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…コラム…

  2013年 観た映画 展覧会など 8月

「縞模様のパジャマの少年」
ナチス将校を父に持つ少年とユダヤ人の少年。戦時下の狂気の中で芽生えた純粋無垢な友情の運命を描いた、ジョン・ボイン原作の世界的ベストセラーの映画化。この手の映画はフィクションにしても、かなり慎重に扱わなければいけないと思うが、今ひとつ入り込めず。。。そりゃー、えらい悲惨で可哀そうなことは確かではあるんですが。。。

「黄色い星の子供たち」(初)
1942年、ナチス占領下のフランス、パリ。ユダヤ人約1万3,000人が味方であるはずのフランス警察に検挙され、ドイツの強制収容所に送られたヴェロドローム・ディヴェール大量検挙事件(ヴェル・ディヴ事件)を題材に、わずかに生き残った400人の証言を元に当時を再現した物語。”黄色い星”とは、胸に”黄色い星”の印を付けることを義務付けられていたユダヤ人達をさす。史実に基づく作品は地味だが重みがある。涙なしでは観られぬ重厚な作品。

2013/08/20(Tue) 12:39


  2013年 観た映画 展覧会など 7月

「二十世紀 少年読本」
20数年振りで観たが、私の中では全く色褪せることなく再び感動してしまった。子供の頃から、何だか怖いんだが妙に引き込まれたサーカスという不思議な世界と、やはり全国を流れ流れて商いをする香具師の生き様とを無理なくクロスさせ、昭和の中期をノスタルジックに描いた好きな作品。
桂 三枝(現 分枝)の怪優振りと、身長144cmのいか八郎の独特の台詞回しと存在感は見事!

2013/07/22(Mon) 14:49


  お知らせ

おかげ様にて、この6月6日をもって何とか開店17年目に入った。ひとえに足を運んで下さるお客様、集客にも努力をして下さる出演者、店に携わって助けてくれるスタッフや皆様、家族などの協力のもと、これまで歩んで来られたことは確かであり、本当に衷心より感謝申し上げる次弟である。
また人だけでなく、電気、ガス、水道をはじめ、PA装置やオーディオ機器、ピアノ、スピーカー、レコードにCD、ガスコンロ、電子レンジ、器からグラスに至るまで店内の全ての物にも感謝している。何かひとつ欠けても営業に支障をきたす物ばかり。
小指の先を少し切っただけでも不便を感じるように、店の中の物ひとつひとつが今ではまるで自分の身体の一部のようにいとおしく感じる。
丈夫な身体に産み育ててくれた親や先祖、それから神様にも当然感謝しつつ、健康が続く限り、時には少し立ち止まって内省をしながら、これからも転がり続けて行こうと思う。
どうぞ、今後ともよろしくお願い申し上げ奉り候。

2013.06(け)

2013/06/07(Fri) 17:20


  2013年 観た映画 展覧会など 6月

「ザ・ガール」(初)
私が生まれ育った自然豊かな海沿いの観光と漁業の盛んな町には、いつもトンビやカモメがたくさん生息していた。小学生の頃のある日、テレビでヒッチコックの「鳥」を初めて観てからカモメの存在がとにかく怖くなり、いつ襲って来るのか心配で心配でしょうが無かった程の強烈な印象を受けた作品。監督のヒッチコックがブロンドのモデルにひと目惚れし、この作品の主演女優に抜擢したティッピ・ヘドレン(メラニー・グリフィスの実母)との知られざる関係を描いたテレビ映画「ザ・ガール」。鬼才監督の意外な一面を明かしつつ、大人の切ない恋物語と取るか、はたまたセクハラと取るかでかなり印象が違ってくる作品。ただ間違いなくティッピ・ヘドレンという女性は強い芯を持った素晴らしい女優であり母親である。

2013/06/05(Wed) 13:49


  2013年 観た映画 展覧会など 5月

「火まつり」
紀州熊野、二木島を舞台にした、1985年に実際にあった事件をモデルにした中上健次 脚本の映画。監督は「十九歳の地図」も撮った 柳町 光男。全編通じて妙なリアリティーと存在感のある作品で、この映画を観る度に不思議な体験をさせられている。良太役の中本 良太(芸名)は、高校の同級生で評判の男前だったH氏。ラグビー部で運動神経も抜群で喧嘩も強かった。彼はドラムスも演っていて一時いっしょにバンドを組んでいた。ちょうどCSで上映されることが判り、”久し振りにHの姿を観たろかいな”と思っていた矢先のある日、同じく同級生のMが店を来店。Hの話をしたところ、彼が随分と早くに亡くなったことを知らされた。。。
気を取り直し、DVDに録ろうとしたが、2度続けて録画されておらず。(リアルタイムで無事録画されているか確認した時は何ともなかったのだが。。。)時間差で予約した他の作品だけが録画されていた。3度目の正直と改めて何度も予約確認し、録画された画像をとりあえず早送りで確認すると、ラスト近く”お燈まつり”の辺りから画像が乱れクライマックスに向け観賞出来ず。しかし、作品終了後のCFからは、まともな録画状態。4度目、無事に録画成功。改めてゆっくりと観賞。そういえばHはいたずら好きな奴だったなぁ。

