『ゴールドボーイ』(2023/日/金子修介/岡田将生、黒木華、羽村仁成、星野あんな、江口洋介、他) 先の読めぬ展開と二転三転する心理戦。カラッとしている反面、何かに抑え付けられた様などんよりとした沖縄の地域性が随所に纏わり付き、不穏な空気感が静かな不気味さを増す。面白かった。 ★★★★☆
『聖地には蜘蛛が巣を張る』(2022/デンマーク、独、スウェーデン、仏/アリ・アッバシ/ザーラ・アミール・エブラヒム、メフディ・バジェスタ二、アラシュ・アシュティア二、フォルザン・ジャムシドネジャド、他) 国や宗教が違えば、男女格差や人種的マイノリティーに対するスタンスや振る舞いも変わってくる現実が重く突き刺さる。最後の最後まで心晴れぬ想いを引きずりながらの鑑賞。しかしながら、監督はじめスタッフ、出演者の勇気には頭が下がる。 ★★★☆☆
『テオレマ』(1968/伊/ピエル・パオロ・パゾリーニ/テレンス・スタンプ、マッシモ・ジロッティ、シルヴァーナ・マンガーノ、アンヌ・ヴィアゼムスキー: オデッタ、アレドレ・ホセ・クルス、ラウラ・ベッティ他) 謎の青年の訪問によって、ブルジョア一家の崩壊を風刺を交え寓話的に描いた宗教的問いかけも含む作品。T・スタンプ演じる謎の青年は神か悪魔か。。F・ベーコンの画集を大写しで見せるシーンや、唯一神聖化された女中さんが空中浮遊するシーンは笑いそうになった。 ★★★☆☆
『四季〜ユートピアノ』(1980/佐々木昭一郎/中尾幸世、古沢貞夫、古沢ミヨ、横倉健児、他) ピアノ調教師の栄子が四季を通して、音と共に成長していく姿を独特のドキュメンタリータッチで描いた美しい映像詩。再鑑賞。 ★★★★☆
『ガール・ウィズ・ニードル』(2024/デンマーク、ポーランド、スウェーデン/マグヌス・フォン・ホーン/ ビク・カルメン・ゾンネ、トリーヌ・ディルホム、ベシーア・セシーリ、ヨアキム・フィエルストロプ、他) 第一次世界大戦がもたらした、貧すれば鈍する負の連鎖の悲劇。コントラストの効いたモノクロ映像と不気味な音響が重厚感を増す。 ★★★★☆
『さよなら渓谷』(2013/日/大森立嗣/真木よう子、大西信満、鈴木杏、大森南朋、鶴田真由、他) どこかぎこちない夫婦だなぁと思って観ていたら、あらっ、そういう事だったのね、と納得。まさにコピーの如く「憎しみか、贖罪か。それとも愛か」でした。 ★★★☆☆
『罪と悪』(2024/日/齋藤勇起/高良健吾、大東俊介、石田卓也、村上淳、椎名桔平、他) 和風「ミスティック・リバー」。伏線が回収しきれていないので消化不良気味感が残る。 ★★★☆☆
『理由』(2004/日/大林宜彦/村田雄浩、加瀬亮、根岸季衣、立川談志、麿赤児、赤座美代子、岸部一徳、他)ミステリー作家の宮部みゆきが直木賞を受賞した同名小説を、大林宜彦が映画化。原作もかなりの長編だが本編も長い、長い。インタビュー形式で進む演出に、たくさんの豪華キャストが入り乱れての共演は見応えはあるが、ちとしんどかった。再鑑賞。 ★★★☆☆
『ブラックドッグ』(2024/中国/グアン・フー/エディ・ポン、トン・リーヤー、ジャ・ジャンク−、チャン・イー、他) 北京オリンピック前の中国、ゴビ砂漠の端にある過疎化が進むさびれた街を舞台に、刑期を終えた寡黙な青年と、痩せた黒い孤高の野良犬との交流を描いたヒューマン・ドラマ。五輪を前に地方都市の浄化政策の一端で立ち退きを迫る政府への憤り。取り残された行き場のない人々。美しい映像が胸に残る。 「新宿シネマカリテ」にて。 ★★★★☆ |