません。
「シベールの日曜日」(1962/仏/セルジュ・ブールギニョン) 何十年振りかで鑑賞。孤独な少女と、インドシナ戦争で心に傷を負った元兵士との交流と哀しい結末を描いた美しいモノクロ映像作品。 泣けますなぁ。いい映画。 |