2013/05/07(Tue) 17:00


  2013年 観た映画 展覧会など 4月

「マリオ・ジャコメッリ展」(東京都写真美術館にて)
「白、それは虚無。黒、それは傷跡。」
大好きな写真家であり、その昔、彼の作品を観て強烈な印象を受けた記憶が甦った。ハイ・コントラストの一連の作品群は、陽と陰、歓喜とメランコリー、生と死が入り混じり内在しており、観る者の心を捉えて離さない。彼は写真家であり、詩人であり、偉大な表現者である。必見の価値あり!!
http://syabi.com/contents/exhibition/index-1807.html

2013/04/09(Tue) 13:43


  2013年 観た映画 展覧会など 3月

「帰ってきた 寺山修司」(世田谷文学館にて)
「百年たったら帰っておいで 百年たてばその意味わかる」
寺山さんが去って30年。思い出すことはない・・・いつも、忘れないでいるから。
客観的には決して語れぬ、数少ない存在の方。語り出したら切りがないので今日は語らぬことにしよう。

2013/03/21(Thu) 00:59


  2013年 観た映画 展覧会など 2月

「情熱のピアニズム」(初)
僅か36歳で夭折した天才ジャズ・ピアニスト、ミシェル・ペトリチアーニの奇蹟のドキュメンタリー。
生まれながらにして、先天性の骨形成不全症という凄まじい障害を抱えながらも、音楽と女たちから愛されたミシェル・ペトルチアーニ。私生活ではいたずらっ子のように我がまま放題で、そばに居るときっとしんどいはずなのに、何事にも前向きで挑戦し続ける彼の人柄、そして全てを許してしまいたくなる程の繊細で大胆なピアノの音色。
彼は自ら長くは生きられぬと悟っていたから、やり尽くして駆け抜けて逝ったのだろう。

「君たち健常者だって障害者と言えるのではないかな。誰でも心に悩みや不安を抱えてるから。」〜 M・ペトリチアーニ

2013/03/03(Sun) 14:05


  2013年 観た映画 展覧会など 1月

「ザ・バンク 堕ちた巨像」
巨大プライベート・バンクの陰謀を暴き、国際情勢の裏に潜む闇を描くクライム・サスペンス。
「合法と非合法が表裏一体の国際社会にあって、合法なる正義がどこまで通用するのか?」という、いつの時代にも当てはまる普遍的な問題を、緊張感ある映像と脚本で問い詰める。
宙ぶらりんなラストとグッゲンハイム美術館での激しい銃撃戦はどうかとも思うが、まぁ、楽しめた。

「イングロリアス・バスターズ」
ランダ大佐役の”クリストフ・ヴァルツ”の役者としての凄さに尽きますな!いやぁー、ほんと!!

「少年」
観てて辛くなる作品だが、大好きな映画。
大島 渚 監督のご冥福を心よりお祈り申し上げます。

2013/02/06(Wed) 17:27


  2012年 観た映画

 1月
「ライフ・イズ・ビューティフル」
「ダウン・バイ・ロー」を観た時、飄々としたおもしろい奴が出てきたなぁと思ったものだが、今回のような作品の監督、脚本、主演もこなすベニーニって賢くて鋭く客観視の出来るお方。さすが名コメディアン。まぁ、前半はよく喋ること、喋ること!笑わせてくれる。収容所に送られてからの状況下には賛否両論もあるだろうが、この場合はこれで良いんです。例のなぞなぞの答えはおおよそ検討はつくが、不謹慎な答なので謎のままで良いのだろう。
間違いなく泣ける映画!良い映画だなぁ。

 2月
「シャッター・アイランド」(初)
夢野 久作「ドグラ・マグラ」ですな。

 3月
「L.A.コンフィデンシャル」
複雑に絡み合ったストーリーに加え、バドにエドにシド、ジャックにディックにダドリー・・・と、誰が誰だかこんがらがり、おまけに初めて観た時は、ケヴィン・スペイシーとラッセル・クロウの見分けが付かず、えらい苦労した印象が残る。
2度目の今回はさすがに余裕を持って観られ、ノワール・ミステリーの内容も楽しめた。原作は「アメリカ文学界の狂犬」と呼ばれる犯罪小説で有名なジェイムズ・エルロイ。ところで、K・スペイシーって若い頃のS・コネリーに似てますなぁ。

 4月
「アドレナリン」(初)
ばっかばかし過ぎて何とも言えません。が、そこが面白かった。

 5月
「インサイド・マン」(初)
銀行強盗の手口などはおもしろいと思ったが、全体に少し消化不良ですなぁ。結局インサイド・マンって誰なの?

「軽蔑」(初)
私の母校(新宮高校)の先輩であり、芥川賞作家の中上 健次氏の遺作長編小説を「余命1ケ月の花嫁」などの廣木隆一監督が映画化。映像での居場所無き主人公が、破滅に向かってただ突き進む死生観は解からぬでもないが、紀州・熊野・隠国(こもりく)で実際生まれ育った私には、心の奥底に潜む情念がこれっぽっちも感じられなかった。中上作品の映画化は難しいとは思うが、そこを描かないと表面だけの”路地”に観ている方が迷ってしまうのではなかろうか。。。

 6月
「ミッドナイト・エクスプレス」
初めて観たのは確か、目黒川沿いにあった今は無き、”五反田TOEIシネマ”。割と良質な作品を3本立てで上映してくれる小さいながらもとてもきれいな映画館で、他の2本が何だったのか、思い出せぬ程 衝撃的な実話映画。
自業自得と言えばそれまでなんだが、人生一瞬にしてまっ逆さま。最悪の事態とは真さにこの事か。現在も密輸が後を絶たぬ状況ではあるが、この映画を観たら少しは犯罪件数が減るかも?
あまりにもイスラム教徒を見下している様にも捉えられる、随分と米国的価値観の強い脚本(オリヴァー・ストーン)に少し残念。主演のブラッド・デイヴィスは「さらば冬のかもめ」がいいですなぁ。

 7月
「ザ・バンク 堕ちた巨像」(初)
犯人を追い詰めても国家という枠に阻まれ、あるいは国家が犯人隠匿を行っている。
合法と非合法が表裏一体の国家そして国際社会。
パラドックスな世界。

「ドライヴ」(初)
昼は自動車の修理工とハリウッド映画のカースタントマン、夜は強盗の逃走を請け負う運転手として働く孤高の天才ドライバーが、愛する女性を守るため裏社会を相手に命がけの戦いを繰り広げる姿を描いたクライムサスペンス。
ストーリーは何てことないんだけど、一切を削ぎ落とした演出、陰影を上手く駆使した映像美はお見事。特に最初の5分間はスリリングでカッコイイ。ライアン・オニール、イザヴェル・アジャーニ主演の「ザ・ドライバー」(’78)と相通ずる張り詰めた緊張感漂う映画。おもしろかった!

「ツーリスト」(初)
うーっ、さいなもうー、滅茶苦茶でごじゃりまするがな。これはアカン!!
強いて言えば、存在感あるスティーブン・バーコフの相変わらずクールで冷酷な表情と演技に救われた。

 8月
「エンド・オブ・バイオレンス」(初)
まさに今、是非を問われる原発問題然り、便利な物ほど表裏一体で危険性を孕んでいることは明らか。犯罪防止という点での監視カメラ同様、個人のプライベートの尊厳はどこまで守られているのか。。。まぁ、こんなことを言うとキリが無いが、これが国家的プロジェクトとして裏で脈々と進められているとすれば何とも怖い話である。
いつも思うことだが、ヴェンダースの作品は映像と音楽のセンスが良い。

 9月
「黒衣の花嫁」
ストーリーはかなり無理があるが、繊細な雰囲気の映像はトリフォーそのもの。J・モローも少しお歳を召した感は否めない。本作はヒチコックに対するオマージュが強いのは解かるが(例えば、白いコートに黒のスカーフは「めまい」のキム・ノヴァク)、うーん、サスペンス物はちと向いていない気がする。
でも、ついつい観てしまうのは何なんだろうなぁ。

10月
「悪魔のような女」
「恐怖の報酬」で有名なアンリ・ジョルジュ・クルーゾー監督の、ジワジワと恐怖を煽る演出が見事。どんでん返しのどんでん返しで、映画史に名を残す傑作サスペンス。ラストの少年の台詞に”きぇーっ!”シモーヌ・シニョレもヴェラ・クルーゾー(監督婦人)もきれいで演技も上手い。

11月
「小人の饗宴」
行ってきました!東京ドイツ文化センター+パンドラ主催「陶酔!ヘルツォーク」(於:東京ドイツ文化会館)。
昨年のシアター・イメージフォーラムにて開催された「ヘルツォーク傑作選2011」には仕事の関係上観に行けず、残念しきりだったのだが、今回のこの催しのおかげでやっとスクリーンで観ることが出来た。辺境の地にある施設で所長が留守の間に、日頃のうっぷん晴らしで始まった、ひたすらアナーキーなドンチャン騒ぎ。弱い者がより弱い者に対してのいじめの連鎖。あまりの衝撃的な内容に物議を醸したが、映画人を始め世界中のアートシーンに与えた影響は計り知れない。ラスト、傷ついたラクダの前で咽びながらもひたすら無理に笑うヘルムート・デーリングが印象的。
「ストロチェクの不思議な旅」「ヴォイチェック」も観たかったのだが行かれず。。。

「反撥」
長編監督デビュー作「水の中のナイフ」から3年後の1965年、ロマン・ポランスキー監督が撮ったサイコ・サスペンス。一人の女性が、静かに、しかし確実に狂気の淵へと滑り落ちて行く様子を、独特のカメラ・ワークと一切の説明なしに淡々と取り上げた作品。モノクロ画面の冷たい質感と余計なBGMを排したストイックな構成が恐怖さを増す。
主演のカトリーヌ・ドヌーブが見せる小さな表情の変化や仕種だけで、ヒロインの狂気の深まりを表現する演出も見事だし、それに答えた若干21歳のドヌーブの演技力も凄い。
主人公が恐ろしい幻惑に悩まされる様は、ポランスキー自身が幼年期に体験した強制収容所での恐怖と重なり合うのだろう。

12月
「クロスファイアー・ハリケーン」(初)
ザ・ローリング・ストーンズの50年の軌跡を完全網羅した決定版ドキュメンタリー映像作品。
彼らのファンならずともロックファンは必見ですな!!

2013/01/02(Wed) 17:37


  2011年 観た映画

1月
「メトロポリス」(122分版)
好きな映画。何度観ても鳥肌が立つ。テーマは単純な”資本家と労働者階級の争い”がメインなのだが、何より当時流行していたアール・デコを基調とした飛行船が飛び交う超ハイテク都市や人造人間、工場の機械など斬新なセットやデザインだけでも1920年代に作られた映画とは到底思えぬ程の造形美に惹かれる。監督のフリッツ・ラングは建築デザインを学んでいたというのも頷ける。
状況の説明に使われる字幕にしても、労働者が深い地下に勤務交代するシーン(ゾッとするシーンだが、マリオ・ジャコメッリの写真の様な美しさが有る!!http://artphoto-site.com/story48.html)では字幕が上から下にゆっくり降りてきたり、逆に上層階に生きる人々を表現する時にはピラミッド型に下から上に移動したりと、サイレントならではの字幕の演出だったのだろう。
脚本は妻のテア・フォン・ハルボウ。決して観て損はない作品!!
余談:クラフトワーク「メトロポリス」これもイイ!!

2月
「ウイスキー」(初)
南米版 アキ・カウリスマキ!!公開当時、観に行こうと思いながらもなかなか行けず、”神が望んでくれたのか”やっと観ることができた。決して派手さも無く、台詞も少なめで地味な作品だが、逆に大人の微細な心理を伝える役者の技量、演出、映像表現の巧さに恐れ入った。原色の青と赤の使い方も効いている。
ハコボを見ていると”鈍感は罪!?”と思ってしまった。ウルグアイにもこういう映画を撮れる若い監督も居ることは素晴らしい。思わずニソッと”ウイスキー”。

3月
「ゴッドファーザー PART U」
何て贅沢な映画なんだろう! 何度観ても観る度に感動を覚える。以前にも書いたが、続編で見事に成功した唯一の作品ではなかろうか。

4月
「マルセイユの決着(おとしまえ)(初)
ジョゼ・ジョヴァンニの犯罪小説『おとしまえをつけろ』をフィルムノワールの巨匠ジャン・ピエール・メルヴィルが映画化した傑作「ギャング」(1966年)の完全リメイク。
時代から取り残されていく男たちの誇り高き生き様を美しくも哀しく描写した力作。映像も美しい。

5月
「パララックス・ビュー」(初)
アラン・J・パクラがウォーターゲート事件を題材とした「大統領の陰謀」(1976)の直前に監督した予告作ともとれる作品で、ある種ジョン・フランケンハイマーの「影なき狙撃者」(1962)を連想させる。
今、現在にも表沙汰には出てこないこの様な恐ろしい陰謀が、きっと行われているのだろう。

「ザ・ダイバー」(初)
初めて黒人で栄誉あるマスター・ダイバーの称号を手にした男、カール・ブラシアの実話を基に映画化された作品で、直球一本で人種差別と男の友情を描いている。不屈の精神を持った人間は凄いなぁ〜!

「ピアニスト」(初)
2004年、ノーベル文学賞受賞の作家、エルフリーデ・イェリネックの自伝的小説を鬼才ミヒャエル・ハネケが映画化した作品。静かな狂気というか、抑圧されてきた複雑な心の葛藤を無表情に演じるイザベル・ユベールが凄い。
緊張感のある奥の深い映画。
余談だが、「ウィーンの街並みってこんなに暗いの!?」とビックリ。東京はもっともっと節電できる!

6月
「フェイシズ」
「こわれゆく女」もそうだが、カサヴェテスは表情の大写しを多用しながら、人間の心の奥底をグサリと描き出すのが見事。最初に観た時は正直つまらなかった記憶しかないが、今回改めて観直すと、68年度作品という事もあってか、当時のアメリカの光と闇を皮肉っているようにも思った。前作「愛の奇跡」製作中にプロデューサーと衝突し、ハリウッドを干されたカサヴェテスが、自宅を抵当に入れ、映画出演したギャラも全て注ぎ込み、自力で製作した作品というのも多いに頷ける。面白かったのが、妻のマリアが「ベルイマンの映画を観に行きましょう」と誘うと、夫のリチャードは「落ち込むだけだ」と即座に断るくだりには笑ってしまった。

「ソルト」(初)
アンジェリーナ・ジョリーが出ていなかったら、ヒットしなかっただろうなぁ。

7月
「100,000年後」(初)
フィンランドに現在4基ある原子力発電所から排出される多量の高レベル放射性廃棄物を、地下500mの永久地層処分場施設(建設中)に10万年に亘って保管するというプロジェクトのドキュメンタリー。監督はアート系の映像作りを得意とするマイケル・マドセン。4基で10万年、54基ある日本では。。。真摯に受け止めなくてはいけない。

「レッド・ライディングU」(初)
実際に英国ヨークシャーで起きた事件を元に、日本在住のデイビッド・ピース原作の作品を映画化。
オーバーな演出や効果音もなく、静かに進行する映画。可もなく不可もなくという感じ。

「Uターン」(初)
一癖も二癖もある濃い役者陣の起用にまず乾杯!とっても面白い作品だけど、まったく救い様の無い物語。

8月
「夜と霧」
ナチによる凄惨なホロコーストを題材にしたドキュメンタリー映画。監督はアラン・レネ。衝撃的な映像が流れる中、淡々とした状況説明だけのナレーションがかえって悲惨さを増す。一度は観るべき作品。

「裸の島」
制作費350万円、主なキャスト4人、スタッフ13人で約3ケ月間の合宿生活をしながらの、過酷極まりない撮影状況下で撮られた台詞のない実験的映画。当時、肝臓を患っていた殿山 泰司はこの間、好きな酒を断ち(監督命令でもあったが、まずお店なども一軒も無かった)、そのおかげで一時的とは言え健康な身体に直ったという話は「三文役者」という本でも語られている。昔から大好きな作品で、何度観ても感極まって涙腺がゆるむ。。。音楽も印象に残る。
新藤 兼人監督に心から敬意を表します。

「バニラ・スカイ」(初)
たまたま観たのだが、結局は現実と妄想、夢の世界が入り混じった、よく判らない映画。ただ、この監督はビートルズやボブ・ディランが好きなのかなぁと思った。冒頭でダコタ・アパートのカットが有ったり、バック・ミュージックや会話にも出てくるし、何よりボブ・ディラン「フリーホイーリン・ボブ・ディラン」のジャケットそっくりのシーンには笑ってしまった。そうそう、ストーンズの「ヘヴン」も流れますなぁ。

「バンク・ジョブ」(初)
1971年に実際に起きた“ウォーキートーキー強盗”として有名なイギリス最大の強奪事件を基に作られたクライム・サスペンス。いやぁー、素直に楽しませて頂いた。ミック・ジャガーがチラっと出てくるんですなぁ。

9月
「フィッツカラルド」
何度観ても素晴らしい! W・ヘルツォーク、K・キンスキーにはいつも圧倒されっぱなし!
今回はよく行かせて頂く”下高井戸シネマ”での”ヘルツォーク傑作選”にて観劇。よくぞ開催して下さいました!
ただ、「小人の饗宴」「ノスフェラトゥ」「キンスキー、我が最愛の敵」は時間が合わず観られそうもない。。。残念
次回は大好きな「カスパー・ハウザーの謎」をぜひ上演してほしいなぁ。

「アギーレ/神の怒り」
”極限状態でこそ人間の本質が露呈する”〜ヴェルナー・ヘルツォーク〜
あまりの苛酷な撮影に主役のクラウス・キンスキーが降板したいと言った時、ヘルツォークは彼にピストルを突きつけて「君を殺して僕も死ぬ」と詰め寄ったとか。仰るとおり、キンスキーのお気持ちをお察し致します。

10月
「ノスフェラトゥ」
F・W・ムルナウの「吸血鬼ノスフェラトゥ」を、鬼才W・ヘルツォークがリメイク。1922年度ムルナウ版の映像表現も見事だが、やはり私はこっちが好き。何処を切り取ってもヘルツォークの耽美的な映像美には恐れ入る。
孤独と寂寥感漂うK・キンスキーも(キンスキーのメイクは日本人の麗子・クルックさんが担当。歌舞伎の砥の粉を白粉に混ぜて透けるような白さを再現して、当時、物凄く話題になった。)、美し過ぎるI・アジャーニも、ちょっと首が短いB・ガンツも(失礼)、そして私のお気に入りの本職がイラストレーターのローラン・トポール演ずるレンフィールドもポポロ・ヴーの音楽もみんな最高!!

11月
「キリング・ミー・ソフトリー」(初)
つまんなかったなぁ。。。これはアカン!!

12月
「真夜中のカーボーイ」
観る度に切なくなるんだけど、ついつい観てしまう作品。亡き、双葉 十三郎氏がこの映画を一言で「ゴミ箱の中のロマンチシズム」と評していたが、なる程うまいこと言ったもんだ。
ニルソンの「エヴリバディーズ・トーキング」を耳にする度にこの映画を思い出す。ええ曲やなぁ。A・ジョリー、当然だけど父のJ・ボイトに似てますなぁ。

「任侠外伝 玄界灘」
製作ATG 1976年 唐 十郎 第一回監督作品。もの凄く久し振りに観たが、以前の印象通り、内容、演出ともに濃い〜濃い〜!!撮影中に本物の拳銃をブッ放し、監督、役者が小田原署に連行されたりと話題もいろいろ有りだったが、うーん、唐さんはやっぱり舞台の方が私は好き。初監督だったせいもあろうが、気張りすぎの感が否めない。
只、当時の状況劇場の面々(唐さん、李礼仙、不破万作、根津甚八、大久保鷹、十幹寺梅軒、小林薫)はじめ、鉄の芸術家クマさん、石橋蓮司、東映名脇役の天津敏、小松方正、ミドリのおばさん常田富士男、真山知子、嵐山光三郎、そして存在感めちゃ有りの安藤昇、etc。これだけの役者を一度に観られるのはアングラ好きな方にはハイ、たまりません!!それと、やくざが「国鉄みたいなええ加減なトロツキストは相手にせんのよ・・・」と、まくし立てている場面には時代性を感じた。

2012/01/03(Tue) 00:19


  2010年 観た映画

 1月
「ファクトリー・ガール」(初)
アンディ・ウォーホルのミューズ。60年代ポップ・カルチャーのアイコン。ドラッグに蝕まれた末28歳でその生涯を閉じた”イーディ・セジウィック”の激しくも哀しい伝記映画。由緒ある名家・セジウィック家の令嬢として生まれたものの複雑な家庭環境に育った彼女は、常に心の空洞を埋めようと必死だったのだろう。
作品としては、特に印象に残らず。。。

 2月
「ガルシアの首」
決して妥協を許さず、おまけに過度の飲酒と麻薬常用の問題を抱えたペキンパー自身が、「戦争のはらわた」と並んで最後の最後まで編集権を握ることができた数少ない作品のひとつ。独特の撮影技法やリアルなバイオレンス描写は有名。
後半、ただひたすら破滅に向かうウォーレン・オーツの何とも云えぬ哀切さ。。。
ペキンパー自身を投影しているようにも思われる。好きな映画のひとつ。

「おとうと」(初)
山田洋次 監督作品を映画館で観たのは、確か30年位前に公開された「遥かなる山の呼び声」以来である。また、同監督の「幸せの黄色いハンカチ」が今度アメリカ版として、ウィリアム・ハート主演でリメイクされたという予告編をやっていた。切っても切れない家族の絆や人生の出会いや別れに加え、社会が抱える問題にも鋭いまなざしを向けている点はさすが。笑って泣かされた。

 3月
「海の沈黙」(初)
「サムライ」「いぬ」「仁義」など私の好きなフィルム・ノワールで知られる ジャン=ピエール・メルビル監督、
1947年の処女作。'41年、ドイツ占領下のフランス地方都市。1人の老人とその姪が暮らす家に、敵であるドイツ軍将校ヴェルナーが同居することになった。ヴェルナーは音楽家で、フランス文化に敬愛の思いを持ち、毎夜、その気持ちを老人たちに語るが、彼らは一切の沈黙をもって答える。セットを使わず、すべてロケ撮影、ほとんど主人公3人の演技でドラマが進行するというかなりの低予算で撮られた作品で、静かな中にもちょっとした目線、手の動きなどの演出にぐいぐい引き込まれた。撮影は「死刑台のエレベーター」「大人は判ってくれない」などヌーヴェル・ヴァーグを代表するカメラマンとなったアンリ・ドカ。この作品は私の人生で忘れられぬ作品のひとつになろう。
いやぁー、やっと観ることが出来、本当に嬉しい。岩波ホールさん、ありがとう!!

「彼が二度愛したS」(初)
シャーロット・ランプリングの存在感が凄い!映画としてはつまらなかった。

「ファム・ファタール」(初)
デ・パルマらしい美しい映像と見事なカメラ・ワークに惹かれ観ていると、”おゃ、おゃっ? 水槽の水が何で・・・あっ!そうかぁー!”など、所々に散りばめられた伏線をヒントにストーリーを追っていくと作品の魅力が倍増した。
とても楽しめた映画だけれど、あの運転手が何だか気の毒。。。

 4月
「ヨコハマ メリー」
戦後、東京、横須賀をへて横浜にやって来た孤高の娼婦、メリーさん。白塗りの厚化粧にアンティークのドレスに身を包み、街角に出没して横浜の風景の一部となっていたホームレスの老嬢メリーさん。1995年の初冬、人知れず姿を消した彼女の半生を追ったドキュメンタリー映画。公開当時の宣伝用チラシに写るメリーさんの姿を目の当たりにした私は何とも言えぬ強迫観念に囚われ、”これは観に行かんとアカン!!”と映画館に足を運んだ。
メリーさんはじめ証言された方々が映画の完成後に一人、また一人と世を去っており、忘却のかなたに消え去ることなく、こうして史実を残した功績は大きい。

「アフリカの光」
好きな映画。神代ワールドですな。この映画のシナリオを持っていたけれど何処かに行っちゃいました。。。残念。。。

「青春の蹉跌」
70年安保終焉の虚無感、青春の情熱、孤独、焦燥を描いた石川達三の同名ベストセラー小説を映画化。撮影時「何かないかぁ?何かないかぁ?」と口癖の神代監督にいろいろと体当たりで即興的に演ずるショーケンと桃井 かおりを斬新な演出も織り交ぜて巧みに描いた意欲作。「えんやーとっと、えんやーとっと、まつし〜ま〜あぁのー」が耳に残る。
アフレコが合ってなかろうが違うことを喋ろうが、そんなこと神さんには小さなことなんだなぁ。井上 尭之の音楽がまたイイ!


「もどり川」
大正ロマンチシズムを生きた、破滅型天才歌人・苑田岳葉と、その野望に身をまかせた女たちを描く。連城三紀彦の『戻り川心中』の映画化。破茶滅茶で、どうしようもない男をショーケンが演じると、えらい魅力的に見えるのは不思議。
何度も何度も観た、勿論、大好きな作品。

 5月
「007 慰めの報酬」(初)
おもしろかった。ジャンカルロ・ジャンニーニ演ずる”マティス”が死んじゃったのは残念。

 6月
「甘い生活」
高度経済成長下のイタリアの精神的不毛を見事に描いた映画。また、この作品以降、監督のフェリーニは首尾一貫したストーリーを追うというより、多くのエピソードの羅列というスタイルが特徴となっていく。ラストのエイのような怪魚は、文字どおり腐敗した社会、デカダンスの象徴ともとれる。
ゴシップ記者のパパラッツォがパパラッチの語源という話はあまりにも有名。

 7月
「バクダッド・カフェ」(ニュー・ディレクターズ・カット版)
押し付けがましくない癒し感というか、ふんわり感がいい。美しい映像とジュベッタ・スティールの唄う”コーリング・ユー”がいつまでも余韻を残す。好きな映画。

「フェイク・シティ ある男のルール」(初)
所々覚えてない程、退屈極まりない映画。

 8月
「狂いピエロ」
すべてが斬新!!カッコイイー!!さすがゴダール!!

「勝負をつけろ」
私の好きな暗黒小説作家、ジョゼ・ジョヴァンニの『破門僧』を原作に、彼自身と「穴」を遺作として死んだ監督ジャック・ベッケルの息子ジャン・ベッケルが共同脚色、ベッケルが監督した異色ギャング映画。
実際に15年間、刑務所に入獄していた経験がある ジョヴァンニの描く世界は実にリアリティー溢れている。

「フェイク」(初)
ちょっと長い。アル・パチーノは相変わらず演技が上手いですなぁ。

「セッソ・マッソ」(初)
セックスを巡るおバカな艶笑エピソード9話のオムニバス。ジャンカルロ・ジャンニーニには笑っちゃう!!

「山形スクリーム」(初)
ストーリーなどはさておき楽しかった。複数の映画のパロディ・オマージュが観られ、竹中直人の映画好きが判る。

「ニューオリンズ」(初)
ブルーズ、ジャズ好きな方はぜひ必見!劇場未公開なのが残念。最後の舞台にサッチモ、ビリー・ホリデイが出演していないのは、やはり当時の人種差別の壁があったからだろう。

 9月
「流されて」(初)
女流監督リナ・ウェルトミューラーの名を世界的に高めた問題作。リリアーナ・カバーニの「愛の嵐」もそうだが、女性監督の当然ながらの、ひと味違った感性に”なるほどなぁ”と思わされる事がある。

「キャデラック・レコード」(初)
とても感慨深いものがある。。。ブルーズは奥が深すぎる。。。

「蛇の卵」(初)
ベルイマン監督と言うと、どうも少し難しい芸術作品を創るイメージが強いが、この映画は社会派サスペンスに仕上がっていて充分楽しめた。タイトルの”蛇の卵”が何を暗示しているか語られるシーンはゾクッとするが、それは観てのお楽しみ。第一次世界大戦での大敗で希望を失ったドイツの暗くて重々しいデカダン的空気感を人体実験やヴァイオレンスを交えて描かれる。
1920年代のベルリンの街並みがオールセットというのも贅沢ですなぁ。
観て損はない作品。

10月
「座頭市 鉄火旅」
シリーズ第15作目作品。撮影は「兵隊やくざ大脱走」の武田千吉郎。東野栄治郎演じる鍛冶屋の仙吉が泣かせる。

11月
「欲望」(’66)
かなり解かりずらい作品だが、スタイリッシュな映像で描いた不条理劇と思えば楽しめる。♪そこに〜は ただ〜風が吹いているだけ〜♪的な宙に浮いたようなラストも「情事」「さすらいの二人」「ある女の存在証明」など、謎を残して結末を迎えるストーリーは監督ミケランジェロ・アントニオーニの得意とするところ。
初々しさの残るジェーン・バーキンや美し過ぎるヴァネッサ・レッドグローブ、サラ・マイルズも新鮮。加えて、ジェフ・ベックとジミー・ペイジが競演しているヤードバーズのライヴ映像は貴重。ポスターもカッコイイ!!

「ホワイトアウト」(初、2009年 ドミニク・セナ監督作品)
寒い〜、寒い〜、脚本も寒い!!

「恋愛適齢期」
素晴らしい作品。ジャック・ニコルスンのまぁチャーミングなこと!!「追憶」「カッコーの巣の上で」のオマージュ?と思わせるシーンも有りでつい笑っちゃった。

「トゥルーマン・ショー」(初)
いろいろな意味でとても怖い映画だと思う。

「キャッチボール屋」(初)
キャッチボール屋とは、「一、10分百円でチャッチボールの相手をします。一、のぼりと看板がめじるし。一、忘れられない思いや悩み、受けとめます。」結構こういう映画も好きなんです。

12月
「地下室のメロディー」
1963年、仏、アンリ・ヴェルヌイユ監督作品、私の好きなノワール映画。貫禄充分の老ギャング、ジャン・ギャバンの圧倒的存在感と、どんなに着飾っても育ちの悪さが滲み出てしまう(失礼)若いアラン・ドロン。カジノの現金強奪に見事成功したかに見えたが。。。ラスト15分は最後の最後まで緊張感いっぱいの演出で冷や汗もの。シーンの繋ぎに監督のセンスが光る。ミシェル・マーニュのモダンジャズもおしゃれ。

「グラン・トリノ」
観終わった後にジーンときた。妻に先立たれ、教会にも背を向け、離れて暮らす息子夫婦からは偏屈な頑固者と敬遠される主人公のウォルト・コワルスキー。彼の楽しみは、星条旗を掲げた玄関脇のテラスでビールを飲み、自らステアリング・コラムを取り付けた1972年製のヴィンテージカー「グラン・トリノ」を眺めること。そして彼の傍にいるのは1匹のラブラドール犬。そんな彼が生き方を探しあがねている隣家のベトナム人の少年タオに、アウトローとしてより、人間としてどう生きるかを自らの命と引き換えに示す。
この現在のウォルト・コワルスキーと1992年イーストウッドが監督しアカデミー作品賞を受賞した、西部開拓時代を舞台にした「許されざる者」のウィリアム・マニー。どちらも過去の己を許せないと苦悶し続け、壮絶な決着を自らに課す姿は時代を超えて重なる。
「ダーティー・ハリー」をはじめ、彼が演じる役は常に己の哲学で生きるアウトローの一匹狼、世間から外れた所に生きる孤独な男。己の身は己の手で落とし前をつけてきた。そして今回は人間としてどう落とし前をつけるかを示したように思った。

2010/12/28(Tue) 16:29


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